出鱈目物理学者入門

出鱈目物理学科への門を潜れぬのはトンデモトポロジー的思想の賜物である。お早う米氏の論文に頻出のトントコトインピーという出鱈目は粒子の名前を持つ波動でありその色彩は派手やかな真赤な玉虫色である。

ドレミのレには哀しみがある。ドの隣には涙の跡が掠れている。黒いピアノの光は妄想の弾き手を奏で、想い出に聴く風の音に、メトロノームの止まったままで永遠に来ないはずのメロディを夢見る。

夢見ただけで世界が回るのならば地動説さえ天動説の末裔であり、宇宙創世記にはSFの血が流れていなくてはならない。

君よ、神様の造られた人形の形のままで運命を量子論と相対性理論と遊んでいる者が人間であるならば、出鱈目虚ろなこの真実の世界をどのように捉える。

もはや夢の中でも夢のまた夢の永久に続いてゆく夢を見続けることさえ許されぬ世の中にしたのは人形の形のままの宿命のままに甘んじた結果なのかもしれぬ。

運命を転がせ。そいつは出鱈目虚ろな物理学者の最期の願いでありまた、出鱈目物理学者入門でもある。

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