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一生捨てられないミスドのペーパーナプキン

子供の頃からミスドが大好き。買い物などの待ち時間、友達と遊ぶ時は必ずミスドへ行く。

私と旦那さんはカナダに住んでいるため、帰国時にしかミスドへ行けない。ひとりで帰国することが多かった私は、旦那さんのお母さんとよく行っていた。ドーナツの感想を言い合って、交換する。カナダでの生活を伝えたり、スマホの使い方を教えたり、この後どこに行くかを話したりする時間が楽しい。

日本滞在3ヶ月が過ぎ、カナダに帰る日がやってきた。彼のお母さんが駅までお見送りに来てくれた。時間があるし小腹も空いた。ミスドに行きたい。お母さんは「ほんま、ミスド好きやな〜。この3ヶ月、一緒によく行ったね」と笑う。

大好きな種類のドーナツを頼んで席につく。お母さんと話している時間は一瞬だ。旦那さんには会いたいけど、彼の両親と離れるのも寂しい。

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お店を出る前にお母さんに渡されたもの。四角い付箋を二つ折りにしたような何かが、ペーパーナプキンに包まれている。中身を見る前に「お金」と分かった。もらえない。一緒に出かける時はお金を出していないし、美味しいご飯もたくさん食べさせてもらった。

返そうとする手に触れて、「いいから、持っときなさい。何か困った時のために。」と押し返される。お礼を言って受け取った。そこには手書きメモもあった。

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お金をもらったことよりも、私を想ってくれることに胸が熱くなる。息子の嫁なのに、本当の娘みたいに接してくれる。自分の家族と良い思い出が少ないだけに、お母さんたちと笑いながら食卓を囲んだことを思い出して涙がこみ上げる。危うく、このナプキンで拭くところだった。家族って、温かいんやな。こんな愛情に包まれて育った旦那さんが羨ましい。

今もこのナプキンは、宝物ボックスに入っている。

もう、2年ほど日本に帰っていない。ミスドも、彼の両親も恋しい。今度は旦那さんも一緒に、4人でドーナツを食べたいな。

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