【対談】黙劇 × もちだころ 「絵について。」（後編）(2)　「えがく」と「かく」の違い

［　黙劇　］　漫画「sister.」、詩集企画「sea.」など
［　もちだころ　］　地元漫画「まつかぜ」、同人誌表紙など

横浜のとあるアメリカンダイナーにて、ビールを飲みながら、、

＊前半はこちらから（黙劇さんブログ）から読めます。

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「えがく」と「かく」の違い

黙: あ、これはね、「絵をかく」っていうときに、ほんとにワンパターンだけなのかっていうこと。わかりやすく言えば、漫画を描くときと一枚絵を描くときって、違いますかとか。あとは、表紙のイラスト的なものを描くときと、物語を描くときっていうのはなんか、イラストは「かく」っていうじゃないですか、でも物語は「えがく」っていうじゃないですか。

も: あー、逆のイメージでした(笑)
「かく」と「えがく」のイメージはもしかしたら逆転してるかもしれないですが、そこに差があることは一緒です。

黙: そこらへんの話しできたらなー、なんていうところですね。

私はどちらかっていうと、ストーリー的なところがあると「えがく」っていう感じになるんだよなあ。で、なんか非常にこう描き手側がある程度制約されている状態が「かく」っていうことなのかなっていうイメージかな。「えがく」ってなんかこう、、まるい、、まるいっていうか、なんか、、ワ～～って、いうか、、、、(笑)

も: いや、ちょっとわからないです(笑)

黙: なんていうの、制限されずにできる、フリーダムな感じがするんですよ、「えがく」っていうのは。

も: さっき言ってたイラストと絵画の違いみたいなのにちょっと近いかも？

黙: そうですね、そうですね。かなー。

も: 自分はちょっと違うイメージがあって。さっきのイラストと絵画の違いはあるんですけど、漫画みたいな物語と一枚絵の違いもあるなと思ってて。なんか一枚絵は、もうそこに全部が集約されてるんです。で、物語はそれを紐解いてこう、ピューって伸ばしていくと、物語になる、みたいな感じ。例えば、物理の方程式があるじゃないですか。あれ方程式をみたらそこに全部が集約されてるんだけど、例えば問題になるときは、こういう条件だった場合にどうなりますかみたいに、条件が与えられて、それに対して解いてくっていう、物語みたいなものが発生していくじゃないですか。なんかそういうイメージですね。
ていうような、一枚の時間が止まってるなにかと、物語っていうものはなんかちょっと違うとは思ってる。

で、表紙みたいなものを描く時は、何かのワンシーンで描いてもいいんだけど、誰かの作品の表紙とかをやるときって、その全体像をぼんやりそこに全部入れたい、みたいなのがあって。とか、この言葉から受けた印象、みたいなので描くから、物語ではないんですよね。そこにひと固まりにポンとあるようなものを描くっていう違いがあるなーとは思ってますね。

黙: なるほどお。

も: それ以外にも、表紙を描くときには色とかも迷うんで、また別の違いもありますけどね。

黙: もうデザイン的なところになりますよね。

も: 漫画だったら線で良いじゃないですか。だけど表紙になった瞬間に線だけで良いのかっていう気持ちになってきませんか？
『sister.』はすごい潔く漫画絵をボンってやってますけど、黙劇さんは迷いません？

黙: あー、私あんま迷わないかな。

も: 線で行こう！と

黙: 写真っぽいものが良いなと思ったら写真にしてたと思うし、とか。
ちなみにですが、これはね、タクシードライバーっていう映画の表紙を、、、

も: あ、そうなんだ。オマージュなんですか？

黙: オマージュなんです。この文章も二行目くらいまではほぼ同じなんです。「でも、彼女はひとつのsisterを持ってる」っていう説明文になるんですけど。

も: 、、、知らなかったですが、そうなんですね。

黙: 非常に孤独である、みたいなことが書いてあって、それで彼女にはsisterが居る、っていう文章で始まる。ちなみにタクシードライバーっていう映画はもう「絶望的な状況です」で文章自体終わってるんです。

も: それも一番最初、タイトルにそう入ってるんですか？

黙: えーっとね、ＤＶＤジャケットに確かそう入ってる。
ていうのがあったんで、それありき。まあ、今の話しとはちょっと違ったかもしれないんですけど。

も: いやいや。
黙劇さん的に、一枚イラストみたいなの描くときと、漫画描くときの違いで、さっき言ってたように自由度の違いみたいなのがあるということですけど、例えば自分でテーマ設定して描くっていうのもあるんですか？誰かの冊子の表紙みたいなのは確かにテーマが決まってるかもしれないけど、自分で一枚絵を描くってことはあんまりないんですか？

黙: あのね、あんまり、、。けっこう私一枚絵描いてますよね？

も: 日々ツイッターにあげてるものはそうですね。でも、あれもシーンの一部なのかな。

黙: あー、そういわれちゃうとそうなのかもしれないような、、、気もしなくもないような、、