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いなり的第6期パウパー神挑戦者決定戦参戦録

はじめましての方もそうでない方もコンニチリチリ。

吉田おいなりと申します。

今回は冒頭の与太話は無い。
真剣に読んでもらいたい記事に仕上げたいと思っているからだ。

ネタが尽きたとかそういう話ではない。
本当だ。
断じて嘘では無い。

私の与太話のレパートリーはキン肉マンがカメハメ師匠より受け継いだ技と同じくらい多いのだ。

48の殺人技と52の関節技、実は関節技の方が多い

いちいちネタがオッさん臭い事は突っ込まないで頂きたい。

本当の事を言われると泣く為である。

と言う事で、今回は国内最大のパウパー大会、神挑戦者決定戦の参戦レポートを書こうと思う。

きっとこの記事を読みたいと思った方はもう知っている筈なので先に言ってしまうと、私に、いや、多くのパウパープレイヤーにとって角とうふ氏の優勝があまりにも嬉しい出来事であったため、私自身の話はあまり書けないかも知れない。

準備期間、あるいは連敗期間。

ツナ氏主催のパウパーマニア以降、私は重大な問題に面していた。

勝てない。

3Rイベントでは1-2や0-3を連発し、BIGMAGIC稲妻ベータ争奪杯では1-4と、絶不調だった。

おかしい。
私の開発した結界式感染はパウパー感染史上最強の筈では無いのか。

原因は明確だった。

カルドーサレッドの高速化と、それに伴う青系多色コントロールの増加であった。

どちらも厳しい。

カルドーサレッドは《無謀なる衝動》を減らし、1マナカードを増量、守りの手が間に合わず、青黒コントロールやジェスカイブリンクには除去でクリーチャーや巨大化系を削られ時間を稼がれる。

