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風のように生きる

日本霊異記という仏教説話集がある。仏教に基づき勧善懲悪的に物語が語らられる。そこに大変気に入ったものがあった。風のように生きるというテーマだ。

"大和の国宇陀の郡、漆部の里に、風のように生きる女がいた。同じ里の漆部の造麿の妾であった。すがすがしく、きよらかに、女は生きた。ものの道理をよくわかり、すなおであること。正しくあることを心がけて、女は生きた。七人の子を生んで、極貧であった。食う物にも事欠き、頼るところもなかった。" 『日本霊異記』伊藤比呂美訳

このように苦難にありながらも女は文句も言わず質素に生き、いわば風のように生きた。最後はこうなった。

"風のように生きる女は、神仙に迎えられ、春の野に菜を摘んでいたとき、仙草を食べて、天の向こうに飛んでいった。" 『日本霊異記』伊藤比呂美訳

風になったのである。

日本霊異記内ではこのように仏法をおさめなくても風のように生きれば風のようになれるのだと解説もついていた。風のように生きたいものだ。

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