ナイナイ岡村失言問題に思う『自称フェミ』はそろそろ軌道修正したらどうか

ナイナイ岡村、深夜ラジオで大暴投

ご存知の方も多いと思われるが、芸人・ナイナイの岡村隆史が深夜ラジオ番組(ANN)で「炎上して当たり前の失言」をしてしまった。

4月23日25時から放送された『岡村隆史のオールナイトニッポン』の1コーナーにおいて、読者からの手紙を紹介した岡村。その内容は「コロナのせいでしばらく風俗に行けない」というお悩み相談だった。

それに対して岡村は「神様は乗り越えられない試練は作らない」といった発言をした後、オチとして「(コロナが)収束したらカワイイ女の子が、短期間だと思うけど嬢をやる。お金がないと苦しいから、3か月程度だと思うけれども、カワイイ子が集中的にそういうところ(風俗店)で働きます。」
こうぶちまけた後に「だから今は我慢して切り詰めて風俗に通う金を貯めておき、その3か月間のために踏ん張りましょう」と締めくくった。
※一部要約

この発言内容が切り取られてSNSで拡散され、「岡村は女性の不幸を望んでいる」「女性を性の道具としてしか見ていない」といった非難の声が挙がり、大炎上へと発展してしまった。

岡村の失言以上に問題な過剰な岡村叩き

岡村の発言そのものは、流れのすべてを把握していれば「ナンセンス・暴言で落とす」というよくあるネタだと分かるはず。
だが、それを踏まえて考えてもセンスを疑われておかしくない内容だし、いくらなんでも時期がシャレにならな過ぎた感もある。
よって、お叱りの声が集まる事自体には、そこまで異論はない。

ところが、今岡村叩きに勤しんでいる連中は、なんとANNではなくこの件とは無関係なNHKの番組を降板させようと署名運動を始めたのだ。

女性軽視発言をした岡村隆史氏に対しNHK「チコちゃんに叱られる」の降板及び謝罪を求める署名活動

理屈としては、「このような発言をする人間に、大勢の子供が見るNHKの番組MCは不適切だ」とのこと。深夜ラジオでのちょっとした軽口が、まるで犯罪扱いである。

これ以外にも、「岡村を芸能界引退まで追い込め」とシュプレヒコールを挙げている人間までおり、ここまで来ると明らかに過剰反応と言うよりない。

KuToo運動で名を挙げた石川某など、今回の件に対して「岡村をMCにしてフェミニズムを学ぶ番組を作れ」といった署名を集めている始末だ。

「ナインティナインの岡村隆史さんを出演者に起用し、今回なぜ岡村さんの発言は批判の対象となったのか。そして『女性の貧困問題』『日本の女性軽視』『搾取の構造』『フェミニズムとは』を学べる番組を作り放送してください」

これなど降板を迫る署名に比べたら穏便に感じるかもしれないが、連中の言う「フェミニズムを学ぶ」とは、ヤツらが信奉する歪み倒した思想の押し付けになる事は確実で、仮に実現したとしたら自己啓発セミナーの光景をそのまま電波に乗せて垂れ流すような映像になるだろう。

彼女達が理想とするのは、多分ソビエトみたいな国家だ。

矢部っちによるガチ説教に終始した岡村ANN最新回

そんな騒動の最中(4/30)に、岡村隆史のANNの最新回が放送された。序盤は岡村一人による謝罪放送で、笑いの要素は全くなく、ただひたすら暗いトーンで謝り続けるという内容だった。

番組に変化が訪れたのは開始20分辺りから。相方のナイナイ矢部が登場し、そこからは矢部による岡村へのガチ説教が深夜3時まで続くという、2度と聞けないであろうレア回となった。

この矢部による説教というのが、よくある予定調和のやり取りには感じられないシビアなもので、学生時代の話から始まり、岡村の人間性について細かいエピソードを交えて非難して行くという、とんでもない放送だった。

たとえば、「YESマンに囲まれて調子に乗っていた」「ラジオも長く続いて甘えが出た」「それが今回の失言に繋がっている」「スタッフに有り難うというところから始めろ」など、いまネット上に転がっているどの岡村批判よりも具体的かつ厳しいダメ出しだったのである。

そんな話の流れの中で、矢部は岡村が「交際相手の親に(オトナとして)挨拶をするような、年相応のまともな男女関係の経験が無かった」「岡村が女性にトラウマを抱えるキッカケとなった女性がいた」など、どうして岡村があのような軽口を叩いたのかという背景が伝わるような助け舟をこっそり出していた。

