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板橋区大山の巨大商店街「ハッピーロード」が消滅する!?


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ハッピーロード大山消滅の危機

板橋専門ライターを名乗って何冊か著書を出させて頂いた私だが、その取材でもあちこちから「ハッピーロード大山がマズイかも」と聞かされていた。最も古い本は10年以上前のものなので、かなり前から危険視されていた事案である。

で、地元民には説明の必要はないと思われるが、ハッピーロード大山というのがどのような商店街かというと、戸越銀座・十条銀座・砂町銀座といった都内3大銀座と並び評されるほど有名かつ活気のある、巨大アーケード商店街である。
1日の利用者は平均して3万5千人ほどいるというから、商店街受難のこの時代にあって驚くべき賑わいだ。

で、どうしてそんな賑わう商店街が消えなきゃならんのかというと、最大の理由は昭和21年に立ち上げられ、何度も頓挫したはずの道路計画が生きていて、ゾンビのように襲い掛かって来たため。

しかも、問題なのはその道路計画だけではない。

大山を襲うあまりに雑過ぎる再開発計画

道路計画以外にも……というか、その道路計画を実行するために、大山地区では後付け的にいくつもの再開発計画が持ち上がり、何だかもう誰が何のために行う事業なのか分からない状況になってしまっている。

とりあえず、大山の再開発計画の中でも特に大掛かりなものを羅列してみよう。

(1)補助第26号線の延伸
(2)東武東上線の高架化
(3)駅前広場の建設

(1)の補助26号線というのが昭和21年生まれのゾンビさん。これは都道420号鮫洲大山線を繋げ切って完成させようという計画である。ちなみに車道9m、歩道5.5mずつの20m道路だ。

ところが、この補助26号線にはとても大きな問題があった。完成済みの都道420号線を完全に繋げ終えるには、ハッピーロード大山という巨大商店街をどうにかしてパスしなければならなかったのだ。

一時期は地下に通すか、それとも上に通すかといった議論もされていたようだが、よくよく考えてみたらそれ以前のお話だった。それが(2)の東武東上線の存在である。仮に何とかしてハッピーロードを超えたとしても、最後の最後に東上線の踏み切りがあるため、420号線が開通してもマトモに自動車が走れる状況にはならないのだ。

補助26号線の終点にある東上線の踏み切りの様子。ここに20m道路を通すつもりらしい

よく見て欲しいんだけど、写真の手前側の大きな道路が完成している420号線で、奥の踏み切りとその先の一方通行の道路が補助26号線が作られようとしているエリア。
こんなちっぽけな踏み切りがあるんじゃ、仮に20m道路が完成しても渋滞を引き起こす結果にしかならない。

長らくこれが道路計画を頓挫させていたのだが、運が良いのか悪いのか、都と東武鉄道が重い腰を上げ、遂に東上線の高架化に乗り出した。
このお陰で、上の写真の奥に通っている線路が全て高架化され、その下を補助26号線が通るという形になることに。

それに加えて、大山駅と線路が高架化されるならばと、突然(3)の駅前広場(ロータリー)の建設計画が持ち上がり、大山一帯が一斉に再開発エリアになってしまったのだ。

遊座側はこの写真に写っている一画が全て広場建設のために更地になる
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ちなみに駅前広場の建設エリアはこの写真に写っている区画すべて。「10mクラスのバスが何台も乗り入れられるように」という前提で作られるため、それなりに巨大なロータリーになるらしい。

という訳で、記事のタイトルにはハッピーロードだけを書いたが、実はもうひとつの巨大商店街である遊座大山も無傷では済まない。

仮にこの再開発工事が一斉に始まってしまったら、大山の街の中心ともいえる2つの巨大商店街は、駅付近になればなるほど使えない状態になってしまう。

駅前広場の予定図。実際の地図と比較するとかなり巨大なことが分かる

地元民向けの説明になるが、遊座大山の東上線踏み切りの辺りから養育院まで、全てを更地にして巨大ロータリーを作るという話である。

恐ろしいのは立ち退きラッシュと商店街の歯抜け化

この開発計画が街が便利になるだけの話ならば何も言うまいという感想なのだが、この計画に関してはそうではない。確実に街の衰退を招いてしまう。

どうしてかと言うと、まず道路の延伸工事のために立ち退きを強いられるエリアに、近隣住民の生活の支えてになっている生鮮3品(肉・魚・野菜)の売り場の大部分が含まれてしまっているのだ。


ハッピーロードの開発予定図。あちこち開発区域になってしまっており、正直よく分からない

この計画図を見れば地元民は納得すると思うけれども、白黒の横断歩道のような縞模様になっているのが補助26号線を通す場所で、ここに位置する店は全て立ち退き対象だ。
この位置によしや・みらべる・大曹ストアなど大山の主だった生鮮品売り場がある。それに加えて個人店も何軒もあり、それらが全滅するのだ。
逆に残るのはどこかと言うと、コモディイイダとだるま市場と、遊座の山手通り側のBIA-A本店(本社)のみである。

