リアルとリアリティー
よく物を書くときに「リアリティーがないです」と注意されることがあります。
別に「こんなことをしたらこんなひどい目にあった」というのがリアリティーではありません。
例えば、よく「ハチミツをたっぷりとかけたパンケーキ」という表現を見ます。
これを読んだら「ハチミツをたっぷりとかけたパンケーキは美味いんだな」と思うことがあるかもしれませんが、ハチミツって、慣れなかったら甘過ぎてたっぷりもかけられません。ちょこっとだけかけて薄く伸ばさないといけませんが、それをわざわざ書き込む必要はありません。本当のことだからと言って、わざわざおいしそうに見えない表現をしては駄目なんです。
例えば、よく「出汁の匂いが漂う」という表現を見ます。
が、動物出汁じゃなかったら匂いってそもそもしないんですよね。野菜出汁だと香味野菜じゃなかったらそこまで匂いしませんし、昆布出汁も出汁を取る分で漂うほども匂いはしません。
で、そこでわざわざ書く必要はあるのかというと、別にそこで書く必要ないです。
本当のことを書くのが必ずしも正しい訳ではありません。
だって中世舞台でしたら衛生状況大変だった……というのが話の筋と絡んでいるなら書く必要ありますが、わざわざ「世界観説明のために書きました!」程度だったら、それはただ、本当のこと書いただけで、ただ読後感悪くなるだけです。
それよりも必要なのは「主人公がこの世界で生きている」ということ(中世舞台の中で身分差や家事が大変でもたくましく生きている描写)を、嘘を交えてもいいのでしっかりと書くことです。
よく勘違いされますが、リアルとリアリティーは全然違います。
いつもどこまで書いていいのか悩みますが、本当のことを書けば必ずしもリアリティーが増す訳ではないと自分に言い聞かせて小説を書いています。
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