この矢部の話の組み立てに、私は強いコンビ愛を感じてしまった。矢部は自分が岡村を滅多打ちにする事で、自称・正義の人々によるリンチから守ろうとしたのではないだろうか。

「過失に見合った罰」という考え方を理解しないチンピラたち

さて、私は岡村騒動に限らず、以前からSNSなどで暴走する正義の人々に対して、強い危機感を感じていた。
今回の岡村の失言は、話の流れで、あくまでネタとして発した事であったにせよ、あまりにも迂闊だった事は否定できない。

特に岡村や周囲のスタッフが甘かったのは、今のご時世「岡村は強者と見られる」という視点が抜け落ちていた事である。
日本国民がどんどん貧しくなり、それに加えてこのコロナ禍のせいでますます貧困問題が加速してしまい、そんな中で一般人には手が届かない大金を稼いでいる売れっ子芸能人という ”強者” が、不用意にこのような発言をしたらどう受け取られるか。そういう考えに及ばなかった事こそが問題であると思う。

とはいえ、あまりにゲスな内容ではあったが、あくまで深夜ラジオというゾーニングされた空間での軽口の類だ。長く続いている番組だけあって、常連リスナーとの閉じた空間に甘えていた点は否めないにしても、職を失うまで追い込まれるほどの事ではない。

これで謝罪も反省もないというならば問題だろうけれども、昨夜の放送のようにとことんまで謝罪の意を表したのだから、これ以上何かを追及するというのはやり過ぎである。
それでもなお「まだ足りない、誠意が見えない」などと言う輩は、総会屋・恐喝右翼・ヤクザらとやっている事が全く同じだという事を自覚すべきであろう。あまりにもやっている事の筋が悪すぎる。

罪には、それに見合った罰というものがある。
それについて、twitterにこのように書かせていただいた。

これくらいの罪に対して、どの程度の罰が相応しいかという量刑の判断は、裁判官など法のプロの領分であって、素人が適当な感覚で私刑を行ってはならない。それがこの国のルールである。
ところが、この手の正義の人々はそうしたルールを無視し、自分の好き勝手に他人を罰しようとしてしまう。

そんな知性を否定する野蛮な連中が、正義を名乗って他人を火あぶりにするなど、許していいはずがないではないか。

第一、そのような威勢のいい事を言って岡村を火あぶりにしようとしている連中には、何一つ後ろ暗い事がないのだろうか。

たとえば、KuTooの石川は自分の著書に他人のツイートを改竄した上で無断掲載するという暴挙に出たり、他にも数多く批判を受けているが、彼女が一度でもまともに謝罪・反省した事があったのだろうか。

それに岡村に石を投げつけているフェミ界隈の著名人は数多いが、たかだか一芸人の深夜ラジオでの軽口にそこまでの断罪を求めるならば、なぜ広河隆一を野放しにしていたのか。

広河隆一というのが誰なのか知らないという方のために説明すると、広河とはフェミ・人権屋界隈で権威とされていた、カメラマン・ジャーナリストである。

その広河が、長年に渡ってジャーナリスト志望の女性などに対し、酷いパワハラ・セクハラ、場合によっては性暴力を行っていた事が発覚したのである。

この件を受けて、それまで些細な事でピーチクパーチク言っていたフェミ業界のお歴々は一斉に沈黙。誰もが他人の出方を伺っているかのように無言になるという面白い光景が見られた。

その後、人によっては広河との接点を自分が運営する団体のサイトから削除してシラを切ったり、問題に深入りしないように適当に距離を取って誤魔化してみたりと醜態が続き、結局ロクな解決もしないまま今に至る。

岡村はあくまで軽口を叩いただけであり、誰か特定の女性に対して性暴力を行った訳ではないし、犯罪行為をした訳でもない。
であるならば、謝罪があれば適当なところで矛を収めるのが当たり前なのではないのか。それが理性・知性というものではないのか。

広河隆一ひとり満足に追及出来なかった連中が、岡村の失態ごときに必死になるとは、ハッキリ言って「バカじゃねえの?」としか思えない。
そんなヤツらは、もはや正義の人でも何でもなく、単に弱そうな人間に因縁をつけて回っているだけのチンピラである。

