文化祭はおわった #シロクマ文芸部(締切過ぎてた)
文化祭は昨日だった。
高校3年生の秋。最後のイベントはあっけなく終わってしまった。
スキな彼と付き合うことになったわけでもクラスの団結が強くなったわけでもない。
誰かの心に刻みつけられたような思い出にもなっていない(気がする)、それほど何にも残らないイベントだった。
17歳の秋は駆け足で去っていこうとしている。
わたしは出来上がった絵にアクリル絵の具のブルーを足した。
ほんとうはこの絵を文化祭でお披露目するつもりだった。
褒めてくれた人が居たから。
いいね、この青。
そう指差して低く笑った声。
これは海?空?どっち?
うーん、決めてないし考えてない。
空と海、どっちが好き?
選べないよ。
そっか、選べないか。
どっちでもいいよ、選ぶの面倒だもん。
めんどくさいかー。
オレは好きなの選ぶの面倒じゃないけどな。
文化祭が終わったら伝えるつもりだった。
今朝、あの人が2組のあの子の肩を抱いて廊下を歩いていた。
すれ違う時、目が合った気がした。
気のせいかもしれない。
わたしの人差し指にはブルーの絵の具がこびりついてる。
横を通った時、ぶつかるふりしてあの人の制服のズボンを擦った。
薄い青が水平線のようにポケットを横切った。
あれは海だ。
そう、もっと早く決めておけばよかった。
締切過ぎてました…
2回目。
ごめんなさい。
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