水鏡の季節
菜の花が満開になる。
木蓮も花盛り。
梅は終わり。
桃が綺麗。
山桜は満開。
ソメイヨシノは薄紅の蕾を膨らませて、ちらほらと咲き始める。
雨が降る。
草の勢いが増す。
乾いた季節がだんだんと終わりをつげる。
私の住む町では3月の上旬いっぱい町中の水路の水が干される。
清掃のためらしい。
「水止め」が終わると、
田んぼに水がたたえられはじめる。
3月下旬に
日本一早い田植えが始まるからだ。
うるち米ともち米を二期作する田んぼもある。
高知県を米どころとする意識は、
日本の中にそんなに高くはないだろう。
私もかつてはそうだった。
しかし高知県は間違いなく米の産地で、
しかもとてもおいしい。
水が綺麗だからだと思う。
山が海に迫り平野部が少ないので、
作付け面積を比較すればそれほどではないのだろうけど。
平野部に田んぼが一面に広がる。
大きなみずうみが出来る。
大きな平たいみずうみに
天が映る。
その風景を見ると
自分でもよくわからないけど涙が出てくる。
よくわからない。
高知での初めての春を迎えてから、
いつも
そうだった。
田んぼの上で、天地がつながる。
人間の生きるための営みが、
大地のリズムとともに繰り返される有り難さを
水鏡の季節にいつも感じる。
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