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アクションを堪能しながら人種差別について学べる映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』

今回の記事は映画紹介です。

紹介する作品は、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』。
1985年公開のアメリカ映画で、ニューヨークのチャイナタウンを舞台に、ニューヨーク市警察とチャイニーズ・マフィアのボスの対決を描いた作品です。

監督は『ディア・ハンター』を手がけたマイケル・チミノ。
脚本は、『7月4日に生まれて』などで監督を務めたオリバー・ストーン。

ストーリー

ベトナム戦争に従軍した過去を持つ、ニューヨーク市警察のスタン・ホワイトは、チャイナタウンで頻発する犯罪を取り締まるため、チャイニーズ・マフィアを潰すべく動き出す。
一方、チャイニーズ・マフィアの新しいボス、ジョーイ・タイは自身の勢力を強化するため、身内の旧体制派やかつての取引相手をも容赦無く粛清する。

ベトナム戦争の過酷な体験から、黄色人種に抱いた憎悪のためか、スタン・ホワイトはひたすらチャイニーズ・マフィアの壊滅に奔走する。
捜査官として送り込んだハーバートや妻のコニーの死など、大きな犠牲を伴いながらもジョーイ・タイを追い詰めていく。

中国系アメリカ人から上映反対運動が起こった

本作には、人種差別を助長するような表現が数多く見られることから、中国系アメリカ人から上映反対運動が起こったそうです。

まあ、チャイニーズ・マフィアが犯罪者集団でもっぱら悪者として描かれているので、無理もないかなと・・・

こういった批判を受けて、監督のマイケル・チミノは下記のようにインタビューで語ったそうです。

この映画は人種差別を扱っていますが、それを推奨するための映画ではありません。
このような問題を扱うにあたって、人種差別の傾向を明かしていくことは必要となります。

かつてアメリカに移住した中国人が経験したように、周辺的な地位に追いやられるということは我々にとっても初めてでした。
そのことについて、人々は、あまりにも無知なのです。

実際1943年まで中国人にはアメリカの市民権が与えられなかったことに、現在のアメリカ人たちは驚くでしょう。
彼等は妻をアメリカに連れて行くことすら許されなかったのです。

ハーバートがスタンリーに話したことは、称賛されるべきなのです。
これらの理由から、中国人はこの映画が大好きです。
そして、記者たちの批判は、これらの悪い事実を知られたくないところからきているのでしょう。

人々があまりにも無知な人種差別について明かしていくことが必要だったということ。

伝えたいことを表現する上で、避けて通れない描写もある。
そこに批判を伴うことを受け入れた上で、自分が表現すべきと思ったものを表現すること、クリエイターに求められる心構えってこういう部分なのかもしれないですね。


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