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変わってしまった私たち

その子とは出会った瞬間から、ずっと昔から知っているような、姉妹のように仲が良くなれる感じがした。どこに行くのも、何をするのも一緒。楽しい時は存分に笑い、辛い時は慰め合って、その子の笑顔を見ているとこっちまで元気になる。

毎日会っているのに、LINEも電話もして、話は尽きなかった。嘘もつかなくていい、調子を合わせなくていい、相手と自分の本音も理解し合える友達。こんな子に出会ったのは初めてだった。

ずっと変わらないと思っていたけど、離れてからの私たちは変わってしまった。

連絡を取る回数は減り、連絡をとったとしても「既読」がつくだけ。会えば以前と同じような関係だけど、お互いの間にどこか「よそよそしい」雰囲気が流れる。ご飯何食べる?みたいな感じで、疑問を投げかける。

 「何か私に怒ってる?思ってることあったら教えてな?」
 「え?何もないよ」

いつもと変わらない笑顔でそう答える彼女の言葉を信じるしかないけど、「何だか違う」言葉にできない違和感。変わってしまう関係が怖くて、何とか繋ぎ止めようとしたけど、その違和感は深まるばかり。ラブラブなカップルが冷めて別れる前って、こんな感じよなって思った。

極端な私は、長い目で物事を見るのが苦手。「離れていくなら友達じゃない」なんて考えがちだった。あの楽しかった時間が恋しかったし、私たちの間にできた”隙間”を認めたくなかった。友達だと思っているのは私だけだったのかって、裏切られたような気持ちもあった。

でもその子を大切に思っているから、心の距離ができても時間に身を任せるのもありだなって。

よく考えると、以前の私はその都度変わる流行みたいに、「自分」や「友達」の考え方がコロコロ変わっていた。だから、人間関係が絶えず変化するのは当然なのかも。

 ある場所では、文句が言い合える仲間
 ある場所では、寂しさを埋め合う仲間
 ある環境では、上辺だけの関係を求める
 ある環境では、友達ごっこを楽しむ  

今と前では考えが大きく変わってしまったから、きっと相手も同じ。環境や一緒にいる人で、人は変わる。

もし私に何年経っても変わらない自分の価値観があったとしたら、人間関係もそんなにコロコロ変わらないんじゃないかと思う。そもそも、どんな人間関係でも出会った頃のままなんて無いよね。関係のかたちは変わっていくし、それを受け入れて順応していく必要もあるのかな。

だから時間が経って、彼女とまた以前のような仲になれるなら嬉しいし、ダメでも彼女の今後を応援しながら、離れていくしかないよね。寂しくても今はあがいても仕方ないから、たまに開くアルバムみたいに、その子との思い出を心の片隅に置いておこう。

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