大山という街の良さは、直線1km以上の商店街の中に生鮮品などの売り場がいくつもあり、それぞれが客寄せのための経営努力で値段を抑え、結果として商店街全体がコストパフォーマンスに優れた 「板橋価格」になっていた事である。それがここまで売り場数が激減すると、板橋価格で物を売る必要がなくなり、今のようなコスパ良好な街ではなくなってしまう。

それに、開発計画によるとマンションと商業施設が一体化したタワマンがいくつも建つそうで、開発によって立ち退きになった店はそこで復活するなんて話もあった。
ところが、家賃が今と比べものにならない金額に跳ね上がるため、実質上復活など無理という結論になってしまっている。ようはこの立ち退きで失われた店は、もう大山には戻って来れないのである。

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ハッピーロードで道路計画からそれて助かるのは、川越街道に近いわずか10店舗+αといったところ。
ただ、このエリアと駅までは今ならば商店街で繋がっているが、道路が完成したらここだけ離れ小島になるため、それで商売が成り立つ訳がない。
よって、事実上この一角も滅びる運命にある。

しかも悪い話はこれだけではない。すでに再開発による立ち退きを恐れて、諦めて店を閉めてしまう個人店が現れているのだ。
また空きテナントが出ても、再開発の話を伝え聞いて怖がって入ってくれず、シャッター店のままになっている場所もあるという。
「シャッター店が殆どない」というのが大山の商店街の凄いところだったのに、それが失われようとしているのだ。

生鮮品の売り場もマトモになく、またシャッター店が立ち並んでしまっては、もう商店街としては死んだも同然だ。いくらハッピーロードとはいえ、そうなってしまっては「都内でも有数の活気ある商店街」という存在ではいられなくなる。
大袈裟ではなく、ハッピーロード大山という商店街が消滅の危機にあると言ってもいい状況なのだ。

ヤバイのは商店街だけじゃなかったり

で、立ち退きを強いられるのは商店街の商店だけではない。東上線の線路付近に住んでいる全ての住民が対象と言っていい。

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まずこれを見て欲しいのだが、東上線を高架化するといっても、東上線の線路というのはご覧のように民家がスレスレまで迫っている、まるで都電荒川線かのような有り様である。
ここで大規模な高架化工事をすると言われても、まず作業スペースがない。

よって、何より先に線路の至る所に ”側道” を作ることになったそうだ。その側道から機械を乗り入れて作業を進めるらしい。


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で、東上線の高架化というのは大山駅付近だけの話ではなく、この下板橋駅近くの東上線の0キロポストがある辺りから、大山駅を越えて中板橋駅付近まで、約2㎞に渡って高架化をする予定でいる。
その2㎞の間に側道建設予定地が何か所もあり、それは全て住宅地なのだ。

だが、側道になる事が予定されている場所に住んでいる人には、最近になってやっとパンフレットが配られたものの、工事時期や規模や再開発計画の全体像など、知らせるべき情報が殆ど伝えられていないのだとか。

誰のための開発なのか?

工事に反対する市民運動 https://www.ooyama-mondai.net/ も立ち上がってはいるのだが、この段階になっても、まだまだこんな無謀な開発計画がある事を知らない人間が多い。

私が取材したハッピーロード振興組合の方はこんなことを仰っていた。

「我々はハッピーロードの形を変えるなとか、何もかも昔のままを維持しろなんて言っていない。ただ、地元で商売をしている我々や、生活している区民の声をちゃんと聞いて欲しい。それを開発計画に反映させて欲しい。区には、せめて商店街を維持することで得られる経済効果と、再開発をすることで得られる経済効果を試算してくれと要望を出したが、そんな数字が出せる訳がないと相手にもされなかった」

区民が苦しんでいたら、その原因を取り除き、平和に生活できるようにするのが区の役割ではないのだろうか。
それが、この開発計画に関して言えば、板橋区が誰よりも欲をかいているようで、区民や商店街からの陳情にすらマトモに耳を貸さないそうだ。

大山の商店街というのは、近隣の5万だか6万だかという区民の生活を支える一大買い物拠点である。飲み屋街として有名だけれども、実は地元民にとって大事なのは生鮮品や日用品の売り場なのだ。
それがごっそり失われるという事は、大山が街としての機能を、そして魅力を失うのとイコールである。

それと引き換えにして、より大きなものが得られるならばまだしも、区や都が提示している計画予定を見る限り、失う物の大きさと引き換えになるような美味しそうな情報は何一つない。

もう断定的に言ってしまうけれども、「やってやったど!」と見栄を張りたい一部の人間や、土地を売り払って儲けたい地権者、そしてオリンピック後のビジネスを確保したい土建屋、そういった人間の都合だけで動いている計画のために、数万人の板橋区民が犠牲にされようとしているのである。

しかも観光資源が殆どない板橋区にとって貴重な「大山の商店街」という唯一無二の存在をぶち壊しにするというのだから、板橋区は遂に狂ったかとしか言いようがない。

という訳で、憤りのあまり勢いで書いてみた。

詳しくは大山問題のサイトを読んでみてね。

より詳しい記事は、このnoteか、もしくはアーバンライフメトロ辺りに書くと思う。


※ 本文ここまで
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