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令和元年房総半島台風のその後で①

台風上陸前日

あの日、2019年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ 千葉が幕張で開催されていた。今大会は、陸上自衛隊木更津駐屯地の滑走路が使用され、爆音を上げて飛行機が飛び立っていった。その滑走路の近くの公園に、パブリックビューイングが設置され、僕は焼きそば屋としてこのイベントに参加していた。

数日前からニュースは台風上陸を予想していた。この予報に伴い、イベントは早めに切り上げられた。そして僕らは、雨が降ったり止んだりする不安定な天気の中、少しずつ強まる風を感じながら、道具を片付けて家路に着いたのだった。

台風上陸深夜

猛烈な風の音で目が覚めた。午前3時頃だった。窓の外を見ると、庭の屋台が今にも吹っ飛んで行きそうだった。僕はロープを持って外へ出た・・・必死の思いで屋台をロープで括り付け、びしょ濡れで家の中に飛び込んだ時は、ガタガタと体が震えていた。

台風一過早朝

そして、夜が明けた。家の被害は軽いと判断し、店に向かう。途中、破壊された家々や道路に散乱した瓦礫に、これは只事ではないと、不安は増幅していった。そんな思いと瓦礫を避けながら、僕はバイクを走らせた。

「良かった!店も大した被害はないな」と安堵してシャッターを開けた。と、その瞬間、天井から水が流れ落ち、屋台やPCは水浸しとなっていた。僕は、慌てて外に出て、屋根を見た。トタンの屋根は捲れ上がり、見るも無残な光景に「終った・・・」と思ったんだ。

それからしばらくは、悲しい歌しか書けなくて・・・そんな時に、そんな自分の命に「もう少しだけ」と歌っていた・・・

この後も悲しい歌を何曲か書いた。あの時、屋台をロープで括り付けていた時、死を意識したんだと思う。落ち込んでいる感じはしなかった。むしろ、何とかしなければ!って思いが強かった。だけど、なぜか、悲しい歌しか出てこなくて、命について、歌っていた。

令和元年房総半島台風のその後で②へ続く

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