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ひとひの夜 10日後半

17:00

16時には会場に着いているようにしようと思ったのに、くまちゃんとのおしゃべりタイムが楽しすぎてなんと会場に向かったのが17時過ぎ。

会場に向かう車の中で、マイANiMiちゃんたちをごそっと忘れてしまったことに気づいた。

「くまちゃん、ANiMiちゃんたち用意してたのに忘れちゃった…」

「取りに帰るかい?」

ん?んんんん〜〜〜無理ぃぃぃぃ😭
開場18時 開演18時半 今17時。
ここから家まで1時間。
戻ってきたら19時。

無理すぎる…。

でも今日参加するはずのお友達、取りに帰ってくれるかも!と思いついて電話。

「ちーちゃん今どこ😭」

「もう向かってるよ〜」

「…そうよね。もう17時過ぎだし」

「忘れもの?」

「そう😭」

「…戻ろっか?」

「ずびばぜん😭」

電話を切ってくまちゃんの一言

「めちゃくちゃやさしいね」

ほんと😭
もう出てたのに、わざわざ戻るだけでなく階段で5階までのぼって私の母にしらせるということまでしてもらわないといけないのに。

再度ちーちゃんから電話かかってきた

「おばちゃんいないよ」

「ごめん😭もういいですぅ😭😭😭」

「はーい、行くね」

母がいないかもしれないのにわざわざ出てた人に指令して、さらにそのミッションが手ぶらとか、私としてはけっこう耐えられません。
胸がざわざわしてどきどき心臓が早まって、あまりにも私の言動が迷惑すぎてけっこう序盤でやっぱやめたって言いたくなった。

でも私のこどもと一緒にANiMiを持ちたくて、あと販売用はあるけどヘアゴムとかでかわいくしているANiMiちゃんたちをみなさんに見せたくて。
そう思ったら迷惑かもとかそういうのを超えて人にお願いができた。

「本当にやさしいね〜」

というくまちゃん。
はい、そうなんです。
本当にみんなとってもやさしい。

頭の中で勝手に思い描いてた、こういうことを言ったらムッとした顔するだろうとか、嫌だよとかって突っぱねられることは一ミリもなく。
お願い事をしてみたことで、相手を頭の中で描いていたような悪人にすることなくとてもやさしい人になった。

私はけっこう日常でこれをやりたおしているかもしれない。

なにも言っていないのに、お願いすらしていないのに、人のこと勝手に悪人にしているかも。

お願いしたらさっさと動いてくれるかもしれないのに、あの人はきっと嫌がるだろうとか仕事が遅いからとか思ってアップアップになりながら自分でいろいろやってしまうことで、ほかの人が善人になる機会を奪っているかも。

そして結局お願いしないことで追いつかないクオリティと現実の間でもがき苦しみひとり涙する。

そんな馬鹿馬鹿しいひとりお涙ちょうだい劇場を1日に何公演もこなしてけっこうな大御所になっていたかもしれない。

今回のイベントは経費がかかる分規模を大きくしないといけないから、ひとり劇場はとてもじゃないけど無理だった。
だからめちゃ忙しいのに無報酬のスタッフに罪悪感を感じていたんだけど、なぜかあのひとたちはキラキラ輝いて私を盛り立て、予定より遅く到着しますっていっても「かなさん楽しんでね」って喜んでくれる。

スタッフにいくらお金を払っても、立場をお膳立てしても、研修旅行につれていっても、言葉の限りを尽くして褒めてもきっちり3ヶ月以内にスタッフは全員やめった。
給料を払っているのに、時間を使っているのに、私ばっかり働いているのにのにのにのに。
あいつらは私の心をわかっちゃいない。

スタッフにお誕生日を祝われても、業務の時間でそんなことをやるなよとモヤっとし。
SNSを更新せず掃除ばっかりしているスタッフを仕事ができないとみなして。
コストの合わないメニューを片っ端からぶった斬り。

