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あるいは夢のいちご畑

ゴールデンウィークが一週間ほどすぎると、

埼玉の父の家庭菜園のいちごは、食べごろを迎えます。

もういつからいちごをやってるか忘れてしまったけど、

父の畑の一角は四季を通して多年草のいちごエリアとなっており、

この5月に一斉に実をつけ、我が家を含む姉妹や孫たちの、楽しみになっております。

東京にいるときは、

母が車で運んできてくれたり、直接畑に出向いて食べたりしていましたが、

高知にきてからは、

父の摘んだいちごを箱いっぱいにつめて

宅配便で送ってくれます。

「今回はチルド指定できないところで送ってしまった」

と父から電話をもらって、

「はて?ヤマト便でチルド指定できないとは、そんなことがあるんやな。」

くらいに思っておりましたが、

受け取りにでた上の子が、

「いつものヤマトさんと違った。

農家のおじさんみたいな人が軽トラから

「まだ早いけんど」って持ってきた」

と、伝票は確かにヤマト運輸でしたが、

委託先の配送だったのか、

なかなかレアな受け取りだったようです。

お父さん、どこでどうしてこうなった?

18時以降に届くって、父に言われたけど

おんちゃん来たの17時半だよ。ざっとしゆう。

生のいちごで、完熟で、満タンなので、

傷みやすいため、箱の中では日持ちはしません。

在宅しててよかったです。


さて、

いちごは傷みやすいので、

まずヘタをとります。

それから洗うのですが、父が洗ってくれていたそうなので、省略です。


新鮮な味は、その日のうちに

まず我が家で数個いただき、

メロンだなんだといつも神の化身のように食べ物をお裾分けしてくださる御近所さんへ持って行き、

上の子どものたっての希望で、学校の仲良しにお裾分けし、

残りは1キロほど。

砂糖をまぶして、冷凍します。

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砂糖で保存性をあげるのです。

これで冷凍すれば、カビや腐敗はしばらく止められます。

下の子がしょっちゅうフルーツを使う料理をしたがるので、

これもほどなくしてなくなるでしょう。

1日で食べられないほどいちごがある、

というのは

誠に贅沢なことです。


豊かな実りを生む播州平野に生まれつつも、

戦後の食糧難の中で

おやつは大根の青いところだった、という昔話をきくと、

赤くて甘いいちごを皆に分けられるほどどっさりとれる畑というのは、

あるいは幼い頃の父の夢のようだったのかもしれません。


私はまだ父のようにはいちごを育てられませんが、

少しは育てているので

収穫、選別し、包装して送る作業に使うエネルギーは、

想像できます。

ありがたいことです。

私の子どもたちがそれに気づくのは、

まだ先かもしれません。

それでもいつか、確かに、気づくはずだとも信じています。

私のように。











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