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就活のタブー

大学に入学した。



勉強は確かに大変ではあったが、面白くもあった。




学年が上がるにつれ、専門性が高まっていく。4年生になり、ある研究室に所属することになった。





指導教員の先生から各自研究テーマが与えられ、私の研究人生が始まった。

この場合の研究とは、一般的には実験を指すことが多いが、実験がうまくいけば得られた結果を基に科学論文を検索したり、得られた情報を使って自分で論理を組み立てるといったことをする。そしてまた実験をする。この繰り返しである。



もちろん自分の研究に関連する知識も求められるが、研究において重要とされるのはオリジナリティであるように思う。そしてオリジナリティを出すために大切なのは意外なことに論理的思考力である。(これについてはまた後日書きたいと思う。)

思うに、私は人より論理的思考力が長けている。(と、自負している。)そして、論理的に物事を考えることが好きである。





こうして私は研究の面白さに取り憑かれた。のめりこんだ。大学卒業後も大学院進学の道を選んだ。









気がつけば皆が恐れ慄くであろう“あれ”をやる時期が来てしまった。







そう、就活である。









私が大学卒業後に進学を選んだのは、もちろん研究をやりたかったという理由が第一だが、二番目にくるのは紛れもなく「就活をやりたくないから」であった。







しかし、ついに就活をしなければいけない時が来てしまった。逃げ道はない。どうしたものか。


だが皮肉にも考えている暇などなかった。普段無駄なことばかり考えず、人生についてよくよく考えておくべきであった。時すでにお寿司である。いや、遅しである。







私はこのときにもやはり、やりたいことはなかった。

周りが就活するから、
周りが博士課程には行かないから、


いつのまにか行動するモチベーションの主語が「周り」になっていた。



しかし、大学受験で少しばかり苦労をして、それなりのネームバリューある学歴が味方となってくれ、私はとあるパンメーカーの内定を勝ち取った。



正直、会社の規模はそんなに大きくないし、社内外の人に「なんでこんな会社に」と言われることは多かった。


決め手なんてなかった。


きっと就活本でタブーとされているだろう、



「最初に内定をくれたから」



ただそれだけだった。



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