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京都の自邸について01

自邸を作ってみて、作ってる時はまだ考えがまとまってないかったのでここで少し整理してみる。


・幼少期の原風景

私は福島県の農家の次男として生をうけ、18年間家族と共に過ごした。平屋で家の3分の1くらいが土間でそこに台所・洗面・風呂・トイレ・個室が増築されたようなつくりで、土足に履き替えないとトイレもお風呂も行けない特殊なプランで育った。(廊下がすべて土間になっている)面倒だと思いながらも外からすぐにトイレに行けたり、離れのじいちゃん家にすぐ行けたり、玄関土間でかめやザリガニを飼えたりとそれなりに使い勝手が良かった。あと、家の中心に機能が無い畳の広間があり、親戚の集まりや法事の時以外はがらんどうの空白として存在してて、心地よかったことを覚えている。


・1回目の改修自邸

その後、滋賀、京都、東京、京都と賃貸で暮らしてみて、その完結したらくさと閉ざされた閉塞感を感じ、結婚を期に中古住宅をノーローンで買い、改修して7年弱住んだ。この一件目の家は家型の断面に寝室を箱を挿入した典型的なボックスインボックスの形式を持ったプランで、ボックスの下にダイニング・キッチン、吹抜け部分がリビングという構成にした。

1回目の改修自邸


・2回目の新築自邸

私は坂本一成が好きで、氏が代田の町家でそれまでの「ボックスインボックス」という形式から、機能を想定しない室同士として等価に扱い隣接させるという構成(代田の町家)へと転換していき、その後ハウスFやハウスSAの解放へ進んでいく。今回の自邸は代田の町家の室構成を引き継ぎながら開放することを目指したとも言える。

構成はどの部屋も等価に近づけるよう考えてた。主室は2階に置き、主室を分断するように中央に三層分の路室(=間室)を挿入し、主室の空間性が強くならないように、路室の垂れ壁とグレーチング床で空間分節を図った。今度は路室の垂直性を弱めるためにバラバラな要素の段板と様々な開口部を設けた。

中央の路室

もう一つの操作は「ずれ」を生み出すことを意識したこと。中庭と路室はずらすことでそれぞれの独立性を高め、その他の室との関係性に多様さを与えてる。外観はずらすことで、バルコニーを作ったり、トップライトや軒下アプローチを生み出すことに可能にしている。各部位が外的要因にそれぞれ独立して対応することで、ずれ(=部分重複)を作ることで、セミラティス状の有機的な関係性を目指した。

中庭と路室のずれ


・自邸を振り返って

振り返ってみると、この外部のような路室は実家の土間廊下に近いし、がらんどうの主室2は広間に近い。そもそも農家の田の字プランは機能を固定しない。そう思うと幼少期の空間体験が「機能を想定しない室同士として等価に扱い隣接させるという構成」を欲していて、このような断面的な田の字プランを生み出したような気がしてきた。



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