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No.486 小黒恵子氏の紹介記事-52 (伝書バトよ安かに・・・)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 様々な新聞記事等をご紹介しています。今回は、新聞に掲載された小黒恵子氏の紹介記事 をご紹介します。

戦時の“通信員”に鎮魂の塔と歌
 伝書バトよ安かに・・・   
 平和と動物愛護を祈り 女流詩人が歌贈る

 戦時中、軍用、報道用の“通信員”として活躍した伝書バトの霊を慰めるため、民間の愛鳩(きゅう)家たちが東京・靖国神社に「鳩魂塔」の再建を計画、この塔に花を添えようと川崎市高津区在住の女流詩人小黒恵子さん(五三)がハトの歌をつくった。「鳩よ」と題する合唱曲で、現在、作曲家の高木東六さん(七七)(横浜市鶴見区)が曲をつけており、九月十五日の除幕式の会場で披露される。小黒さんは「この塔と歌が、動物愛護と平和の尊さ訴える一助になれば」と話していた。

 「鳩魂塔」は昭和四年、民間の愛鳩家によって東京・中野の陸軍中野電信隊の敷地内に建てられた。その後、軍の移動に伴って上野動物園に移設されたが、戦時中に銅板プレートが供出されたうえ、三十年の台風でハトの頭が壊れてしまうというハプニングも手伝い、今は見るかげもない姿。こんなみじめな鳩魂塔に心を痛めていた元軍人で、根っからのハト好きの建設会社社長小林小左衛門さん(六三)(東京・文京区)が、昨年九月、「鳩魂塔奉賛会」を結成。元上野動物園長の古賀忠道さん(七八)に協力を頼んで、広く全国のハト愛好家に呼びかけ、再建資金を募集するとともに、靖国神社に交渉。小林さんらの熱意にほだされて、神社側もことし四月、正式に同神社遊就館前庭に建立することを許可した。
 鳩魂塔の台座は高さ一・八㍍の旧塔の御影石を補修して使うが、あとはすべて新調。銅製の直径三十㌢の地球儀の上に、はばたくハトをかたどった立派な塔。
 小黒さんがハトの歌を作ることになったのは、古賀さんから「除幕式を盛り上げるハトをたたえる歌はないでしょうか」と相談を受けたのがきっかけ。動物好きの小黒さんは「わたしが作詩しましょう」と二つ返事で引き受けた。
〽 鳩よ鳩よ あなたは美しい 翼やさしい光りをのせて はばたくよ風のなか
 流れる雲よ 生きている悦び空に描いて 飛ぶよ飛ぶ飛ぶ(繰り返し)天使のように
 飛ぶよ飛ぶ飛ぶ(繰り返し)美しい鳩
 現在、高木さんがこの詩に曲をつけており、来月十五日の除幕式当日、海軍OB会などで結成している「海洋吹奏楽団」が演奏、地元の中学生たちが心をこめて合唱する手はずになっている。
 管理運営委員長の小林さんは「戦時中、“赤紙”が来て軍に献納されせられた伝書バトも多い。みなさんのおかげでやっと念願の慰霊塔が出来、そのうえ、こんな立派な歌までつくっていただけるなんて・・・・・・・・」と感激していた。

読売新聞川崎版 昭和57年(1982年)8月27日

  写真は、小黒恵子童謡記念館の屋根です。鳩が2羽、仲良く並んでいます。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回は、1982(昭和57)年の新聞の紹介記事をご紹介します。(S)


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