あの子たちのやさしい心をわかっちゃいなかったのは私だった。

顔は笑ってても心の中でほんとうに喜んでいないって見透かされていたから、この人に私は必要ないのねって離れていってしまったのかも。
私にやさしくしてくれるだけで、やさしくしてくれる気持ちをみせてくれるだけで、こんなにもこころがあったかくなるのに。
その最初のやさしいこころを見るきっかけになる「助けて」を言ってこなかったのは、なにをかくそう自分だったのに。

ずっとそんなこと、気づかなかった。

ひとりお涙ちょうだい劇場はもう閉幕。
今日からそのステージにはこのとなりでやさしくほほえんでいるやさしいくまちゃんのように、にこにこしている私が立ちます。
そしたらもっとみんながいい人になって世の中が明るくなるかもしれない。

17:30

現場に到着して荷物を下ろし、少し離れた臨時駐車場へ。
今日は18時過ぎにしか到着しないといっていたスタッフのけんさんが、反射材がついたベスト姿で駐車場を誘導してる。

「けんさん、早くないっすか?」

「用事早くおわったんで、来ちゃいました」

なんて素晴らしいんだ。
自作の駐車場誘導看板もバッチリ設置されている。

県外からのくまちゃん応援団のみなさまと荷物をはこびながら、いなか道を歩く。
おもいっきりローカルな会すぎて県内しか想定していなかったのに、まさかの本州勢が4名も!

「やれることあったら、なんでも言ってね」って言ってくれる。
これはこうしたほうがいいよねって教えてくれる。
おひとりさまで参加しているお客様のよこに座って、たのしく盛り上げてくれる。

うーん…神様なの?

「みんな、イベントを成功させようって来てくれてるんだよ」

私はいつからか、善人しかいない世の中にパラレルシフトしてしまったみたいだ。
あっちを見ても、こっちを見ても、なんともやさしい人ばかり。
こんなにやさしい世界を見られるなんて、なんて幸せなんでしょう。

時折つよく茉莉花の香るいなか道、どこか俯瞰しながら自分を見ている自分がおりました。

18:00

お話し会の開場です。
お客様はその少し前から訪れて、お話を楽しんだりしているうちにゆっくりとした薄暮の時間がすぎてゆく。

くまちゃんと打ち合わせをして、要望があったのはひとつだけ。
会場のみなさんとふれあう時間があったらいいな、ということ。

その時間は本当に大切で、そこをいかに過ごすかがその日の鍵を握ると言っても過言ではないのではと感じた。

18:30までの間にくまちゃんはみーんなと仲良くなって、子どもも大人も音響スタッフまで。
みんなくまちゃんの虜になっていた。

ライオンの山本鉄男さんもずいぶんと早くから登場して、鉄男さんのからだの秘密まで全部見せてくれる。
子どもたちにまで惜しげもなく触らせてくれて、ざわつく親たち。

「こわすなよ・・・」の無言のプレッシャーなんかはねのけて、とっても上手に鉄男さんを繰る小学生男子。


興味津々にパペットをさわる子どもたち
先生の指導もとっても的確
あっというまに動かせるようになっちゃった。

おひとり様でご参加の方も、先に笑顔になったお客様の笑顔につられて笑ってる。

子どもたちはパペットで遊ぶ子、虫を捕る子、とにかく走り回る子、さまざま。

みんながにこにこの笑顔になった状態の18:30すぎ、くまちゃんのパペットカウンセリングお話会がスタートしました。

18:30

お話を聞かないちいさな子どもたちは親とは別のテーブルで先に夕食をとって楽器を体験しながらお遊び。

見よ!この美しい三角おにぎりたちの勇姿を

くまちゃんの体験からうまれたANiMiや山本鉄男さんのお悩み相談パペットカウンセリングシアターは参加者さんの胸をほっこほこにして、あっという間に60分が終了しました。

ANiMiの仲間たちから、オータス、ポトフ。
そしてジャンボパペットの山本鉄男さん。
薄暮のhitohi
くれゆく空とくまちゃんと。
バーテンダーの得意な時間がやってきた

