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連載10 第二集 7~9月編 『かみさま きょうも おひさまを つけてくれてありがとう』あきとまさきのおはなしのアルバム '88 




【写真・第2集の表紙】

七・八・九月
あき 三才八か月~十か月
まさき 一才十か月~二才


#112 日光浴


まさき、服を着せようとする母の腕から逃げて、部屋の奥までさしこんでいる、暖かな日溜りの中へ、裸ン坊のまま飛びこんで行く。
まさき 「バチャバチャ バチャバチャ、ウフフ… ウフフ…」
おばあちゃん 「おやおや、まさきちゃんは、お日様の中で泳ぐだかい?まあ、いいこと」

#113 おかあさんにも見える絵だよ


あきは、虫眼鏡を片手に、観察箱をのぞきながら、熱心にカブトムシの絵を描いていたが、しばらくして、私に、見てほしいと言って来た。
私 「ごめんね。褒めてあげたいけど、おかあさん、絵は見えないの」
あき 「つまんない つまんないヨオ」 
しょんぼりして向こうへ行ってしまったが、いくらもたたないうちに、今度は元気に、台所へやって来た。
あき 「ハサミ ハサミ、きるんだ きるんだ」
私 「切る?」
あき 「そうだよ。あきの カブトムシ きりぬいて、おかあさんにも みえるように して あげるんだヨ」

#114 お豆とお水


まさき 「ジャア ジャア ジャア」
私 「まさき、お豆にお水を、かけてるんじゃないでしょうねえ」
あき 「かけて ないヨ」
私 「よかったわ。じゃあ、この、空いた器は、まさきが、ちゃんと食べたっていうことよね」
あき 「ううん、まさき みずんなかへ おまめ いれてるんだヨ」

#115 アリさんの行進


あき 「マーチャキ、ダメだよ、そこ いっちゃ」
まさき 「ん?」
あき 「ほら、みて ごらん。アリさんたち、アオムシ はこんでるんだよ。めいわくに なるだろ」


【写真・あき君の絵】
くじらが おばけを やっつけに きた 
〔写真説明 見開きで、大きくくじらが描くある。優しい目です。右下に小さな丸いものがあります〕

#116 ンギョ(金魚)と


まさき、水槽の前で「ンギョと ンギョと」
私 「おやつ、金魚と一緒に食べるの?まさき、いいわねえ」
私、一応水槽のふたを確認してから、台所へ。
しばらくして…
夫 「おかあさん、また事件だ!金魚が牛乳の中で泳いでるヨ」
私 「マッ マサキ!金魚はね、牛乳は飲まないの。いい?金魚はね、牛乳は飲まないのよ」
まさき 「アン?」

#117 魔法の土


あき 「おかあさん、これ、マ ホ ウ ノ ツ チ。だいどころに まいて ごらん。ニョキリ ニョキリ いっぱい てが はえて きて、あきが ようちえんに いってる ときも、おかあさんが なんか おとしたら、すぐに ひろって くれるからね」

#118 ドーナツどっちが多い?


あき、おやつの小さなドーナツを、何度も数えなおして、几帳面に分けている。
まさき 「ニイターン、トーライオー(ちょうだいよお)」
あき 「まってろったら。1 2 3 4 5 6 7 8 9 10。こっちもー、1 2 3 4 5 6 7 8 9 10。よし、おんなじだ。はい、まさきの ぶん」
まさき 「はーい」
だいぶ食べてから
あき 「あきのはー、1 2 3 4。まさきのはー、1 2 3 4 5 6。あれ?まさきの ほうが おおい。へんだなあ」
まさき 「ん?マシャチの おおい?」
あき 「うん、おおい おおい。ひとつ よこせ」
まさき、すなおに 「いいよ。はーい」

#119 キューちゃんとお話


まさき、いつものように、キュリーのベッドにもぐりこんで安心して遊んでいる。
まさき 「チュータン、あーって いって。ねっ、あー あー あー。ねっ、あーって いって」
キュリー 「…」
まさき 「ヘンナナア(へんだなあ)」

#120 まさき、行方不明


急にまさきの声が、聞こえなくなった。私は、あわてて公園中を捜してみたが、やはりいない。
通りがかりの奥さん 「お宅のお子さんかしら、あっちの方へ、走って行きましたよ」
私 「あっち…」
奥さん 「あっちですよ、あっち。ああ、ほら…工場の方へ」
私 「ありがとうございました。キュリー、お願い。まさきを見つけてね。キュリー、マイエ(進め)」
工場の前にいた男性たち 「坊やなら、そっちの道へ曲がりましたよ」
私 「そっち…」
男性のひとり 「そっち。ああ、そうか。こっちです」
男性のひとりが、一緒に道を渡ってくれた。渡り終えると、キュリーが速足に。まさきが見えたらしい。
私 「キュリー、グッドガール。グッドガール」
遠くから、まさきの明るい声 「おーい、カアターン、ワンワン いたよー。おいでー!」
なんと、よその家の犬小屋の前にペタンとしゃがみこんで、犬と仲よく遊んでいた。
私 「まさきちゃん!おかあさん、本当に心配したんだから」
言いながら、思わず涙ぐんでしまった。
まさき、不思議そうに 「カアタン、チンパイチタ?あん?」

#121 天へ昇ったコオロギ


子供達、庭で死んだコオロギを見つけて、花壇に埋め、お花や人形をお供えしている。
あき、天を仰いで 「えーと かみさま、あきの コオロギを てんごくへ つれて いって ください」
まさき 「えーと くだチャイ」
しばらくしてふたり、大あわてで台所へ飛びこんで来た。
あき 「おかあさん おかあさん、スゴイよ。コオロギ、もう てんごくへ いっちゃったヨー!」
まさき 「カアターン、いっちゃったオー!」
私 「まあ!お墓を掘ってみたの?」
あき 「うん。そしたら いなかったヨ。スゴイね。あき、ズーッと みてたのに、かみさま いつ つれてっちゃったのかなあ?」

#122 憧れのステキな頭


あき、通園バスを降りるなり「おかあさん おかあさん、あき きょうネ、えんちようせんせいの ツンツルハゲの あたま さわっちゃったヨ」
私 「えっ?」
あき 「あきネ、えんちょうせんせい くさ かってる ときに さわっちゃったの。だって ズーッと さわりたかったんだもーん」

(連載11へ続く)

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