辛かった。

自分でtier外を握ると決めたのだからあまり愚痴を溢したくは無かったが、それでも耐え切れず愚痴を溢していたと思う。

私を負かした相手から「記事拝見しました!」と声をかけられる日々が続いた。

当然読んで頂ける事も声をかけて頂ける事も嬉しいのだが、勝つ姿を見せられないのはあまりにも情け無い。

何故だかそこそこ有名になってしまった様なので、何とかしてカッコ良く勝つ姿を見せたい所だ。

そうこうしている間に神挑戦者決定戦前日。

不安ながらもできる事を考え最後の練習として晴れる屋TC東京へ。

練習フリプ勢が集まっているかと思いきやそんな事は無かったが、にしむー氏を捕まえた。

とにかくカルレで俺をしばけ!と言って練習に付き合ってもらった。

苦しさへの最大の対処は、乗り越える事なのだ。

具体的な解決策は見つからなかったが、少しばかりの対応の仕方は身に付けた。

《自然の要求》が刺さる。

《大焼炉》を破壊し、こちらのテンポに持ち込み、《実験統合機》や血トークンを破壊する事でデッキの潤滑油を奪い、《カルドーサの再誕》を腐らせる。

時間稼ぎでしか無いが、これ以上の策が見当たらない。

にしむー氏に感謝しつつ出来る事をやろう。

神挑戦者決定戦開幕

当日の朝、私は一つ思いついた。

すごい効果のお守りだった。

使っていないトークンに油性マジックで「落ち着け!」と書いた。

誰だかは忘れたが、かつてプロプレイヤーがゲーム開始時に必ず「ミスしない」とメモに書いていたのを思い出したのだ。

それと同じようにゲーム中、常に視界に入る所にこのトークンを置いていた。

これが思いの外効果があったようで、厳しい状況でも冷静にプレイ出来たように思う。

ちなみにもちろん革ジャンのポケットにデッキとメモを入れた、にしむー氏大好き手ぶらスタイルである。

記念撮影したが納得のいく写りではなかった為、以前の使い回し。

そして会場入り。

まずはトイレ。

混んでる。

待っている間にPauperMTGのさいとー氏に遭遇。

直接お話しした事は無かったのだが、あちらから「記事拝見してます。」と声をかけて頂き非常に嬉しかった。

紛れもなく日本のパウパー界のトップにいる方に認知されているとは、記事を続けていて良かった。

便意が限界だった為、話もそこそこにトイレに駆け込んでしまい申し訳なく思っている。

見知った面々に挨拶を済ませ1R開始を待つ。

もちろん私は素人童貞では無いと言う旨はしっかりとおーたに氏に強めに伝えた。

使用デッキ

高速化したカルドーサレッドに対し対応力を持たせるために《巨大化》を投入。

エンチャントを貼る瞬間の脆さを防ぐ目的である。

サイドは時間稼ぎでしかない《濃霧》を落とし、《自然の要求》増量と《呪文貫き》を投入。

苦し紛れではあるが、対応の幅を広く取った形である。

1R カルドーサレッド

LL 敗北

出オチである。
ストレート負けである。

ちなみに先日のBIGMAGICベータ稲妻争奪杯にて決勝進出したお方である。

《ゴブリンの奇襲隊》にとにかく無双された。

《自然の要求》で土地割るとか関係なかった。

R2 カルドーサレッド

WLL 敗北

またしても出オチである。

相手のお方は先日の提督戦にて優勝されたゆうま(ラッパー)氏。

非常に気さくな方で、毎秒「しんどっ!!」と思いながらも楽しくプレイ出来た。

やはり《自然の要求》で土地割るとか関係なかった。

更に言うとやはり《ゴブリンの奇襲隊》も無双していた。

R3 青黒コントロール

LL 0-2敗北

特に言う事は無いくらいの負けっぷりであった。

この辺りでドロップも考えたのだがそうはいかない理由があった。

今週の記事(今書いてるコレ)がまだテーマすら決まっていない故、日曜までに神決レポを書き上げねばならない。

「0-3でドロップしましたテヘペロ」で記事を終わらせて良いわけがない。

レンジャー訓練を受けた元自衛官の知人が言っていた。

「リタイアしたら部隊の連中から何を言われるかわからない。
その一心でレンジャー訓練を乗り切った。」

言葉でなく心で理解した。

マイナスの動機からくるモチベーションは強い。

その通りだった。

目先の欲に駆られ8R完走する事を決意した。

このあたりでTwitterを開くとメタゲームブレイクダウンが公開されていた。


約20%を3連続で踏んでいたのか。

そりゃ0-3しますわ。

お祓い行った方が良い?

いや、それよりも感染俺しかいないのどう言う事!?

あんだけ手の内明かして必死こいて解説したんだからみんな作ってよ!

と言った具合にロクでもない開き直るをする事で前向きにプレイ出来る様に気持ちを整えられた。

R4 フリードコンボ

LWW 勝利

失礼な話かも知れないが、これまで相性の問題で結局どう動くのか(というか何と言うデッキなのか)わからなかったデッキである。

一本目で負けた事によって止めどころを把握した。

本日初勝利。

とにかく《自然の要求》を引き込み《現実からの遊離》を貼るタイミングで土地をクリーチャー化するかマナブーストをするエンチャントを破壊すれば良いらしい。

ここでも一つノウハウを積めた。

やはりドロップしないで良かった。

R5 ジャンドリアニメイト

WW 勝利

どちらも隙をついてのワンショット。

結界式感染はワンショットを狙うデッキでは無いが、《巨大化》投入による瞬発力が活きたマッチアップだった。

R6 黒単バーン

LWW 勝利

お相手は、後ろ姿がいい女でお馴染み白モツ氏(男)。

ここに来て初の身内戦。
真剣ではあるが、リラックスしながら楽しくプレイ出来た。

私が勝ったら高圧的に毒カウンターを要求するという誓約と制約により勝利を収める。

一本目、あと一撃の所で間に合わず。

二本目、激おこジャイグロぶんぶん丸。

三本目に事件は起こった。

白モツ氏の苛烈な攻めを耐えている最中、突然アナウンスが。

「let's5レガシー参加のチバユウスケ様〜」(空耳かも知れない。)

チバユウスケ!?他界した筈では!?

知らない方のために説明すると、チバユウスケとは、日本の伝説的ロックバンド、Thee michelle gun elephant(以下ミッシェル)のボーカリストであり、ミッシェル解散後もROSSO、The birthdayにて活躍した00年代以降の日本のロックンロールの象徴であり(異論は認めるし積極的にロックトークしたい。)私の永遠の憧れの存在である。