そしてそのあとはみんなでひとひ特製ディナーボックスを食べながらワイワイにぎわいの時間。

ひとひのごはんは、ものすごく美味しいのだけど説明するのが難しい。
何料理?ときかれると、薪窯予熱料理としかいえなくて。
だけど食べた人は必ず、とってもおいしいと評するごはん。

好き嫌いが分かれるとか、お口に合わないとか、たぶんない。

それがひとひの不思議なごはん。

たべたらおいしくて唸っちゃうhitohiごはん

みんなにこにこしながら食べてたな〜くまちゃんも黒子衣装のままテーブルで一緒にお食事を楽しんでいる。

わたしが普段、ほんっとうに幸せだな〜と思うひととき。

それをみんなにも体感してほしいという願いが、くまちゃんのおかげでそれ以上のものになっているのを感じられてちょっと涙目になっていた。

火、つけよっかといってファイヤーをおこしてくれたhitohi店主の浩子さん。
目の色が変わる子どもたち。
まるでキャンプの夜
舞台からおりて客席でたのしむくまちゃん

20:10

お食事を済ませたあとは、私の高校の同級生りさちゃんの歌の時間。

私は高校生のころからずっとりさちゃんの歌はすごいなと思っていて、知ってる人の中でもいちばん歌がうまいのはりさちゃんだって思ってた。

高校卒業後もたくさんの歌の上手い人にこれまで出会ってきたけれど、声が聞こえた瞬間さーっと鳥肌が立つのはりさちゃんだけ。

りさちゃんの旦那さんのたかをさんが音響として加わり、たかをさんのバンドメンバーさぁやちゃんが引き寄せられるように運営の底支えをしてくれているこのイベントで、歌ってもらわない手はない。

ということで会の最後はお歌の会。

こころにしみるおぼろ月夜を歌うりさちゃん

主役をさしおいて歌がトリなのか!

という物議はこの際一切ききません。


なぜかというと星空の下の生演奏と生歌が、あったまったみんなの心を完璧にとろかせて最高の場になったから。


こころにダイレクトに届くりさちゃんの声。

細い三日月、夜の風。

ため息に、すすり涙をこらえる声。


あの日あの時あの場所でみんなの気持ちがひとつになって、全員が間違いなく幸せを感じていた。


幸せってこうやって作れるものなんだと私は確信した。


一生懸命な気持ちと、それを大事にしてくれる仲間と、おもてなしの配慮と、素敵なお客様。


それらがみんな合わさったら、こんなにすてきな時間になった。

これはもしかして、私が得意なことなのかもしれない。

こんな時間をこれからたくさん作っていったら、もしかして明るい人が増えるかも。

そしたら子どもたちのこれからの未来も、とっても明るくなるかもしれない。

私は何のために生きてるの。
何をして生きていったらいいのだろう。

ずっと抱えてきたそんな寄せてはかえすモヤモヤが、すっと晴れたような夜だった。

このとき私はまだ知らなかった。
この人たちにはユニット名すらなかったということを…。
力強く、しかしあたたかく
胸にささるりさちゃんの歌声


見上げた星空もやさしくまたたいていた


21:00

こうして鈴木幸一氏あらためくまちゃんのパペットカウンセリング宮崎初公演初日
は、やんややんやの大声援とともに幕を閉じたのでありました。

翌日のウェルビーイング綾の手応えを確実に感じていた私。

その素晴らしい一部始終をくまちゃんがまた、すばらしい表現でつづってくれました。

この記事にでてくる女の子のお母さんにすぐLINEで転送したら、娘さんに読みきかせしながらお母さんが泣いてしまったって。

親の目線では見られない(というか見れなくなってしまっている)子どものいいところを、くまちゃんはにこにこ笑顔で、さも造作ないといった体でぐいぐい引き出してくれる。

これには全母親が脱帽してしまう凄味がある。

それを感じた私サイドの綾レポートはまた後日。

つづく。

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