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土曜日の夜だから「コカイン・ベア」観た。見る予定の人は読まないでね。

「コカイン・ベア」を観た。
監督・製作はスパイダーマン・シリーズなんかに出てる「エリザベス・バンクス」
楽しかっただろうな、この映画作るの。

ストーリーは、タイトル通りコカインをキメた熊さんの話。

悪い人がセスナでコカインを運んでいるとき、空からコカインが詰まったダッフルバッグを国立森林公園の上からばら撒いて、それを見つけた熊さんが食べちゃって、興奮しまくって、レンジャーやハイカーを襲っちゃうっていうお話。

コカインとか出てきても、コメディー映画だから色々と笑えるんだけど、学校サボって秘密の滝を見にきた中学生の男の子と女の子がコカインの包みを発見して、イキった男の子(全然そんな事しそうにない可愛い子)が「もちろんやったことある」みたいなことを女の子(こっちも全然そんな事しそうにない可愛い子)に言っっちゃう。

それを聞いた女の子が、サクッと迷いもなく白い粉のパッケージにナイフを突き立てて「どのくらいの量、食べたらいいの?初めてだからわからない」って男の子に聞いて、男の子が「大さじいっぱいくらいかな」って。死ぬぞ。
もちろん、女の子はむせて吐き出しちゃう。

冷静に考えると大変なことしてるのに、なぜか可愛い。

あとはそうだな、ハイになった熊に襲われて足がちぎれて飛んできたり、いろんなものが飛び散ったり、そういうシーンもてんこ盛り。

映画を見ながら笑いこけてたんだけど、レイ・リオッタが出てるって知らなかったから「えっ、レイ・リオッタって、この映画ができた頃、亡くなってない?」と思って見てみたら、なんと遺作。

「グッド・フェローズ」からはじまった彼のキャリアは「コカイン・ベアー」で終わりを迎えたのかとしみじみ。

なんて、カッコイイんだ。
最後まで、自分さえよければそれでよくて、勝手で押し付けがましくて高圧的で、頭がとことん悪いのか?っていうくらい短絡的で嫌なやつを存分に演じてた。

俳優さんってすごい、あの状態でまだ映画撮れるんだもの。
「トップ・ガン マーヴェリック」の”アイスマン”ことヴァル・キルマーもすごいと思ったけれど、演技するってことで底力みたいなのが湧いてくるんだろうか。

「グッドフェローズ」もいいんだけど、私としてはやっぱり「ハンニバル」のポール・クレンドラーがこれまた小憎らしくて忘れられない。

クラリスに対する最悪な態度も、メイスン・ヴァージャー(この時のゲイリー・オールドマンもイカす)に選挙に出るためのお金が欲しくて陰で協力したりしする(この時、メイスンにお金の単位を略したことで注意されるシーンも、ポールの人となりを表す上手いシーンで好き)ポール・クレンドラー自体は大っ嫌いだけど、レイ・リオッタはむっちゃハマってた。

あんなに嫌なやつでも、愛しのレクター博士に、最後、ストライカーソーで頭を綺麗に開けられてディナーに供されるから、見ていた私たちの溜飲も下がって「お疲れ、いい演技だったよポール」って優しい目で見てもらえてるんだと思うと、終わりよければ全てよしだなと思える。

「コカイン・ベア」に戻ると、嫌な奴演技もいい味出してるんだけど、ラストがまたいい。計算してなのかどうかわかんないけど(エリザベス・バンクスに聞いてみたいけど、多分、計算づく)コカインを少しでも回収しないと、取引先のお客様から酷い目に遭わされるのは目に見えてるから、レイ・リオッタ演じるシドは必死。

子分と息子にコカイン捜索を命じてはみたものの、やっぱり自分も森林公園に乗り込んできて、すったもんだした挙句、バック発見。

1個だけしか見つけてないのに、その1個にムッチャクチャ執着して取り戻そうとする。その時は子分も息子でさえもどうでもいいし、危険なことを無理強いする。

話すと長くなるけど、熊から逃げてた中学生の男の子と女の子と、それを探しにきたお母さんと熊との最終決戦地である秘密の滝の熊のお家で一緒になるんだけど、その人達ですら殺しかねない勢い。子分と息子が呆れ返って家族の側につく始末。

で、それは起こる。
子供ちゃんたち一家と子分と息子が、滝からダイブして九死に一生を得た後、まだ、滝の上でダッフルバックを取ろうと必死なシド。
そのバックは木の枝に引っかかってて、引っ張ってもなかなか取れない。
しつこくバックの持ち手を引っ張ってると、ちょっとした拍子にそれが首に絡まっちゃう。

軽い首吊り状態になったところに、滝から落ちて一瞬意識がなくなっちゃってた熊さんが、そのバックから落ちてきた白い粉をあびて復活。

やおら滝を登ってきて、ぶら下がってアタアタしてるシドに対峙する熊さん。
次の瞬間、鋭い爪でシドのお腹を見事に真横に切り裂く。
鋭い爪の切れ味が腹壁まで破って、シドの腸が宙を舞う。

デジャブ?

そう、これはあの「ハンニバル」の名シーン、懸賞金目当てでレクター博士をメイスン・ヴァージャーに売り渡そうとしたパッツィ家の末裔、リナルド・パッツィ刑事がカッポーニ宮の張り出しバルコニーから、スパイダルコナイフで腹を裂かれて突き落とされた最後の瞬間と画が酷似している。

レイ・リオッタ、そしてエリザベス・バンクス、いいね。絶対そうだよね。

書いてて思ったんだけど、コカインとかいう単語がたくさん出てくると、後でなんかあって(何が?)この記事に辿り着いた時、私の人となりがあーねってことにはならないんだよね。まあいい。

実は「コカイン・ベア」、「私のトナカイちゃん」に続く実話をもとにした映画なんだよ。

感想は、結局ハイになった熊さんよりも、やっぱ人間の方が怖いねっていう感じかな。

剥製にされた本物の「コカイン・ベア」





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