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農業就業体験にて農家側が考慮すべき点

1.はじめに

今回は、農家である私が農業就業体験参加者との交流を通じて感じた、農業就業体験にて農家側が考慮すべき点をまとめてみたいと思います。

①自己紹介

私は農業を営む30代の男です。脱サラで農業を始め、現在は野菜の栽培と近隣農家でのお手伝いをして生計を立てています。

②農業就業体験とは

仕事としての農業に関心のある人が農業現場で行う就業体験です。農産物はスーパーで見るけれど、ではどうやってその農産物は生産されているのか。実際に働くとしたら、どのような作業内容なのか。そういったことを実地で学ぶことを目的としています。

2.今回のケース

①参加理由

今回交流した参加者は、仕事としての農業に関心があり、実際の作業や生活サイクルを知りたいという理由で参加してきました。

②作業内容

実際の作業は、畑の草取りや野菜の種まき、収穫、調整作業などです。慣れない作業に苦戦しつつも実直に作業する姿に感心しきりでした。また、食事や宿泊を通して農家のリアルな日常を体験できたと話していました。

③所感

就業経験はほぼなく、自身はコミュニケーションに課題を感じているようでしたが、周りと話す際はほぼ違和感もなく、また聞かれれば自己主張もできるなど、しっかりした人でした。

3.農業就業体験にて農家側が考慮すべき点

①適切なフォロー

就業体験ですので、参加者には成果は問いません。しかし、参加者自身が作業の遅延を申し訳ないと捉えてしまうことがありました。就業体験の趣旨を理解し、参加者が負担を感じにくいようなコミュニケーションがマストと感じました。

農作業は一見簡単に見えますが、実際にやってみるとなかなかうまくいかないことが多いです。そもそも農業就業体験は、自身の農業に対する適性を感じた人が来る場合が多いと思います。ですので、「自分も最初はそうだった」「できなくて当たり前」など、必要なフォローを入れました。

②日々の作業を言語化し繰り返し伝える

それでは、参加者には自分のペースでのびのびと作業させればいいのではないか。私も最初はこう考えていました。しかし、それでは参加者側も作業時間が長くなり、辛くなってしまいます。ですので、農家はなるべく作業の流れを細分化、言語化し、その背景にある知識や考え方とともに伝えることが重要です。これによって、参加者が理屈を理解して作業に落とし込むことで効率的な作業が可能となり、結果的に身体的、精神的な負担を軽くすることができます。

また、初日に諸々の理論を話したとしても、翌日には忘れているということもありました。そもそも普段なじみのない話であり、そして緊張や疲労のために頭から抜けてしまうということもあるでしょう。そういったことを踏まえ、農家は一度言ったからわかっているだろうと思い込まず、繰り返し丁寧に伝えてあげる心づもりが必要です。

4.おわりに

以上、農業就業体験にて農家が考慮すべき点をあげました。最後に、今回の参加者同様、農業就業体験に関心のある人に対して伝えたいことをお話しして終わります。農家は基本的に黙々と作業する場面が多いです。そして、それぞれ自分なりの理論をもって日々の作業をしています。ですので、「なぜこういう作業をするのですか?」などと聞かれるのは嬉しいと思います。ましてや、わざわざ就業体験に来る、そして自分を選んでくれたような意欲のある人が来たら、少なからず歓迎してくれるはずです。ですので、あまり構えず、ざっくばらんに気になることや疑問はぜひ自分の耳で直接聞いてみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。今回の話が読んでくださった方の一助になれば嬉しい限りです。

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