もし君を一途に愛していたならば… Ⅹ
10
大介と暮らすようになってから、もうすぐ半年が過ぎる。
2人でのルームシェア(居候)には慣れてきて、家事も分担して充実した日々を送っていた。
お互い昼間は仕事だし、暇を持て余すこともない。
私は恋愛への執着が無くなっていた。
どこかに抜けていってしまった、そんな感じ。
失ってはじめて気づくものがあるって、私は初めて知った。大介との暮らしが満足していないわけではない。ただ、好きな人と会えない生活がつらい、それだけだ。
私は、どういう風の吹きまわしか。久しぶりに[Café‣Grandeur]に向かった。
店は全く変わっていない。変わったのは、勇也が働いていない、ということだけだった。
「あ、いらっしゃいませ」
と、若いお兄さんが言い、私を案内してくれた。
いつものカフェラテと自家製ティラミスを注文する。
テーブルにやってきた2品は、代わり映えしない。それがまた安心した。
勇也と別れて、後悔しか残ってない。私の中での勇也の存在は、相当大きいものだったみたい。
何で、それを付き合ってるときに分からなかったのか。
自分のバカさにあきれる。
ホント、馬鹿みたいだ。
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