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引き寄せの法則まかせにせず自分で行動しないと、という話

ここ何日か、Twitterのタイムラインを眺めていて「引き寄せの法則」という言葉を何度も目にしていました。私は、この「引き寄せの法則」という言葉を見るとちょっとギクッとしてしまいます。なぜなら、以前私自身がとことんハマっていた1人だから。

チャンスがあればセミナーに通い、本を買い、ウットリと成功の気分に浸る日々。人生において何が”成功”もよくわかっていないまま、気づけばお金・時間・労力だけが手元からなくなっていっていました。今日は、そういう自分の体験を少しまとめておきたいと思います。

※前提として、引き寄せの法則やそのセミナー等々が良い・悪いという話ではありません。ここまで世の中に浸透しているものですし、本当に望む”成功”を掴んだ人もたくさんいるはずです。ただ、私はそうではなかったし、ここでは、自分の体験から学んだことを話したい、という考えで書いています。批判的に取れる内容を含むところもありますが、「あなたはそうだったのね」くらいに読み流していただけると嬉しいです。

さて。

結論から言えば、引き寄せの法則にハマって学んだことは、

自分の望むものは、目に見えない何かを信じても手に入れられへん。結局は、自分で何とかするしかない。

ということ。

セミナーに熱を入れている時は、本当に何もかも叶う気がしていました。でも熱が覚めると、「うさんくさ」と何もかも怪しく見えてしまいました。以下からは、私が行ったセミナーのことを話ですので、全てのセミナーが同じ内容や金額とは限りません。

私が初めて引き寄せの法則のセミナーや講演会に行ったのは、今から10年前の20歳の時だったと思います。私が行ったセミナーは、100人くらい入られるコンサートホールのような会場でした。セミナーの金額は、正確には覚えていませんが、1セミナー/5,000円〜10,000円くらいだった気がします。

セミナーで何をするのかというと、基本は壇上に立つ”先生”の話を聞きます。

話の内容は、引き寄せの法則がどれだけ素晴らしいか、どれだけ私たちの生活を良いものにしてくれるか、願うだけで夢は叶う、先生はどうやって”成功者”になったのか、などです。ここでよく聞かされた言葉は「感謝」、「宇宙」、「縁」、「ポジティブ」。

お金持ちであること、プライベートジェットをもつこと、豪邸に高級車をもつこと、海外旅行を月1ですること、お金は有り余る生活、病気とも無縁、毎日働かなくてもいい生活、嫌なことも悲しいこともない世界、周りには愚痴も弱音も吐かない人に囲まれること。

それが”幸せ”で”成功”した人生だ、と繰り返し言われます。

その人生を手に入れるために私たちがすることは、「幸せになれる」、「ポジティブでいます」、「感謝します」、「宇宙を愛します」などの言葉をお経のように会場で唱えるのです。

あと、こういうセミナーでは物を買わされるイメージがありますが、私が行ったところは、そういうことはありませんでした。先生が出版した本が置かれていて、欲しい人は買ってね、くらいのスタンスでした。

月に1回の引き寄せのセミナーには、同じ先生のところに半年くらい通った気がします。最初は「わ〜!ほんまに私は何でも叶えられそう!」と気分が高揚しました。会場にいるみんなが引き寄せの法則の仲間で、「私たちは世界で一番幸せ者。これを知らない人たちは損している」と思っていました。そして、もっと引き寄せの法則を信じて、セミナーの壇上に立つ先生のような”成功者”になろうと、先生を崇拝し始めたのです。

セミナーの後は、会場にいた人たちとカフェで語り合いました。自分たちがどんな成功者になって、お金に不自由しない生活にするかを話し合う”だけ”。行動はする必要がないんです。願えば叶うから。やったことと言えば、成功したいと思う・ほしいと思う物の写真を画用紙に貼ったくらいです。まるで自分がもうそれらを持っているかのように、画用紙を眺めるのです。

そうやって半年間、セミナーに通って何か変わったのか?何も変わりません。気持ち”だけ”成功者です。学生の時、ノートをきれいにまとめて勉強した気になった”だけ”と同じで、”その気”になって満足して終わりです。

ある時ふと、そんなに熱中していたセミナーに通うことを止めました。「これはいよいよ重症やぞ…これ以上いくと、ホンマに抜け出せないかも」と思い始めたからです。

私はクレジットカードが使えなくなるほど、当時の彼氏に何万も借金するほどまでに、引き寄せの法則とセミナーにハマっていました。生活費を抜いて、自分が自由に使えるお金は全て、セミナーと引き寄せの法則の本に消えていきました。それでは飽き足らず、「もう私はほしいものを持っている」と思うために、コスメや洋服でより良い見た目の自分になろうとしました。

結果、どんどんお金と自分を失いました。

それでも”成功”や”幸せ”を手に入れたくて、「私がまだそれらを手に入れられていないのは、まだまだ引き寄せの法則を理解してないから」と思って、お金を費やすことを止められなくなっていました。

止めてくれた当時の彼氏には聞く耳を持たなかったのです。周りの友達は引き寄せの法則が好きな人ばかりだったため、私ではなく「引き寄せの法則は怪しいから止めた方がいい」と言ってくる人たちがおかしいと思っていたから。

でもセミナーに何度か通い始めて、自分の中で「あれ?この話、前もしてなかった?言うとおりやっても何も変わらんけど?」と疑問が生じたのです。

これまでは壇上に立つ先生をウットリ眺めていただけですが、この時初めて、会場にいる人たちの顔を見てギョッとしました。みんなの表情は恍惚としているのですが、目の奥に光を感じなかったのです。もう洗脳されている状態というのでしょうか。

「なんか、みんな全然幸せそうじゃない。もう全てが叶った気分になっているんや」と思うと急に、壇上に立つ先生がうさんくさく見えてきました。

勘弁して。うさんくさいのは私の家族だけで充分。

輝いて見える人は、自分で自分の人生をどうにかして、足りない面もダメな面もネガティブな面も受け入れて、「人間らしい」ように感じます。365日元気でポジティブなんて、あり得ない。自分の感情ごましてもしんどいだけ。なんか、ロボットみたい。

失うお金と自分と時間、何も変わらない現実。全てアホくさくなり、セミナー通いは一切しなくなりました。かと言って、完全に引き寄せの法則から離れたわけではありません。本はそれからもしばらくは買い続けていました。急にすがるように信じていたものが無くなると、不安で仕方なかったからです。禁煙と同じように、つかず離れず、”脱引き寄せ”するまでには、さらに少し時間がかかりました。

もう一度言います。

自分の望むものは、目に見えない何かを信じても手に入れられへん。結局は、自分で何とかするしかない。

他人に流されて、他人が羨むようなことだけが”成功”や”幸せ”なのでしょうか?私は何に、どこに、誰に幸せを求めているんやろう。自分の中身が空っぽ。「幸せになれる」、「ポジティブでいます」、「感謝します」の言葉を使うのも、ほしいものやなりたいものの写真を貼ったり、ノートに書いたりするのは、自分で行動しないと意味がないです。他ならぬ「行動」にこそ、ものごとを変えていく力があります。思っただけでは、何も手に入らないから。


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