【見出し詐欺はマスコミの常套手段】鬼滅の刃と脱税事件って関係ないよね?

「鬼滅の刃」の文言が踊り過ぎ問題

アニメ制作会社の『ユーフォーテーブル』と、同社の近藤光社長が、脱税の容疑で東京地検に告発された。

上のGoogleの検索結果を見て欲しいのだが、このニュースが流れるやいなや、鬼滅の刃のアニメ版を手掛けていた会社だった事から「鬼滅の刃鬼滅の刃鬼滅の刃鬼滅の刃鬼滅の刃鬼滅の刃……」と、どのニュースもまず ”鬼滅の刃” という単語が踊るという状況に。

これではまるで鬼滅の刃が何か悪い事をしたかのように受け取れるのだが、実はこの話に鬼滅の刃は殆ど関係ない。

今回の容疑は、「2015~18年の間に、運営するカフェなどの売り上げを過少報告し、法人税・消費税あわせて1億4千万円を脱税した」というもの。
鬼滅の刃のアニメは2019年の4月に始まり、半年ほどで放送を終えているので、この脱税事件には無関係と言ってもいいレベルである。

にもかかわらず、各マスコミは会社名よりも鬼滅の刃の名称を優先して見出しに載せている有り様で、しかもそんな見出しばかりが溢れ返っているという、とてもバランスの悪い状況になってしまっている。

この会社が鬼滅の刃のアニメを作っていた事は事実なので、その名称を使うのが無難という事なのだろうが、こうまで 「鬼滅の刃の文字列だけが目立つ」事が果たして正常だと言えるだろうか。
例えば、脱税が発覚した時期に携わっていた作品に限っても、FateシリーズやGOD EATERなど、有名・人気作品があるのだが……。

この手の事件が起きる度に憤りを感じる方も多いと思われるが、どうしてこうなってしまうのだろう。

なぜマスコミは見出し詐欺をやめられないのか

今では ”見出し詐欺” という言葉が定着しており、それは主にWEBメディアに対して向けられる場合が多い。
だが、この「とにかく見出しで目立て」というのは、WEBメディアが始めた事ではなく、元祖は新聞や雑誌などの紙メディアであり、より悪化させたのがTVのワイドショーである。

彼らは報道だの知る権利だの聞こえのいい言葉を並べ立てるが、とどのつまりは ”金儲け” のために情報を扱う商売である。
よって、金儲けのために、他社を出し抜き、自分の発行する新聞なり雑誌なりをより多く売るために、煽情的な見出しで煽っているのだ。

よくゾーニング問題が取り沙汰される時に槍玉に挙げられる ”車内広告” なども全く同じで、老若男女の差なく利用する電車であっても、彼らは平気でSEXだのドラッグだの金だのといった 「庶民が好みそうな下世話かつ刺激的な文言」 を書き連ねてしまう。

普段は正義漢ぶって、フェミらと足並みを揃えてオタクコンテンツ叩きなどをしているようなヤツらが、自分の金儲けの話となると、それ以前の迷惑行為を堂々と行い、反省もしないのである。

それを求める人間が多いからなんだよね

先ほど 「庶民が好みそうな下世話かつ刺激的な文言」 と言ったが、マスコミ各社がこうした手法を改められないのには理由があり、これをやらないと目に見えて新聞・雑誌が売れず、TVなら視聴率が稼げないのだ。

「そういう情報ばかり扱っているから質の悪い客ばかり寄って来るんだろう。もっと中身のある報道を心掛ければ、相応の客が付くはずだ」なんて指摘は何十年も前からあるが、下世話な話を大きく扱わないと週刊誌はまず売れない。
また、TVの世界では定期的にストイックなスタンスの報道番組が作られもしたが、残念ながら未だに下世話系ワイドショーに勝てるほど数字が取れる番組は作れていない。

バラエティの世界には、タモリ倶楽部やブラタモリ、鉄腕ダッシュなどの、「どれだけニッチな世界だろうが、専門的な事をバカ丁寧に描いて高評価されている番組」が存在しているものの、これが報道となると何故か専門色を強めて固く固くやればやるほど視聴率がダダ下がりしてしまうのだ。
その行き着く先が、松本人志や坂上忍などを使って、上から目線で語らせるワイドショーなのである。

この 「そうしないと本当に売れない、求めて貰えない」という点は、マスコミ批判をしたい人間であっても真剣に考えるべきポイントであろう。

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