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9月1日で20年目を迎える歌舞伎町ビル火災事件。筆者が当時週1、2で通っていたセクキャバ「スーパールーズ」について

※2014年発刊『まんが 実録日本重大事件の闇解明SP』(コアマガジン・コアコミックス)に執筆したものより一部抜粋、加筆補筆


■全員死亡、悲劇のセクキャバ「スーパールーズ」

 一方、事件当時、犯行の動機や犯人の憶測など話題と並び、いや、それ以上に関心を集めたのが、ビル4階にあったセクキャバの『スーパールーズ』だ。店にいた客、店員の28名全員が死亡という悲惨な結末に加え、店のシステムやキャバ嬢数名の生い立ちまでがあれこれ下世話にクローズアップされることとなった。

 と、ここで個人的な話になるが、当時、筆者は同店に週1、2で通う客だった。店の魅力は歌舞伎町にしてはリーズナブルな価格と女の子の質の高さ。店長やボーイの気さくな接客も好印象で、何軒か行っていたキャバクラの中でもとりわけ好きな店の一つだった。
                           ネットの書き込みなどを見ると、一部で「過激なサービスがウリだった」などと書かれているが、筆者の感想から言うと、特にそういう印象はなかった。照明が落とされ、制服姿の女の子が客の膝に乗るダウンタイムも(千円払った客だけが楽しめる)、当初こそ新鮮だったが、触って揉めるだけで原則「舐めは禁止」ということもあり、徐々に飽きていったものだった。それよりも抱きキャバにしては珍しく(?)カラオケがあり、それで女の子と歌ってバカ騒ぎするほうが楽しかった。  

 当時、筆者は平浩二の『バス・ストップ』がレパートリーだったが(当時31歳。我ながらオヤジな選曲)、閉店間際、「いつものアレ歌ってくださいよ」という店長の要求に応じて、ラストを迎えたことも一度や二度ではなかった――。
                         あらためて、あの火災事件を振り返ると、同店の被害は不運、不条理と呼ぶしかない。仮に店が4階でなく2階だったら、死者数は皆無だった気もする。むろん、階段に荷物を山積みにして防火扉を可動させなくしたり、火災探知機の電源切れなどズサンな面は否めないが、当時、歌舞伎町などの繁華街のビルではごくごく当たり前の実態だった。また、そういう店(あまりに雑然雑多な階段の状況について女の子と冗談交じりに語り合ったことも)に嬉々として通っていた自分がそれを責め立てるのは筋違いだろう。

 ともあれ、あの空間をいまだ鮮明に憶えている身としては、不条理な火災で亡くなった人達には心からご冥福を祈りたい。

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2014年発刊『まんが 実録日本重大事件の闇解明SP』(コアマガジン・コアコミックス)

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