見出し画像

炎の大地、阿蘇へ ①

古代より大規模な噴火を繰り返し、今もまさに生きている活火山「阿蘇山」。2年前にも噴火しており、火口見学が再開されたのはつい半年前のこと。火口まで近づけるかはその日次第で、ガス濃度が濃ければ見学できません。日本の国土が火山活動によって形づくられていることを象徴する場所かもしれません。

そんな場所って、地の果てのよう?地球の中心のよう?

どんな世界なのだろう?そんな未知の大地にじぶんの足で立ってみたくて、未知の空気を吸ってみたくて。何年も前から気になっていたのですが、急に思い立って、下調べもそこそこに、遅めの夏季休暇を利用して行ってきました(お盆返上で働いてたのです…。)
免許なし、車なし、徒歩とバスと困った時のタクシーのみのバックパック一人旅です。

9月23日土曜日、朝10時に熊本空港に到着。待ち時間をつぶしながら鉄道に乗り、阿蘇山北側の阿蘇駅を目指します。阿蘇駅から、市街地と阿蘇山を結ぶシャトルバス「阿蘇火口線」が出ているからです。萩尾望都作品に出てきそうな名前のバス。阿蘇駅のコインロッカーに荷物を預けて、火口線へ。天気は快晴。麓では半袖でも暑いくらいでした。

阿蘇旅1日目を写真で振り返ります。写真はすべてiPhone SE.

かわせみやませみ号

空港からタイミングの良い時間帯の高速バスがなく、タクシーでJR大津駅まで移動し、そこから阿蘇駅方面の特急に乗ることに。距離は短いはずなのに特急券が必要と言われ、駅舎で買おうと思ったら「最後の一枚です」と告げられました。そんなに混んでるのかと一瞬ひるんだのですが、ホームに姿を現した特急「かわせみやませみ号」を見てびっくり。中に入ってさらにびっくり。何も知らずに乗っている人はわたしだけだったみたい。華やかな車中ではプチ宴会が繰り広げられており、これ目当てで乗り込んだ外国人観光客が多い模様でした。納得。

シャトルバスで火口方面へ

阿蘇駅から草千里を経由して阿蘇山上ターミナル(火口まで約1.5Km)まで走るシャトルバスに乗りました。1日6便出ています。40分くらい山道を走ります。

古代の大噴火の際に地下のマグマが噴出して大地がくぼんだ「カルデラ」の内部に広がっている市街地と、カルデラをぐるりと取り囲む外輪山を一望しながら、上り坂をバスで登ります。至る所で牛が放牧されています。

こんもりとしたかたちの米塚。これも火山とのこと

阿蘇山上ターミナル

阿蘇火口線の終点は「阿蘇山上ターミナル」で、ここから先は歩道が整備されています。火口まで別のシャトルバスで行けるのですが、わたしは大地を踏みしめながら歩きたかったのでここで下車。この施設では、お土産を買いながら火口までのバスを待ったり、お手洗いを借りることが出来ます。もってきた帽子の裏がベロベロになっていたので、「くまもん」ハットを買いました。ここまでくると、だいぶ肌寒くなる印象。そして、ここまでくると、硫黄のにおいが漂っています(まだ温泉街のレベル)。

火口へ向かって歩く!

遊歩道は車道の隣。料金所の横を通過し、あとは一本道をまっすぐ登るだけ。

阿蘇山
阿蘇山
阿蘇山

歩いている人もそこそこいますね。硫黄のにおいが濃くなってきます

ふもとからシャトルバスで上がってくる途中の風景は針葉樹林でした。草千里を過ぎて火口に近づくにつれ、ほとんど植生がみられなくなってきます。

阿蘇山

いまは噴火活動をしていない「第3〜6火口」が集まっている広大な崖の下の空間を見下ろしながら、その少し先の「第1火口」を目指します。
地形の標本のようで、本当におもしろい。「はるか下」感が写真だと出ないな〜

阿蘇山

砂千里ヶ浜というこれまた異世界じみた名前に心が踊りつつ、まずは中岳火口を目指します

阿蘇山

岩がごろごろの大地

火口を取り囲む見学者の影がずらっと。期待が高まります

阿蘇山
阿蘇山

噴火した時に逃げ込む用のコンクリ製のシェルター。至る所に建てられています。全方向から入れるようになっていつつ、噴火口方面は入り口が二重構造になっています。まるい屋根がかわいい。ミニマムな良デザインで、何個か並ぶと絵になりますな。お世話にならないことを祈りつつ…

阿蘇山

火口!!!!!
湯気があおりあおられ、生き物のようにくるりくるりと昇っていく。力強くて動的だけれど、風の音以外は静かで、神秘的な空間。言葉が出ません。

ちなみにブルーの湖面は見えませんでした。白い湯気は火山ガスで、湖面から絶え間なく湧き出ています。湖面の縁に、結晶化した硫黄らしきレモンイエローのかたまりがガスの隙間から見られました。
硫黄のにおいが鼻にのどに肺に入ってくるかんじ!つ〜〜〜ん!!

下山

来た道を引き返します。

山上ターミナルで売っている火山灰ソフトの正体は…?

草千里のロッジ風のレストランで遅いお昼ご飯。夏野菜の冷製パスタとクレーム・ブリュレを優雅にいただきました

1日目夜は草千里にのこって火山博物館主催のサンセットと星を見るツアーに参加しようと思ったのですが、夕方以降はぶあつい雲が空を覆ってきており、すれ違った親子が「今日は星は見えなさそうだね」と話しているのを耳にして、私も諦めてホテルに帰りました。

2日目の記録もつけていこうと思います。じつは2日目も、3日目も、4日目も火口を見に行くという、女子のバケーションとは思えない珍道中なのですが、おかげで毎回違う阿蘇山の美しいお顔を見ることができました。

つづく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?