ピアノ
音楽をずっとやっていたので、ピアノが普通に弾ける。
普通というのは、ドビュッシーのアラベスクがちょっと弾けないぐらい、というニュアンスである。ラヴェルは無理。リストも無理。バッハはそんなに好きじゃない。
職場でも弾けることは話していた。そうすると、学習発表会やら式典やらでピアノの担当になるわけである。
他の先生方から、お世辞ではあるが「緊張するのに立派に弾いてくださって」「ピアノは大仕事だから毎回すごい」などと、各方面からお気遣いのお言葉をかけていただける。
その度に「全然そんなことないです」と恐縮気味に言っている。
が、私にとってピアノを弾くことは何の苦でもない。小学校の教科書掲載レベルのピアノ伴奏であれば、ほぼ初見で弾けるので全く負担になっていない。一人暮らしを始めてからは、鍵盤に触る機会も少なくなったので、弾けて楽しいのである。
しかし、働き方改革の流れもあり「一部の人に負担がいくことは良くない」となってきている。先日が卒業式だったのだが、事後の打ち合わせでも「CDを流すので十分だと思う」という意見が出ていた。今後はそういう形になっていくと思う。
で、別にそれは全然良い。そうした方向になっていくのが至極当然だからである。
しかし、単純に私はピアノを弾くことが好きで、負担だと思ってなくてその仕事を担当しているのに、否定されているように思ってしまう。
先生方はすごく気を遣って、私に労いの言葉をかけ、今後のために「もうピアノ弾けるって言わないほうが良いよ」と声をかけ、全体の働き方を良くするために先述の提案をしている。
わかってるけどーー!!でも私はピアノ弾きたいんだよー!!!ひけらかしたいわけじゃないけどさーーー!!!!楽しいからさーーー!!!
という気持ちである。
誰にもうまく伝わっていない。
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