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物書きとスランプ

小説家に限らず、物書きが戦わないといけないもの。

・締切
・腰痛
・スランプ

一番ウェイトを占めてるのはこの三つじゃないかなと思います。
腰痛はあまりにひどいときは病院行っています(最近接骨医は保険証が使えなくなったのは痛いですね……職業病ですのに)。
締切は本当にどうしようもなくなったときは、担当さんに「ごめんなさい、伸ばしてください」と土下座すれば割となんとかなります(ただし、伝家の宝刀ですので、何度もその手を使えば信用落とします。ほどほどにしましょう)。

一番厄介なのは、スランプじゃないかと思います。

スランプは本当に突然やってきます。
私はいつも小説書いているときは「面白い」と思って書いています。どんな作品でも第一の読者は自分ですので、自分自身が「面白い」と思っていたら、周りの反応がどうであれ自分は満足します。
が、唐突に「これ、本当に面白いの?」と思うときがあります。
疑いはじめればキリがなくなり、どうにか第一の読者を楽しませようと思い、ハッスルしますが、だんだん脱線して、ますます「これ、本当に面白いの?」に陥ってきます。

本当にスランプになっているときは、人の意見って全然耳に入りません。
「面白いよ」と言われても疑心暗鬼に陥っているため、「本当に?」と、お世辞じゃないか、慰めじゃないかと、ネガティブにしか取れなくなっているのです。

正直、こういうときはなにをやっても駄目ですから、思い切って書くのをスパンと止めます。そして手当たり次第に本を読むのです。
できれば書いているジャンルと違うものが望ましいです。ネガティブに陥っているときは、同系統のジャンルを読んだ途端に「もう自分が書く必要なくない?」と思って完全に筆が止まってしまうからです。
普段読んでいるのがファンタジーなら、思い切って現代ものを読んでみたり、時代ものを読んでみたり。いっそのこと人から勧められたSF読んでみたりと、とにかく自分の感情をリセットして、気を鎮めるのです。
全然違うものを読んでいると、いろんなものが刺激されていきます。
「こんな発想なかったな」「こんなん書いてみたい」「あ、書けなかった部分の修正点見つかった」
だんだん込み上げてきて、読み終わったときには完全復活を果たします。

が、たまに全然違うスランプに陥るときがあります。
文章がスカスカになって、一文字も出てこないときです。自分の日本語に自信がなくなったときに、こういうことが起こります(ちなみに今年の上半期に私の陥ったスランプはこっちでした)。
書こうとすればするほど、ポロポロ涙が出てきて文章が書けなくなってきました。
ちょうどプロットの修正案が届いたので、プロット再提出した頃でした。これ、一週間以内にどうにかしないと原稿完成しない奴だと、ますます焦りますが、本当に文章が出てきません。
困り果てた末に取った手段は。
好きな小説一冊広げての、朗読でした。
本当に面白い小説って、語感がものすごく計算されています。精神的に参っているときって、文章が目を滑って読めないんですが、不思議なことに音読だと読めたりするんですよね。
体に文章を叩き込んだら、だんだんと自分の中のつっかえが取れてきます。そして無理に綺麗な文章書こうとするよりも、単純な文章でもいい、読みやすい文章を書くようにと心がけるようになるんです。

スランプって職業病ですが、予防しようと思ってできるものじゃありません。だってスランプになるのは唐突で、予防して対処できるものじゃありませんもの。
小説書けないと、全部投げ出して全然違うことをはじめる人だっていますし(気分転換に無茶苦茶手の込んだ料理を作り出す人もいれば、掃除をはじめる人。DIYに勤しむ人だっています)、文章無茶苦茶でもいいから、まず掌編を一編完成させるという荒技を使う人だっています。
私が挙げた方法も、効く人には効くでしょうし、逆効果の人だっていますから、自分なりのスランプ克服法を探すのがベストなんでしょうね。

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