私が最も好きなチバユウスケは初期ROSSOの「シャロン」である。

この曲を聴くといつも17歳に戻ったような気持ちになる。

好き過ぎて泣きそうになるのであまり聴きたくない曲でもある。

「冬の星に生まれたら、シャロンみたいになれたかな。
時々思うよ、時々。」

これまでネガティブさをコミカルに茶化しながら歌っていたチバが、こんなにも真っ直ぐに劣等感とも後悔ともつかない気持ちを吐き出すなんて。

Birthday期の、劣等感も不条理も何もかも抱きしめて笑いながら生きて行こうぜ。というスタンスの歌詞も大好きだ。

今、これを書きながらも涙がこぼれそうである。

この話は無限に語れそうなので、いつかロック記事を書く事があれば(多分無い)その時にでも書く事にしよう。

厳つい雰囲気から時折見せる無邪気な笑顔が大好きなのである。

何故かレガシーというあたりも妙にしっくり来る。
多分マルドゥカラーのビートダウン愛用だろう。

「ヤバい?いいじゃん殴ってみようよ。ホラ勝ったじゃん。」とか言いそうである。

私も白モツ氏も大のロックファンであるため、二人でドロップして見に行くべきかの討論が始まるが互いに耐え。

二人とも素晴らしいバカである。

ライフを4まで削られるも辛うじてワンショット。

そして一言。

「毒カウンター?貰ってあげても良いけど?」

サイケデリックリバイバル

決まった。

これはかなり高圧的だ。

多分私が負けても毒カウンターはもらえたと思うが、チバユウスケに感謝。

生身だけで生きていればそれが全て、代わりは無いのである。

ちなみに私の夢は、知人が作った毒カウンターを10種類盤面に並べる事である。

R7 白単アグロ

WW 勝利

お相手はすぐヘラるけど、私から見て普通に強いと思うこりた氏。

こりた氏は青単フェアリーのイメージが強かったのでかなり身構えたが、白単だった。

ウィニーはウィニーでキツいんだが?

しかしこちらも一年以上感染にてコンバットを追求してきた。

何とか隙をつついて一本目を取り、二本目はあちらのビートダウンの隙を突きワンショット。

ワンショットは狙わないとは言っているが、耐えている間に札を溜め込み、自然にワンショットに持ち込めるのが結界式感染の強みである。

これで4-3、あと一勝とれば32位圏内は狙えるかも知れない。

よく耐えた。
直向きに感染と向き合って来て本当に良かったと思う。

R8 青赤テラー

LL 敗北

お相手はのびた氏。

一本目は《Embiggen》《巨大化》で8点を取るも《トレイリアの恐怖》連打に耐えられず落とす。

二本目は、土地一枚ながらも二枚目が引き込めれば強い札を六枚キープ。

全く二枚目を引かない。

《蜘蛛の陰影》を付けた《ぎらつかせのエルフ》にて9点まで取るがやっと二枚目の土地を引いたところで除去二枚で落とされ、《トレイリアの恐怖》2体。

そのまま投了。

これにてスイスラウンド終了。

4-4、136人中60位で私の神決は終わった。

自分しか使っていないデッキを握り、0-3から立て直したので良いと捉えるべきか、そもそも序盤3連敗がよく無いと捉えるべきか。

兎に角出来る事は全てやったしそれで良しとしておきましょうか。

決勝ラウンドにゆーき氏と角とうふ氏が上がっている為観戦したいと思い、ひょっこり現れたちゃーりー氏とフリプをしながら決勝開幕を待つ。

決勝ラウンド(観戦)

準々決勝、青赤テラーのゆーき氏は、ジェスカイブリンクの大福氏を制した。

角とうふ氏はドレッジミラー。
苦戦していたようだが《ボジューカの沼》の有無により角とうふ氏の勝利。

準決勝

ゆーき氏と角とうふ氏の対決。

試合内容は配信にて見られる為そちらをご覧頂いたい。

1:24当たりからがこのマッチアップだ。
非常にスリリングで見応えのある名勝負だったので是非とも観て頂きたい。

私は観戦しながら見知った面子と雑談していた。

この対面、どちらが勝っても嬉しいから困るよね。
決勝で見たかったね。なんて。

するともーりー氏が、「しっかりとパウパーに向き合っている人たちが勝ち上がってるのは本当に嬉しい。」と言っていた。

全くもって同意見である。

思えば毎週見るような面子は私も含め序盤で連敗していても諦めずに中盤から連勝していき、4勝〜5勝まで上がっていた者も多い。

だからパウパーというフォーマットが好きなのだ。
カードゲームなので運に左右される部分も大きい為全てがとは言えないが、これまで積み上げて来たものがしっかりと報われるフォーマット。

それを具現化したような二人の対戦。

何だか込み上げて来るものがある。

「どっちが優勝しても俺泣くと思うわ。」

そう言うとニヤニヤしながら「もう涙声じゃん。」とにしむー氏。

うるせぇわ!30代半ば過ぎると急に涙もろくなるんだよ!
お前らもあと数年でこうなるんだぞにしむーおーたに!

