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延髄について

回復期OT4年生が基礎から学ぶnoteログ。
本日も脳神経系、延髄の解剖をイラストを交えながら復習します。

まずは脳幹についておさらい。

脳幹


脳幹は吻尾方向に、中脳、橋、延髄に分けられるが、さらに背腹方向に蓋(部)、被蓋、底部の3つの領域で区分される。

図1 脳幹の構成。それぞれ3つの区分に分けられている。

蓋(部)は脳室系よりも背側の部分で、中脳では発達して上丘下丘からなる。橋、延髄ではほとんどが第4脳室を覆う薄い構造物として存在しているだけ。
被蓋は系統発生学的に古い部分で、ここに網様体や多数の神経核、上行性、下行性の神経線維束が含まれている。
底部は系統発生学的に新しい部分で、中脳では大脳脚、橋では橋底部、延髄では錐体からなり、これらの中を主に大脳皮質から起こって脳幹や脊髄に行く神経線維が走る。
脳幹からは嗅神経と視神経以外の脳神経が出入りしていて、脳幹内には各脳神経の起始核、終始核が存在している。

図2-1 脳幹前面の脳神経。12個中10個は脳幹から出ている。めちゃ多い。
図2-2 後ろから見ると、上丘、下丘が見える。

延髄

延髄の表面的説明

図3-1 脳の中での延髄は黄緑の部分。

 脳の下端部にあり、上では橋に、下では脊髄に続く。延髄と脊髄の境はほぼ大後頭孔の高さにある。
 腹側面の正中には前正中裂があり、その両側に錐体というふくらみがある。錐体は錐体路という運動性神経路を作る神経線維の束によってできたふくらみで、その繊維のほとんどは延髄の最下端で錐体交叉といわれる交叉をして対側にむかう。

図3-2 図2-1より抜粋。ピンクのばってんが錐体交叉。

 錐体のさらに外側にはオリーブというふくらみがあり、中に下オリーブ核を入れている。下オリーブ核からは小脳への投射路がある。(オリーブ小脳路)

図3-3 図2-1より。錐体の外側についてるふくらみがオリーブ。


 背側路の上部は菱形窩とよばれる第4脳室の底の一部をなしている。菱形窩の内側半には内側隆起と呼ばれ、そのやや吻側よりに、顔面神経膝外転神経核による膨らみである顔面神経丘があり、この上外方に青斑とよばれる青い領域がある。
また、内側隆起の下端には舌下神経核による膨らみである舌下神経三角がある。その外側方に迷走神経背側運動核孤束核による膨らみである迷走神経三角と呼ばれる領域がある。
菱形窩の外側半の尾側部は前庭神経野と呼ばれ、その直下に前庭神経核が存在する。背側面の下部では正中に後正中溝が見られ、その両側に薄束結節が、さらにその外側に楔状束結節という高まりがある。これらの中にはそれぞれ薄束核楔状束核がある。この2つの神経は合わせて後索核と呼ばれ、皮膚感覚や深部感覚を間脳の視床へ送る為の中継核となっている。楔状束核のさらに外側には副楔状束核があり、上半身からの深部感覚を小脳へ伝える。

図3-4 図2-2より抜粋。部位はこんな感じ。

延髄の神経的説明

 延髄の全長で見られる神経線維側には錐体内側毛帯内側縦束三叉神経脊髄路孤束があり、神経核には下オリーブ核三叉神経脊髄路核孤束核疑核がある。
 内側毛帯は正中に接して錐体の背側にある神経線維束であり、後索核からの神経線維が交叉後に集まってできたもので、橋や中脳をさらに上行して間脳の視床に達する。
 内側縦束は内側毛帯のすぐ背側にあり、前庭神経核からおこって外眼筋支配の運動核や脊髄に至る神経繊維などを含む。
 三叉神経脊髄路は三叉神経の求心性繊維からなり、その繊維は内側にある三叉神経脊髄路核に止まる。
 孤束は顔面神経、舌咽神経、および迷走神経の求心性線維からなり、これらの線維はその周囲の孤束核に止まる。
 疑核は鰓弓筋である咽頭や喉頭の筋を支配する運動ニューロンからなり、三叉神経脊髄路核の腹内側方に位置する。
 網様体も吻尾に広がっており、その中には生命維持にとって重要な自律神経の中枢が含まれる。特に腹外側部の網様体には呼吸の調節や心臓、血管などの循環機能の調節をつかさどるニューロンが多数存在している。
※脳神経系に関してはまた記事を改めてまとめます。まとめたらリンクを張っておきます。

 延髄上部では大きくなった下小脳脚が背外側部に見られ、その外側円に沿って蝸牛神経核が、その内側方に前庭神経核が存在し、それぞれ蝸牛神経と前庭神経(これらを合わせて内耳神経)の終止核となっている。

図4-1 延髄上部。ここからは部位ごとに統一して色分けしています。

 延髄中部では、第4脳室に沿って内側から順に舌下神経核、迷走神経背側運動核、孤束核、前庭神経核が並ぶ。さらに外側方に副楔状束核や下小脳脚がみられる。腹半側には下オリーブ核が大きく横たわっている。なお、舌下神経核は舌筋支配の運動ニューロンから、迷走神経背側運動核は胸・腹部内蔵支配の副交感神経節ニューロンからなる。

図4-2 上部より形が変わり、少し複雑になってきました。

 延髄下部では、第4脳室が閉じ、その周辺に舌下神経核、迷走神経背側運動核、孤束核が存在する。背側部から外側部にかけては、薄束と薄束核、楔状束と楔状束核、三叉神経脊髄路と三叉神経脊髄路核が順番に並んでいて、これらの神経核にはそれぞれ下半身と下肢、上半身と上肢、および顔面と口腔領域からの求心線維が終止する。

図4-3 延髄下部。中部とは違う神経核が出てきています。

まとめ

 脳幹シリーズ第1弾、延髄をまとめました。神経系を勉強するのに外せない項目として一番最初にまとめましたが、錐体路系とか錐体外路系とかよく聞く名前が出てきたので、改めてまとめてよかったなぁと痛感しました。
 4年目なら知ってて当然!!というご意見もあるかもしれません。本当に勉強不足でごめんなさい。知識をつけるなら今からでも遅くない…と思い、改めて復習していますので、お許しくださいませ…。

参考文献

(株)医学書院 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 解剖学 第4版
※リンクは全て公式Webサイトに飛びます。

補足

 あくまでも参考文献を見たおぐらあんこの解釈になります。何かの拍子でこのページに飛んできた方、詳しく知りたい場合は上記文献を参考にしてくださいませ。
イラストは全ておぐらあんこが描いています。

次回は脳幹シリーズ、です。こちらは疾患も交えてまとめたいと思います。お楽しみに(^^)/~~~

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