見出し画像

人生最後の担当美容師

人は必ずいつか死ぬ。

今日か明日か、10年後か50年後か

寿命なのか事故なのか、「その時」は誰にもわからないけれど

その命が終わる最後の担当美容師としてお客様に携われたら

どれだけ名誉なことだろう。

もちろん転勤や引っ越し、介護などやむなしの事情もあるけれど

いろんな理由を加味して、その時の髪を託されたのは最後の担当美容師だ。


昨年、担当させてもらっていたお客様が亡くなった。

急な脳出血だったようだ。

ご友人のお客様から連絡をいただき、そのことを知った。

つい1週間前にカットとカラーをさせてもらい、キャンプの話や料理の話、他愛もない話からお仕事に対する姿勢や取り組みなどをご教授いただいたり

最後はいつもと変わらない太陽のような笑顔で「また来月伺いますね〜🖐」

あんなに元気だったあの方が亡くなるなんて全く信じられなかった。

連絡をいただいてから2日後、お通夜に参列させていただいた。

いつもお洒落なあの方が綺麗な姿で眠っていた。

白髪も深めのチェリーレッドで染まっており、ショートカットもぴったりフィットしている。

図らずも最後の施術となってしまった1週間前のあの日も、

また来月来てくれるだろうし…

と手を抜かず、丁寧に納得いく形で送り出せて本当に良かった。

もし僕に少しの後悔があったとしたら、一生の後悔になっていただろう。

僕がこの経験をするのは人生で二度目だ。


人は必ずいつか死ぬ。

いつかくる「その時」の最後の担当美容師として

後悔が残らない施術や提案が毎回、出来ているだろうか?


P.S 最後の担当者になることの重要性について教えてくださった下北沢の師匠に感謝です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?