博士課程で身につける、考える技術①:試行錯誤

大学院に進学して、5年。
5年間で何を身につけたか。
5年間という長い時間を投資して、何を得られたか。
これから、少しずつ、振り返っていきたい。

今回は、試行錯誤の技術。

試行錯誤の技術

試行錯誤は、簡単なように見えて、奥が深い。
計画する => 実行する => 振り返る => もう一度計画する
という単純なループの繰り返しなのだが、ただやって見るだけでは、一回の試行から得られるものは少ない。
やってみる、という試行と考える、の思考を組み合わせることが大事だ。

大切なことはいくつかある。
まず、選択肢をリストアップすること。どんな課題であっても、やってみる方法はいくつもある。いくつもあることをまず把握すること。これが考えてやってみる一歩。
そして、それぞれの選択肢をとった場合、どんな結果が予想されるか、考えてみる。失敗、成功、それぞれの場合にどうなるか、どんな予想外の結果がありうるか、考えてみる。
そうして初めて、やってみる。
最後に、やってみた結果と予想を比べる。
予想と同じだったのか、違ったのか。どう違ったのか。
どうして予想があっていたのか?どうして予想が違ったのか?

このように考えて一回の試行をすることで、
自分の、考える、に潜む勘違いを見つけられるし、考える根拠が生まれる。
考える根拠が生まれれば、勘違いをただせれば、次の試行で成功する可能性が上がる。このようにして、地道に、次の試行の成功確率を上げていく。
上級者になれば、試行の際に色々なデータを取り、同時にたくさんのことを学べるようになる。次の試行の成功率をより向上できる。

ただやってみることを10回繰り返しても、学ぶことは少ない。
でも、考えて試行錯誤することを5回繰り返すと、少し違う景色が見えてくる。可能性が見えてくる。
この違いはすごく大きい。

最近入ってきた修士課程の学生を見ていると、
初めはとりあえず、手当たり次第やってみる、から始まる。
でも、それでは大抵うまくいかなくて、教員に相談に行く。
そこで、教員と議論するうちに、やってみたらどうなるか、という考える部分が成長していく。こうして、大学院生は、時間をかけて、試行錯誤の技術を身につけていく。

この技術は、どこでも応用できる。
試行錯誤の前に、勉強して、結果を予想することを怠らなければ、大抵の課題に適用できる。
たとえ、全く違う分野に入ったとしても。

最後までお読みいただきありがとうございます。私たち大学院生にとっては、多くの人に実情を知ってもらうことがなによりの支援になります。普段の会話やSNSで大学院生について話題にしていただけると大変ありがたいです。