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連載3 第一集 4~6月編 『おかあさん 木が あかくなってきたよ』あきとまさきのおはなしのアルバム '87


【写真・第1集の表紙】

4・5・6月
あき 2才5か月~7か月
まさき 8か月~10か月


#11 五月人形を飾ってもらった日


あき「おかあさん、ほらっ、あきと まさきの よろいかぶとだよ。さわって さわって」
私「きれいねぇ。おじいちゃんが箱から出してくれたんでしょ」
あき「おじいちゃん、はこから おこして くれたの。はるだから、おはな さいたから、おきなさーいって おこして くれたんだよ。この じいちゃんが!」
あき、祖父に飛びつく
おじいちゃん「そうだそうだ。あきはよくわかるなあ。ワッハッハー」


#12 楽しいみちくさ


私「あき、さぁもう帰りましょう」
あき「まって まって。ハイ、おかあさん おおいぬふぐり、きれいでしょ?」
私「きれいねぇ」
あき「かわいいでしょ?」
私「とってもかわいい」
あき「いい においでしょ?」
私「本当ね。優しい匂いだわ」
あき「ネッ、いいでしょ。これ あげるから ちょっとの あいだ、いいこに して まっててネ」


#13 小さな大発見


あき「まさきの めの なかに あきが いるよ。そばへ いくと おおきく なるんだ」
私「そう、よく見つけたのね」
しばらくして
あき「おかあさん、きてー。オマルの なかに あきが いるヨ。おしっこに うつってる。ワァ、そばに いくと おおきく なるよ」
私「ウワー、待ってー、ストップ、ストーップ!」


#14 道


あき「おかあさん、この みち さわって。ふたっつの おててで よーく さわって」
私「あったかいね」
あき「ネッ、あったかいでしょ。この みち おとうさんが つくったんだぞ」
私「おとうさん、すごいね。こんな立派な道作っちゃうんだもの」
あき「あき、おおきく なったら おとうさんに なるよ」
まさき「ダーダーダー アップー」
あき「まさきも なりたいって いってる」
私「本当だぁ」
あき「おかあさんも おおきく なったら、おとうさんに なるでしょ」


#15 ベランダにて


あき「ワァ、おうち きれいだあ!ワァ、すごーい!」
私「お家がきれいなの?いつも見ている景色なのに…」
あき「ワァ、きれいだぁ!ピカピカ ひかってる!」
私「ピカピカ…?あぁ、夕映えね。お日さまがキラキラして、それでお屋根や窓が光ってるんでしょ?」
あき「そうそう」
私「おかあさん、目が見える頃、この夕映えの時間が一日で一番好きだったの。あきのおかげで想い出したわ。あき、ありがとう」
あき「おかあさん、うれしい?」
私「とっても嬉しい」
あき「あきも」


#16 地球儀


あき「つぎはね、しんじゃう くに どこ?」
夫「エッ?!」
私、台所から「朝ちゃんが来てくれた時に、イランやイラクの場所を教えてくれたのよ」
夫「そうか。今も戦争をしている、死んじゃう国はここだよ」
あき「ここ?せんそうは しんじゃうの?なんで しんじゃうの?」
夫「おじちゃんたちが、爆弾だの鉄砲だの持ち出して喧嘩しているからさ。ここに住んでいる子ども達は、かわいそうに怖い怖いって泣いているんだ」
あき「おすもうして けんかすれば どう?」
夫「あき、いいこと言うじゃないか。おすもうして喧嘩すればいいのにって、お前、この国へ行って教えてやって来いよ」


#17 『ふれあい広場』に参加して


あき「フウセンだぁ!フウセン、フウセーン、アーッ!」
夫「あーあ、飛んでっちゃった。だからちゃんと持ってろって言ったろ」
おばさんたち「坊や、残念だったねェ」
あき「あきの フウセン、くも たべに いったんだよ。ホうラ、とんでくー!ワァッ、とんでくー!ウフフフフ、ウフフフフ…」


#18 雨の日曜日


夫「さて、ワイパーのゴムが新しくなったゾ。出発しようか」
あき「ワァ、ワイパー うごいたー。まど ふくのが うれしい うれしいって いってるよ」


#19 お芋は怖い?


あき「ばあちゃん、なにしてるだ?」
おばあちゃん「芋がまずくならねえように、芋の芽ぇかいてるだョ」
あき「あきも やるよ」
おばあちゃん「お芋さんの芽はコワイだで。あきなんおっかけば手ェ痛くするわい。オーコワイコワイ」
あき「こわく ないョォ。あき やるよ」
それからしばらくして
あき「ばあちゃん、みて。ほぉら、あき できたよ。ネッ、やさしい おいもに なったでしょ」


#20 夜空を見上げて


あき「おかあさん、ほら、みかづきさんが でてる」
私「やせっぽちのお月様かしら?」
あき「ウン。あれ とれる?」
私「あんなに高い所にあるんだもん。ちょっと無理じゃないかしら」
あき「おじいちゃんの はしご もって くれば?」
私「それでも届かないと思うよ」
あき「おつきさま にげる?」
私「ウフフ… そうねぇ」
あき「くろーい はしご もって きて、そうっと いけば どう?」


#21 夕食の最中に


あき「オシッコ オシッコ」
私「ハイハイ。じゃあ、ちょっとお手々拭いてちょうだい。それから…」
あき、ジャー「でちゃった」
私「あーあ、遅かったか」
夫「あき、食事中にオシッコなんかするなヨ。食べる前にちゃんとやっとけ」
あき「だって、スープが オシッコに なったんだモン」


#22 母方の祖父母の家で


おばあちゃま「アラ、里枝子。男の子はパンツをおろさないで、横からオチンチンを出してあげるようにすると濡れなくていいのよ」
私「ヘェホント?どれどれ…なーるほど、オチンチンあると便利ねェ」
あき「あき、おかあさんに オチンチン かして あげるよ。オシッコする ときだけ」


#23 ハーネス


私「家族そろってお散歩するなんて久しぶりねぇ。ウグイスの声が森に響いて一段ときれいだわ」
夫「そうだなァ」
あき「ウグイスさん、いっしょに あるきたいって いってるんだヨ」
私「そうね」
あき「ウ・グ・イ・ス・サーン、ハーネス ツケナキャ ダ・メ・ダ・ヨォー!」
★ハーネス 盲導犬と盲人を結ぶ胴輪


#24 ドアさんのお返事


あき「おかあさん、なにしてるの?」
私「シーッ、まさきちゃん起こすとかわいそうだから、ドアさんに、"まさきちゃん起きてますか"って、そーっと聞いてるの」
あき「あき、きいて あげる。ドアさん、まさき おきてますかー?ドアさん おへんじしないネェ。ドアサーン、マサキ オ・キ・テ・マ・ス・カー!」
まさき「ウワーン、ウワーン!」
あき「アッ、まさきが おへんじしたヨ。マサキ、マーサーキー!」
部屋へとびこむ
私「あーあ、起きちゃった…」


(連載4へ続く)

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