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続・企業価値向上12兆円構想 専門職IR担当者を増やせ!

2023年から始めることとして
”企業価値向上12兆円構想”
=”時価総額100億円の企業の時価総額を1000億円にする”

という話を書きました。
そのためには、十分な経験とスキルを持った”専門職IR”の存在が不可欠だと考えています。

〇企業価値向上に専門職IRが求められる理由

中小型の上場企業のIR担当者の現状は
・兼任でIRを行うため、使われる時間が限定的
・IRのために確保した時間の大半を四半期毎の資料作成、取材のスケジュール調整などルーチンワークが占めています。(当社調べ)
その結果、IR担当者は企業価値向上に貢献できるクリエイティブな活動ができていない。残念ながらIR担当者の活動が企業価値向上につながることが理解されていないということでしょう。
企業価値向上に十分寄与できていないとすれば、スキル不足の面もあるかもしれないが、十分な時間が与えられなければスキルアップもできません。

特に多くの中小型グロース企業はIRが十分に機能していないために企業価値が適正に評価されていない例が多いように感じています。IRが企業価値向上のボトルネックにならないように早急に改善すべき!

改善案として、まずできることはIR担当者を専任で任命すること。
専任になることでクリエイティブな活動に使える時間が増える。
また、IR担当者自身がスキルアップする機会を与え、専門職IRになる後押しをする。IR担当者のスキルアップが自社のIR活動のレベルアップにつながり、企業価値をプラス方向に押し上げるはず。

〇専門職IR担当者に必要なスキル

現役のIR担当の方で実績をあげた(企業価値を高めた)専門職IRの方としては、元ラクスのIR担当の石沢氏や株式会社SHIFT 執行役員 兼 広報IR部 部長の山路 氏などがあてはまるかもしれない。ほかにも素晴らしいスキルと実績を持った方がいると思うが絶対数としてはあまり多くないのではないか(または私がお会いしていないために存じ上げないということもあるかもしれない)

では、専門職IR担当者に必要なスキルはなんだろうか。

元楽天のIR部長であり、『2030年会社員の未来』『楽天IR戦記』の著者でもある市川祐子さんも専門職IRとして実績を挙げてきた方。IR担当者に必要な知識・能力について、下記の記事で書いていました。

・ファイナンスの知識
・資本市場の知識
・事業の知識
・経営戦略
・表現力(文章・プレゼン)
・コミュニケーション力
・コンプライアンス
・ESGの知識

非常に幅広い知識と能力が必要になります。

この知識・能力を大きく2つに分類して考えてみたい。

〇「一般的能力」と「企業特殊的能力」

人的資本を「一般的能力」「企業特殊的能力」と区別する考え方があります。ノーベル経済学賞を受賞したベッカーらによって提唱された人的資本理論に基づく考え方。前者「一般的能力」は市場全体で通用するような技能、後者「企業特殊的能力」は特定の企業においてのみ役立つ技能の集積をあらわす。

市川さんがあげた能力をこの2つに分けると、次のようになるだろう。
一般的能力
・ファイナンスの知識
・資本市場の知識
・表現力(文章・プレゼン)
・コミュニケーション力
・コンプライアンス
・ESGの知識

企業特殊的能力
・事業の知識
・経営戦略

IR担当者として初期に必要なスキルは「企業特殊能力」のほうだろう。自社について正しく、わかりやすく伝えるためには自社について知り尽くさなければならない。中小型で投資家に十分認知してもらっていない状況でも「企業特殊能力」が不可欠で、「一般的能力」の”表現力”、”コミュニケーション力”も生かすことでIRとしての効果を発揮します。

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〇インベスタージャーニーを経てスキルの重要性の比重が変わる

企業規模が小さく中小型の間はIR担当者のスキルは前述のようなバランスでも十分機能するかもしれません。しかし、企業が順調に成長し、本質的な企業価値の向上に合わせてIR担当者自身のスキルアップをしておく必要がある。主な対話の相手が”個人”から”機関投資家”に移り、”機関投資家”も短期の小規模ヘッジファンドなどから長期の大型のロングオンリーが増えてくるためです。対話の前提として”ファイナンスの知識”、”資本市場の知識”など「一般的能力」を高めることが不可欠となるでしょう。資本市場にいる人たちの共通言語で対話をしなければならない。

例えば、イメージは以下のようなものとなる。


時価総額100億円から1000億円までの過程で得る経験と知識を得ることで”専門職IR”のスキルセットを構築する。イメージは以下のようなもの。

前述のとおり「一般的能力」は市場全体で通用するような技能。自社や同じ業界に限定せず、他の上場企業にも通用する技能。社内だけでなく、社外でも評価される”専門職IR”となることができる。

〇IR担当者は将来のキャリアデザインを描けているか

IR担当者の求人を見かけるが、条件を見るとエンジニアなどと比べても必ずしも高いとは言えない。エンジニアは専門職として評価されていてもIR担当者は専門職としては評価されていないということだろう。

IR担当者の方は将来のキャリアデザインを描けているだろうか。
専門職IRとしての知識・経験を蓄積し、企業価値向上に寄与するプロフェッショナルを目指してみてはどうか

”専門職IR”が増えることが”企業価値向上12兆円構想”を実現することにつながると信じています。

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