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gumiの今後のカギを握る事業は?

gumiの決算が発表されました。
数字だけを見るとなかなか厳しい決算内容ですが、実態はどうなのか?
資料から読み取っていきたいと思います。

1.決算概要

まずは決算概要について見ていきましょう。
売上高は対前年比+3.1億円(+1.7%)の189億円となりました。
既存オンラインゲームの売上は減少しましたが、新規配信開始したゲームの売上増によりプラスの結果となりました。
一方、営業利益〜当期純利益までは大幅な赤字となってしまいました。
営業利益から経常利益までに約18億円損失が膨らんでいますが、暗号資産評価損で8.5億円、持分法による投資損失で5.7億円の損失が計上されています。
その結果、最終の当期純利益は△62.7億円の赤字となりました。

出典:決算説明資料より

2.バランスシートの状況

次にバランスシートの状況について見ていきましょう。

まずは自己株式の取得です。
ただ単純な自己株式の取得ではなく少し入り組んだ事情がありました。
ことの発端は創業者の國光氏から自身の所有する株式の一部を売却したいとの申し入れがあったことに始まります。

出典:IRニュースより

國光氏は自身所有の2,245,200株の売却の意向を示し、その買取の引き受けをgumiと経営層の二人が引き受ける形となりました。
gumi買取分は自己株式の取得として1,121,000株を、経営層の買取分は社長の川本氏と取締役の本吉氏の二人で1,124,200株を買い取りました。
これだけの株数が市場に放出されると今後の株主総会の議決の可否にも影響があるので、経営層含めたgumiでの買取を決意したのだと思います。
この自己株式取得により約10億円のキャッシュを放出することになりました。

出典:IRニュースより

次は借入金についてです。
もともとは2021年7月30日に三井住友銀行から借入期間3年間で30億円の融資を受けていました。

出典:IRニュースより

その時点で同行から既に20億円の借入金が残っており、この30億円で20億円の借入金は一括返済しました。
よって実質は10億円の追加借入を実施したことになります。
6月に自己株式取得で10億円を使ってしまったので、運転資金の不足を補うための借入金かと推測します。
ただこの後1ヶ月経たないうちに状況が変化します。
2021年8月30日付で三井住友銀行をアレンジャーとする4行によるシンジゲートローンを組むことになったのです。
(三井住友銀行、山陰合同銀行、みずほ銀行、香川銀行)

出典:IRニュースより

借入金額は39億円で7月に三井住友銀行から借入した30億円はこのシンジゲートローンによって一括返済しました。
たった1ヶ月足らずでシンジゲートローンが組まれることは考えづらいので、理由はわかりませんが当初から予定されていた流れなのかもしれません。
いずれにせよこの時点で19億円の追加借入を実行したことは事実です。
ただ幸いなのはこの時点での借入金利は相当低金利で実行できている点です。40〜50億円の借入金に対して支払利息は年間で40百万円たらずなので、金利としては1%前後かと推測できます。
今後は金利が上昇するかもしれませんので、借入のタイミングとしては良かったのでしょう。

次は「利益剰余金」に関してです。
今回の決算で当期純利益が△63億円と多額だったため、利益剰余金が△22億円になってしまいました。

出典:決算短信より

次の決算で債務超過になるような状況ではないと思いますが、今回並の赤字決算が今後数年続けば債務超過になってしまうでしょう。
もちろんそうならないように今後対策を練ってくるかと思いますが、状況としては芳しくないかと思います。

3.今後の展望

最後に今後の展望です。
これまで別セグメントとして位置付けていたXR事業とブロックチェーン事業をメタバース事業として統合することになりました。
これによって事業としては「モバイルオンラインゲーム事業」と「メタバース事業」の二本柱で展開していくことになりました。

出典:決算説明資料より

事業名に「メタバース」をはっきりと示すことで今後の方向性への強い決意が垣間見えます。
ただメタバース事業が柱として利益貢献するにはもう少し時間がかかるのではないかと思います。
そう考えるとメタバース事業の成長とgumi自身の成長を支えるためには、やはり既存のモバイルオンラインゲーム事業が安定して利益を出せることが必要不可欠となってきます。
つまりgumiの今後のカギを握るのは「モバイルオンラインゲーム事業」であると考えています。

gumiの今後に注目ですね。






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