NGTメンバー暴行事件

私はAKB系のグループに全く興味もなければ知識もないので、NGTと言われても誰が在籍していてどんな歌があるのかといった基本情報が欠落している。そんな前提をした上で言うのもなんだが、例の暴行事件について少々言いたい事がある。

『事務所の対応はおかしかったか?』

まず第一に、今回はたまたま性的な暴行ではなかったようだが、だからと言って「良かったね」などとは口が裂けても言えない。
この一件で特に怖いのは「犯人がオートロックの内側にいたこと」だと思うのだが、その状況で「待ち伏せされて掴まれたor殴られた」から「密室に拉致監禁された」まであと1歩である。
むしろ、オートロックの内側で待ち伏せという段階まで成功しておいて、その先まで考えない方が変だとまで言えてしまうかもしれない。

そんな状態で、事務所がペラペラとこの事件のあらましを早期に公言する訳にはいかなかっただろう。何故なら、ほんの些細な情報でも、そこから第二第三の模倣犯が生まれる事が容易に考えられるからだ。
よって、警察の捜査を優先し、外部には何一つ情報を漏らさなかったとしても、何も叩かれるいわれはない。
むしろ、こういう問題が起きた場合に「事実を隠す」とは無責任な事ではなく、犠牲者を増やさぬための責任ある行動だという見方も出来る。

仮に運営や事務所が早まって事実を公言してしまったとしよう。その結果、若い女性にとって辛い話がある事ない事ボロボロと出て来てしまい、その後の人生がぶち壊しになるような展開になったとしたら、誰がどう責任を取ればいいのか。被害者叩きが大好きな国民性なのだから、そうなってしまう可能性は充分に高い。
また今回の事件はレイプ事件だった可能性もある訳で、その辺りの調べがつくまでは、被害女性の名前が流布するような事態は避けて当然ではないか。

こう考えると、後であちこちから石を投げられる覚悟で、事態が落ち着くまで事実を隠し続けるというのも、間違った選択であるとは言えないだろう。(デバガメ根性のマスコミや野次馬にとっては面白くないだろうが)

ただし、これは「プロダクションや運営会社が事後のケアをキチンとやっていた場合」に限られる。
例えば、事件に関わる形になってしまったメンバーを特定し、然るべき処置をするとか、メンバーやファンに対して不公平にならないよう公正な裁定をするとか、再発防止策を考えるとか……。

NGTの一件で問題なのは、そうした「然るべき処置」がされていたならば、例の告発には繋がらなかったよね、という一点である。
事務所なり運営なり、責任ある立場の人間が真っ当な対応をしなかったからこそ、被害者の "metoo" に発展してしまった。
あそこで被害者がmetooしなかったとしたら、この事件はここまで大事にはなっておらず、見事に何もなかった事で終わらされていたのではないだろうか。そういう意味では、日本で起きた中では有数の「信用の置ける+意味のあるmetooだった」と言えるかもしれない。

さて、こうした理由から今言われている「運営は事実を隠した!隠蔽だ!」という批判は少々的外れである。それだけならば特におかしくはない。
正しくは「事後のケアが満足な内容ではなかった」「だから被害者が告発せざるを得なくなった」という大前提から始まり、最後に「隠蔽する気だっただろ」と付け加えねばならない。
よりスキャンダラスに、分かりやすく悪者を仕立て上げられるのは「隠蔽」というキーワードなのだろうが、そればかり振りかざしてしまうと、真に悪かった部分はどこなのかが取っ散らかってしまう。それでは被害者が勇気を出してmetooした意味がない。

『AVよりも芸能界の方が非人道的じゃないか?』

私がこの手の事件を見て思うのが「AV業界の方が芸能界よりマシじゃないか?」という点である。とはいえAV業界はクリーンだなんて事が言いたいのではない。AVはあれだけ世間様にクソ叩きにされてマトモに息をしていない状態だが、AV業界がどう非難されて来たかを考えると、よりそれを言われるに相応しいのは芸能界の方だと思うのだ。
例えば、AVの世界なら間違ってもAV女優のマンションをファンに教えたりしない。それどころか、本名も出身地も生年月日も、何から何までウソの個人情報をでっち上げるのだから徹底している。AVの業界でAV女優の個人情報がファンに漏洩したなど、殆ど聞いた事がない。
また、これは今では否定されてしまった方法論だが、何か問題が起きた場合に「合法ではない人達が合法ではない手段で闇から闇に話を解決する」というのも、AV女優からすれば心強かったと思う。過去にどこかで書いた記憶があるが、セックスワーカーや裸商売の女性は、何か被害に遭って仮に警察に行っても「そんな仕事をしているお前にも落ち度がある」と当たり前のように言われてしまう。だからこそ、非合法な手段であっても、なるべく手早く話を解決する手段が必要だったのだ。

こうしたAV業界の話と比較すると、今回のNGTの一件は色々と「大丈夫か?」と心配になる部分が多い。

まず第一に、ファンがオートロックマンションの内側におり、被害者の帰宅を待ち伏せし、襲い掛かったという点が不思議すぎる。おそらくこのマンションはメンバーの寮のような感じで何部屋か借りていたものだろうと思われるが、その中にみすみす入り込まれている時点で管理が杜撰すぎるだろう。

また、待ち伏せされた被害者は、異変を察知した他のメンバーの協力もあり、警察に通報する事が出来たそうだが、せっかく逮捕させたのに不起訴で話が終わってしまい、完全に被害者の「ヤラれ損」となってしまった。これでは今後似たような事件が(他の場所で)再発しても仕方がない。

こうした事実を並べてみると、芸能界というのはAV業界以上に「人権意識がない」のではないだろうか。また、だからこそ「運営の危機意識が低い」のではないか。

少なくとも、今回被害に遭った子や、その子と同じような待遇のグループメンバー達は、AV女優で言えば企画単体の子よりも扱いが悪そうだ。
アイドルというキレイなお仕事で、AKBの系列という名前もあるというのに、実際は 「ちょっと売れてる程度のAV女優」 よりも待遇が悪く、身辺警護や個人情報の保護に予算も人手も割いて貰えない。
これは芸能界に夢を見る未成年の女の子らに対して、広く伝え広めたい現実である。


『最も罪深いのは誰か、病巣はどこか』

これまた私が以前から言っている事なのだが、この事件は「AKBというシステムの欠陥」が最も大きな要因になっているのではないかと思う。


※今から思い付く限りの罵詈雑言で口汚くAKBのシステムを罵ります。AKBグループのファンという方にはオススメ出来ない内容なので、今すぐページを閉じてください。


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