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海外で子どもが日本語を楽しく続けるコツ−学びの文化の多様性に配慮しよう

大人になってから英語を勉強するのは大変!という声をよく耳にしますが、
子どものときから二言語を学ぶのは大変!っていう声はあんまり聞かないですね。
きっとそれは、子どもは若いから吸収力が高いからとか、
問題だって感じるのなら、やらなけりゃいいじゃんっていう考えとか、
子どもの声の届きにくさとか
色んな理由が考えられると思いますが、

アメリカで子ども二人を育てていると否が応でも直面するのが、
どうやって、日本語を楽しく続けてもらおうか、
という大変さです。

というのも、
子ども時代アメリカですごし
日本語補習校に通っていた私は
アメリカで日本語を学び続ける大変さが
手に取るようにわかるからです。

今日はそんな私がUniversity of the Peopleの課題に取り組む中で気づいたことを一つご紹介します。

それは、学びの文化の違いに配慮するという点です。

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1.学びのスタイルが違う2つの文化

学びの文化って何だかわかりますか?

例えば、日本の学校の学びの文化は、
習っている知識が身につきやすい文化になっていると思います。
何度も繰り返し練習したり、
教科書を丁寧に説明してもらえたり
ノートを書く時間がたっぷりあったりと。

一方、例えばアメリカの学びの文化としては
知識の習得というよりも
知識の使い方、見つけ方が学びやすいようになっているように感じます。
説得の技術、リサーチの仕方、書き方、読み方、コミュニケーション
などが丁寧に学べる環境になっているように感じます。

どっちがいいとかそういう問題ではなくって、
突然学びのスタイルの違う環境に入ると
それだけで結構負担がかかるんだよというお話しです。

そう、海外で日本語を教える時には、
そんな学びの文化が変わるということにも
配慮することで
生徒さんの負担を減らし
やる気を上げられるかも知れないということです。

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2.学びの多様性と文化

学びの多様性というと、
その子の脳機能の強みを活かした学び方を提供すること、
と思っていました。
イメージで理解するのが得意な子、
聞いて理解するのが得意な子、
書いて覚えるのが得意な子
人それぞれに情報を入力して処理して出力する
得意・苦手さはあるから
色んな方法で教えることを意識しておりました。

ところがYoung 2011の研究では、
日本、韓国、中国からはじめてアメリカに留学しに来た
学生さんを対象に
これまで受けてきた教育とがらっと変わる
アメリカの学びのスタイルに直面することが
もたらすインパクトについて調査されました。

分かったことは、
学びのスタイルががらっと変わるということに
配慮してくださった場合、
留学生さんたちが直面する不安が下がり
成績にもいい影響があったということです。

この研究を読んで思ったのは、
アメリカで日本語を続ける子ども達のことです。

アメリカでは考えたり、伝えたりすることが重んじられる一方、
補習校などではどちらかというと、
伝統的な暗記や練習が重んじられています。

個人的にはこの両方が大事だと思っているので
その双方の学び方に触れる機会は大事だと思っているのですが、

日々子どもの日本語に向き合う親として忘れてはいけないなって思うのは、
自分が日本語学習を通して
気づかないまま要求してしまっている学びのスタイルは、
子ども達が毎日通っている現地校で慣れ親しんでいる学びのスタイル
どのくらい違うのか、同じなのか、
違うのならどう配慮しながらすすめるのか
ということを
しっかりと持っておくことだと感じました。

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3.学びのスタイルの違いに配慮するのが大事な理由


では、なぜ学びのスタイルの違いに配慮するといいのかというと、
それは、
自分に合わない学び方が行われると
すごく負担に感じてしまうからです。

負担に感じると、余計なことが頭によぎり、
ワーキングメモリのキャパシティが小さくなり、
学んでいる内容に集中できなくなったり
余計なことをしてしまう可能性が高くなり、
学んでいることが頭に入りにくくなる
って言われているからです。

もちろん、お子さんにあった負荷は
学びには必要です。
しかし、その負荷が大きすぎると
上に書いたような弊害が起き
学習効率がさがってしまいます。

学びの多様性に配慮した教え方が大事だと言われるのも同じ理由です。

つまり、日本語と英語という言葉の問題以前に、
自分で調べて、考えて、伝えて、議論するスタイルの学びが行われている中、
先生の言うことをしっかりと聞いて学び繰り返し練習することで習得するという学びのスタイルの違いという
ただ、それだけでも
子どもには負担がかかっているということに気付かされました。

確かにそのとおりですよね。
伝統的な日本の教育を受けて育った私は
たとえそれが日本語であっても
大学のゼミではじめて議論の場に身をおいた時の
ドキドキ、頭真っ白感、まだ覚えていますもの。

同時に、日本で英語を教えていた時、
考えることや発表を中心としたレッスンを進めていても、
さすが日本の学校で学んでいる子だけあって、

「宿題はどこをすればいいですか?」
「何を練習すればいいですか?」

と基礎の定着に余念がない彼らの学びのスタイルの当たり前に
感心したことを思い出します。

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4.学びのスタイルをつなげよう!


で、アメリカ生活5年目の我が家で気をつけているのは、
現地校の学びのスタイルに配慮した学びを行うということです。

漢字学習のやる気がでないのなら、
一緒に学んでくれる仲間を見つける、
漢字のうんちくをお話する、
イメージで覚えられるようにする
音で学べるようにする

学習の順番を自分で決めてもらえるようにする

など、
現地校でみられる色んな工夫を取り入れながら
日本語学習に取り組んでみると
うまく行くことが多いです。

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その子の得意な学び方と同時に、
海外で日本語を続ける子の場合は、
現地校での学びのスタイルとの違いにも配慮した
日本語学習を意識してみること、
おすすめです!

今日も読んでくださりありがとうございました!

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参考文献

Young, A. S. (2011). First Time International College Students’ Level of Anxiety in Relationship to Awareness of Their Learning-Style Preferences. Journal of International Students, 1(2), 43–49. https://doi.org/10.32674/jis.v1i2.552


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