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梟書茶房@池袋 本が纏った情報を、減らして、減らして、減らした先に出会う新しい読書体験に驚いた

梟書茶房(ふくろうしょさぼう)、すごいですね!
たまたま行った池袋。
間違って訪れたフロアで、斬新な書店&カフェに出会いました。

最初なんのお店だがわからず???の嵐。
本が並んでるけど、全部ブックカバーがかかってて中身が何だかわからない。(最初本でもなくノート売ってるのかと思った)

よく見てみると、本の裏には選書した人が書いた、紹介文章だけが載ってる。

どうやら新しい本との出会い方ができる仕掛けらしい。
本に対する前情報ほぼこれのみ。


本のデザイン、著者情報、売上部数、タイトル、キャッチコピー、ネームバリューのある人が書いた帯。
そんな本らしき情報が一切取り払われ、あるのは「誰か」の紹介文章だけ。




「誰か」が誰なのかすらわからない。
しかし、これが面白かった。

普段はこうした興味と期待値を高めるための過多な情報に覆い尽くされ、さらに自分の先入観や価値観が加わってジャッジしてる。

その対極にあるこの「何かわからないけど本質的なコメント」だけで、読み手との出会いとコミュケーションをしてるのが本当におもしろい。

これを見たあと普通の書店では装丁がノイズに感じるから不思議。

最近は区画ごとに個人の選書がならぶ、Amazonに昔あったリストマニア的な本屋はある。これも面白い。

一方、梟書茶房では本の正体は買ってみるまでわからない。

カフェ入り口で本のみ買える。

極限までノイズを減らしてるこの梟書茶房は、かえって先入観無く本と向き合えるし、本質やメッセージを受け取りたいきもちになった。

そして正体がわからないから、自分で自分にサプライズするような楽しみがある。

カフェも世界観が徹底されてて、没入感がある。



置かれた鍵が伝票代わりだったりトレーが本の形をしていたり。

ちなみに、今回は本と珈琲のセットを注文。

書籍タイトルのネタバレ含むので、本と珈琲セットを頼もうと思ってる方ははここまでで!)


本のテーマは「価値と人間」。物の価値はどう決まるのか?というくだりに反応。

本と珈琲が運ばれてきた。

ドキドキしてめくってみると、
有吉佐和子さんという方の「青の壺」という小説だった。

ここに来なければ一生読む機会がないこと間違いない。
普段なら小説のコーナーにも滅多にいかない。
だからこそ、あの紹介文の言いたかったことは一体どんなものだろう。と純粋な好奇心をかきたてられるから不思議。


梟書茶房全体の世界が周縁的、円環的にジャンプし、ズレながらすこしずつひろがる設計が好きだ。
昔あった関心空間と似てる。

この先に何か面白い出会いがあるんじゃないか?
静かなわくわくとザワザワした発見の楽しさがある。

知らないことを知る喜び
知らないことと出会う過程にこそ面白さがあり、味わい方を変えている。

このパッケージ、他の商品にも応用できそう。
ワインや日本酒でも良いし、求人もありかも。

ちなみに、これがドトールがやってると聞いて何より驚いた。
ドトールがやってる、と聞いていたら行っただろうか?
なんとなく期待が外れそうな気がして、行ってなかったかもしれない。(ドトールさんすいません…)

先入観、やっぱりありますね。実感しました。

良い体験をありがとうございました。

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