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ヒカル砲に見るロコンド が今後化ける可能性

“ヒカル砲”によって4月の一週間で6億円の売上‼︎

というニュースを見にしたので調べてみました。

”ヒカル砲”とは

そもそもヒカル砲とは何か?という点です。
ご存知の方も多いかと思いますが、”ヒカル”とは人気Youtuberのヒカルさんのことです。
彼が手がけるファッションブランドReZARDとロコンドがコラボして、スニーカー等の商品を販売する企画のことを”ヒカル砲”と呼びます。

この企画で4月2日から販売を開始したスニーカーが爆売れで、一時サーバーがダウンしたほどの人気ぶりでした。
その結果、販売から一週間で「売上6億円」という結果となりました。
一足あたり1.4万円強の販売価格なので4万足程度注文が入ったと推測できます。
ただ実際の商品の出荷は6月からなので決算への反映は少し後になりそうです。

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この企画は何を意味しているのか?またこの企画をきっかけにどこに向かうのか?
それを探るためにはまず決算内容を見ていきましょう。

FY2019決算の概要

まずは決算概要です。

売上高は86億円で対前年度比+19億円(+28%)、営業利益は△0.8億円で対前年度比+9億円(+92%)となり大幅な改善となりました。

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またロコンドは決算資料の中で指標として”EBITDA”を表示しています。
EBITDAに関してはいつくか算出方法があるのですが、ここでは以下の算出方法を採用しています。

EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却額 

あとでも触れていきますが、ロコンドはこれからM&Aを進めていく方針です。
FY2019では1件、またFY2020でも1件すでに決定しています。
そうするとのれんの償却額が今後増えてくるので、指標としてEBITDAを表示するという判断に至ったのではないかと思います。
ちなみにEBITDAベースで見るとFY2019は黒字になっています。

あとここで触れなければいけないのが減損損失の存在です。
経常損益から当期純利益までの間で減損損失3.4億円が計上されています。

これは20代女性層の顧客獲得を目指しモバコレを吸収合併しました。
このM&Aによって一定の効果はありましたが、売上は当初想定を下回り将来の不確実性が高まったことから保守的に減損損失を計上するに至りました。

ただこのM&Aのためにモバコレの全株を3.9億円かけて取得し、その同年度に3.4億円の減損損失を計上するのって・・・ 正直疑問符が付きます。

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キャッシュフローの状況

次にキャッシュフローの状況について見ていきます。

ここでのポイントは「モバコレの全株取得」と「借入金返済」の二つです。

先ほども触れたようにのモバコレのM&Aで3.9億円かけて全株取得をしました。
これによって投資キャッシュフローは△4.8億円となりました。

財務キャッシュフローは借入金返済5億円の影響もあり、△5.8億円となりました。
借入金についてですが、FY2019末時点で銀行4行と当座貸越契約を総額16億円で結んでいます。
FY2018末時点では12億円だったので借入枠を4億円プラスしたようです。
銀行4行は「三菱UFJ・三井住友・みずほ・りそな」なので、がっつりメガバンク4行と契約を結んでいます。
個人的には少し毛色の違う銀行を組み入れたほうがいいのではないかと思います。ネット銀行や地方銀行の中でも優良な銀行はありますので、今後の資金調達を検討する時はそうした選択肢もありなのかなと思います。

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今後の化ける可能性

最後にロコンドの今後について見ていきます。

ロコンドは中期戦略の中でM&Aによる若年層会員基盤の獲得をあげています。
実際にFY2019中のモバコレのM&Aでは一定の効果をあげることに成功しました。

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しかし期待ほどの効果をあげることはできずに減損処理をする結果となりました。

一方でこの4月のヒカル砲。
これは確かに狙い通りの効果があったのではないかと思います。
ただこの効果もあくまで瞬間的なもので持続効果の期待は薄いかと思います。

ではロコンドが今後大きく化けるには何が必要か?

自社ブランド」と「大型M&A」、この2つが必要ではないかと思います。

自社ブランドと言っても簡単なものではありません。
あのZOZOでも自社ブランドには苦戦を強いられている状況です。
ただ純粋な自社ブランドではなくても今回のヒカル砲のようにインフルエンサーとのコラボ企画をシリーズ化できれば、継続的効果を発揮することは可能ではないかと思います。

またM&Aに関しては、モバコレのM&Aように手許資金内での小型M&Aではやはり大きな効果を得る可能性は低いかと思います。
となるとやはり大型M&Aで大きく仕掛けるしかないかと思います。
ロコンドと同等規模もしくはもっと上の規模の企業に目を向ける必要があります。
候補としてはマガシークやルミネ でしょうか。
しかしこれもまた簡単な話ではありません。
そもそも手許資金は18億円借入枠の残高は11億円と潤沢な資金があるわけではありません。
そうなると新規で資金調達をする必要が出てきます。
今の市場金利等の状況から考えると、新株発行よりは銀行借入の方がベターな判断となりそうです。
ちなみにマガシークの総資産は65億円、銀行の借入次第ではいけなくはないのでは?と思います。
でもドコモの子会社なので株取得の障壁は高そうですが。

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こうやって考えてみると「自社ブランド」も「大型M&A」もどちらの道もそんなに簡単ではなさそうです。
しかしこれかロコンドが大きく化けて今の規模の10倍いやそれ以上の成長を目指すなら大胆な経営判断が必要だと思います。

今後ロコンド はどのような経営判断をし成長していくか、非常に注目です。

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