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小学生による「語りべシアター」の上演を目指して

こんにちは。エネルギー・文化研究所の栗本智代です。
私は、関西・大阪の活性化のため、まちの歴史や文化を楽しくわかりやすくご紹介する活動として、音楽の生演奏、映像、語りによる「語りべシアター」の公演を展開しています。
これまで、地元の住民の方々、近畿圏の皆さまを対象に、地域の魅力やこれからのまちのあり様について、興味を深めていただきたく活動を続けてきました。
今回は、昨年からのご縁で、大阪市大正区の中泉尾小学校より再び依頼があった「語りべシアター」の公演開催について、ご報告します。
(上の写真は、語りべシアター公演の模様)


1. 創立100周年の記念式典での発表会を目指して

大阪市立中泉尾小学校では、2024年12月に100周年を迎えるにあたり、その記念式典において、6年生がわがまちの魅力紹介を発表する計画があり、「語りべシアター」の手法を活用できないかと相談を受けておりました。
そこで、まず昨年は、全学年の生徒を対象に、地域のことを知る面白さを味わってもらおうと、小学校から比較的距離の近い「新世界」や「通天閣」についての歩みやエピソードを、語りに映像と音楽を交えた語りべシアターの形式で公演しました。低学年の生徒さんには、とにかく楽しくわかりやすく工夫した結果、「よくわかった」「お話する人も音楽もすごかった」という感想をもらいました。また高学年の生徒さんには、プレゼンテーションの1つの見本となるようにと準備していましたが、「面白くて楽しくて、時間が過ぎるのがはやすぎた」(6年生)「映像と音楽がすごく合っていて、紹介する説明もとてもうまくて、自分もこんなふうに発表できたらな、と思った」(5年生)「感動した」「また大阪の歴史を知っていきたい。調べたい」(4~6年生、複数)と、楽しみながら理解してもらえたようでした。

そして、今年度も同小学校から公演依頼があり、記念式典に向けての発表内容の制作に関わる5年生と、今年度お手伝いしてもらう6年生の2学年に絞って、再び12月に、「語りべシアター」の公演を行いました。

クイズに答える生徒さん達

2.「甲子園ものがたり」の上演

今回もわかりやすい題材はないかと考えた末、「甲子園」について以前まとめた作品をアレンジして上演することにしました。生徒さんが暮らす大阪府の隣の県ではありますが、ちょうど、プロ野球の阪神タイガースが優勝したこともあり、そのホームグラウンドである甲子園球場を中心としたエピソードの紹介は、親しみやすいのではないかと考えました。昨年同様、クイズを入れたり、解説をより丁寧にわかりやすくしたり、小学生に馴染みがあるであろう音楽を演奏したりと、飽きることなく話についていけるようにアレンジしました。たとえば、「甲子園」の名前の由来については、干支のそれぞれ1番目に来る「甲(きのえ)」と「子(ねずみ)」の組み合わせ、という60年に1度の稀有な年に完成した事から決まった、と説明するため、丁寧に時間をかけました。
当初、体育館での実施を予定しておりましたが、大寒波到来のため急遽音楽室に変更してもらい、アットホームな雰囲気で、生徒さんの表情などを確かめながら公演を進めることができました。
後日受け取ったアンケートには「甲子園の名前の由来や、完成するまですごく大変だったことなど、知らないことばかりで詳しく説明してくれて、よくわかった」「音読の人と、ヴァイオリン、ピアノの人が雰囲気がぴったり合っていて、画面もわかりやすかった」「中泉尾の100周年に向けて、いろいろなことを調べたり、役に立てるようにしたい。すごい作品をつくれるよう頑張りたい」といった前向きな感想が記されており、今回の公演実施の役割は果たせたのかなと少し安心しました。

「甲子園」の名前の由来を説明する映写図より 

3.記念式典に向けてのキックオフ

さて、いよいよ式典に向けての生徒さんによる制作準備の開始です。発表内容については、教頭先生から事前に、校歌の歌詞に記された中泉尾小学校周辺地域の特徴をテーマにできないか、と相談されました。中泉尾小学校の校歌は3番まであり、それぞれに、「みおつくし」「機械の音」「梅の花」といったキーワードが入っています。そこで、まず3つのチームに分け、それぞれのキーワードに関して、文献を調べながら近くの川や橋、工場、花の名所、区役所などを訪ねて、携わっている方にインタビューをする、という「調べ学習」のワークショップにしましょうと、簡単な計画をたてました。暮らしている地域のことなので、ご家族の方にも手伝ってもらえたら、家族でもいつもと違った会話が生まれ、より多くの情報が集まるかもしれないと、関連事項を何かひとつ以上調べてくることを冬休みの宿題にしてもらいました。
また、校歌の1番、2番、3番と分けてワークショップを進めるため、できるだけ一人ひとりの個性を活かせるようなチーム分けを先生にお願いしました。さあ、生徒さんは、冬休みの宿題をどのくらいやってくれたのでしょうか。これから、どんなアイデアが出てくるか楽しみにしながら、必要に応じて本番までサポートしていこうと考えています。

☆「語りべシアター」活動概要

☆  YouTube「語りべシアターチャンネル」


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