岡村を極悪人に仕立て上げねば大義名分も手に入れられないフェミ論壇

私はこのフェミ界隈を中心とした暴走ぶりに、ある事件を思い出してしまった。かの有名犯罪者 ”片山ゆうちゃん” を生み出した『PC遠隔操作事件』である。

あの事件で引っ掻き回された警察は、無実の人間をとっ捕まえて犯人に仕立て上げようとするなど無能さが晒されて大恥をかき、メンツが丸潰れになってしまった。

その結果、単なるパソコンヲタ・ブサメンと非モテのテンプレートみたいな片山ゆうちゃんは、警察の失態を帳消しにすべく(?)、それに見合った大犯罪者に仕立て上げられた。

あまりに件数が多過ぎたという事はあるけれども、それにしても求刑が懲役10年で、判決が懲役8年というのは、いささか重すぎるのでないだろうか。まるで実際に人を殺したかのような重罪人扱いである。

何故フェミ戦士様達の言動がこの事件に似ているのかというと、彼らは自分が敵と看做した相手に対して、あまりに感情的に罰しようとし過ぎる。
そのため、それを正当化するために、必要以上に敵を重罪人という事にしたがるのである(フェミに限らず反差別を謳うしばき隊なども同様)。

岡村の件も、深夜ラジオで悪ノリして怒られたというだけの事なのだから、ここまで大炎上するほどの話でもなかった。
ところが、脊髄反射的に「キーーー!」 と大声を挙げてしまった手前、それで済ます訳にはいかないのである。

そこで行われるのが「いかに岡村が極悪非道か」というアピールと、「だから私の怒りは当然だ、求める罰も妥当なのだ」という自己弁護だ。敵を大罪人と認定する事で、いわゆる大義名分を得ようとしているのである。

そんな連中に煽られて、その気になってやり過ぎな岡村叩きに夢中になる人々を見ると、「人間というのは中世の魔女狩りの時代から何も進歩していないのだな」と思い知らされる。

おそらく、魔女として火あぶりにされた哀れな女性達も、こうしてヒステリックに吊るし上げられ、弁解の機会も与えられずに焼き殺されたのだろう。

なぜフェミ戦士様達は見当違いの方向に全力投球してしまうのか

最後に、フェミ戦士様達に対して常々思っている事をぶちまけておこうと思う。

本来ならば、今回の一件でフェミが最も力を注ぐべきは、コロナ禍のせいで抜け出せぬ貧困に追い込まれる女性への救済であるとか、そうならないための予防線を張るといった、”実在女性に対する前向きな対処” であるはずだ。
むしろ、それが出来ないならばフェミなんて看板は下ろした方がいい。

だが、こういう場合に特定の的(何かやらかした有名人)に向かって投石攻撃だけしている輩というのは、一体何がしたいのだろう。何故そんなところに労力を割いているのだろう。

それが特にフェミ系団体に属している訳でもない無責任な素人というならどうでもいいが、理解できないのはその手の団体を持っているフェミ業界の有名人ですら、他人へ石を投げつけるだけで満足してしまっている点である。

たとえばこの岡村問題で言うならば、岡村の失言のどこが問題なのかという説明は必要としても、岡村個人に対する「指詰めろ」的な執拗な攻撃は果たして必要と言えるだろうか。

もし真剣に社会問題を解決に向かわせたいという想いがあるならば、岡村叩きなんてどうでもいいフェイズは程々にして、そこを入り口に現実として存在している女性の貧困問題などに繋げて行くべきでないのか。

たとえばこういう事だ。

「岡村氏のラジオでの失言は到底聞き流せるものではない。我々はラジオ局や所属事務所に対して抗議文を送った。岡村氏には強く反省して欲しい」

「だが、実際問題として岡村氏が言うような身体を売らねば経済的に耐え切れぬ女性が多くいる事も事実である。それに対する国家の補償を求める」

このような話に持って行き、人と金を集め、社会をより良く変えて行くのがフェミの仕事ではないのだろうか。

それをこういう面倒な本丸の部分を忘れ、芸能人叩きだけに執心するというのは、もはやフェミでも何でもなく、お心のお病気の類だとしか思えない。
現実社会の問題解決を最優先出来ず、個人的な感情をぶちまける事しかしないのであれば、掲げる看板が何であれ ”偽物” である。

フェミの看板を掲げる連中が意味の分からない活動に力を注げば注ぐほど、救われない女性が増えて行くのだという事を、頭のどこかに入れておくべきだろう。

他人様につべこべ言える立場になりたいのならば、まずはしっかりと目的を設定し、そのゴールに辿り着けるような、真っ当な道を歩むべきである。


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