妬くほどのろけ
主人がくつろいでいましてね。
手前に本が表紙をこちら側にして置かれてたのですね。文庫本。
綺麗な女性の絵でしてね。
目の錯覚で、
女性が主人と見つめ合っている場所に置いてありましてね。
嫉妬?
まさか!
本の位置を見えないように隠しました。
ということがありまして。
女房の妬くほど亭主もてもせず、とはよく言いますけれどもね。
とてもまめでやさしくてひのうちどころのない人です。
えーと、これを、
おとぼけ
うぬぼれ
べたぼれ
……
なんだっけ?
あ!
のろけ
と言います。
いやはや。
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