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10日目 骨の髄まで

水中に居る
呼吸は出来ていたはず
今思えば、呼吸など意識もしないくらい水中に馴染んでいた
その水中は海でも川でもない、でも、どこまでも広がっている
人工的な感じもしたし、それでいて暖かさもあって、暖色系の色をしていた
特に関わることはなかったが知人Hもいた
ただ,そこにいた
ふと、何かが不安になってきて水の中を走り始める
疾走感は皆無だった
しかし、私は走っていた
走っていると目の前に大きな窓が現れてその窓から頭の大きなダチョウが覗いている
そのダチョウが口を開けるととても鳴き声とは思えないような巨大な音が頭に響く
音は自分にだけ響いていて、周りの水にも何にも響いていない
多分、あの音は自分にだけ聞こえていたのではないだろうか
周りの水が私の骨まで漏れ出して脊髄と混ざるような
痛みはなく心地よくてでも足は不快で
私は
頭から
落ちた

いただいたお気持ちは必ず創作に活かします もらった分だけ自身の世界を広げます