そうこうしている間に決着。

角とうふ氏の勝利。

常に堂々としていてクールなゆーき氏がほんの一瞬だけ悔しさを露わにした。
それだけ本気だったのだ。
内なる情熱を制御しながら走り続けて来たのだ。

すぐに落ち着きを取り戻し、角とうふ氏へと手を差し出す。

そのまま二人は熱い握手を交わした。

実際の所はわからないが、きっと二人の間には言葉では表せないような想いのやり取りがあったのだと思う。

その後決勝戦準備の間に、沢山の方が賞賛やエールを贈る。

私は性格の捻じ曲がった男なので、「とうふさん優勝したらオッサン泣いちゃうから頑張らなくてもいいよ。」と精一杯捻くれさせたエールを贈った。

彼の表情を見ただけで応援している事が恐らく正しく伝わったであろう事がわかった。

いよいよ決勝戦が始まると言う時、ゆーき氏が角とうふ氏の元へ歩み寄り、ポンと背中を叩き、「頑張れ。」と小さく一言だけ言い立ち去って行った。

は!?何アレ!?クソカッコいいんですけど!?
俺もアレやりたいんですけど!?

全然決勝ラウンドとは関係のない私の情緒は何故かグチャグチャである。

清水大世、原田悠生、パウパーを真剣に見つめ続け、パウパーを愛した二人の戦いは幕を閉じた。

二人ともカッコよかった。

私はこんなにも凄い二人の近くでパウパーをプレイ出来ていた事を誇らしく思う。


角とうふ氏、決勝進出。

決勝

俺たちの角とうふ
清水大世選手
(ジャンドリアニメイト)

Hareruya Pros所属
平山怜選手
(ジェスカイブリンク)

ついに始まった決勝戦。

私達TC東京パウパー民の期待を一身に背負う角とうふ氏が立ち向かうはプロプレイヤー、平山怜選手。

2:04〜当たりからが決勝戦。

本当ならテキストカバレージを起こしたい勢いだが、本記事は角とうふ氏の応援記事でもある為、いち早く届けたい故割愛する。

一本目、序盤《戦慄の復活》フラッシュバックにより、《ロッテスの巨人》を釣り上げ相手ライフを5点まで削るも、《つぶやく神秘家》と《古術師》により回収された《対抗呪文》により、フィニッシュへと動けない角とうふ氏。

膠着状態を耐え、《戦慄の復活》ドロー。
《対抗呪文》スタック《ブレス攻撃》によりフラッシュバック(以下、「裏」と呼称する。)を阻止される事をケアする為に、まずは裏から入る。

当然《対抗呪文》。

続けて手札から《戦慄の復活》。

これが通り一本目勝利。

続く二本目。

角とうふ氏3体目のクリーチャー、《ブランチウッドのうろつくもの》ETBスタック《ブレス攻撃》により《戦慄の復活》裏を阻止されるも、《死体発掘》。

《ロッテスの巨人》着地7点。
次ターンアタックが通り平山選手残ライフ8。

《ボーラスの使者》により《対抗呪文》を回収されるも《臭い草のインプ》を戦場に追加し、果敢に攻め続ける。

平山選手の《浄化の野火》《ロリアンの発見》サイクリングによるフルタップの隙を突き、《屑鉄造りの雑種犬》蘇生から《戦慄の復活》裏。


清水大世、神挑戦者決定戦優勝おめでとう。

あとがき

本当に嬉しい。

自分の事かと思う程に嬉しかった。

おーたに氏とにしむー氏がこちらをチラチラと見ている。

泣いてねーわ!こちとらオッサンやぞ!耐えられるわ!
あと勝手におーたに軍団に入れるな!
一匹狼気取らせろよ!
あと君ら忘れてるかも知れないけど、俺君らよりだいぶ年上だからね?

年上なのは別にいいや、年齢とか気にせず接してくれる方が嬉しいし。
年齢など一切関係なくコミュニケーションを取れるのがTCパウパーコミュニティの素晴らしさである。

そんなTCパウパーコミュニティ、別名おーたに軍団から神挑戦者が誕生した。

とうふさん本当にカッコよかったわ。

《ブレス攻撃》からの《死体発掘》は本当に痺れた。
だからプレミしたけどどうにかなったとか余計な事言わなくて良いんじゃ!
カッコいいままにしときなさいよ!

と言う事で解散。

私はTCを出る前に喫煙所にて一服。

余韻に浸る。

雨はもう止んでいた。

眼鏡に水滴。

誰も喫煙所に来なくて良かった。

だって気持ち悪いじゃん。

革ジャン着たオッサンがタバコ吸ってヒックヒック言いながら泣いてんだよ。

自分でも気持ち悪いもん。

いや、しかし私は自分自身をそこそこドライな人間だと思っていたし、仲間意識なんて物は全く持っていないつもりだったんだが。

いつの間にかなっちゃってたんだねぇ、仲間に。

いやはや不思議な場所と不思議な連中ですよ。


兎に角、清水大世おめでとう。
神決定戦、胸を張って挑んで来い!

当日は仕事なので行けそうにないけど配信見るから、あまりオッサンを泣かせるなよ!

柏市のスーパー銭湯、健美の湯のかき鍋定食

吉田おいなり

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