見出し画像

よそ者だからこそできる、暮らしを伝えること。いいづかあさみさんの写真展「報せ」を観て。

先日、写真家のいいづかあさみさんの展示を観に谷中にあるHAGISOへ行ってきた。

大好きな谷中という場所に、若干浮き足立ち気味に谷中を目指したので40分も早く現地へ到着。笑
久々に谷中散策を楽しんでいたら、展示のはじまる時間になった。

いいづかさんは、港町を中心に自身がその町に住みながら、その土地の暮らしやその土地に住む人の生き方を写真で表現している写真家の方。

彼女が大学生のころ灯台もと暮らしのインターンをしていた時からの知り合いで、その後一緒にプロジェクトをやったり、ずっとお世話になっている。
プロジェクトの忘年会の前に一緒にお茶をしたHAGISOで彼女が展覧会をすることになったのは、すごく感慨深かった。

いいづかさんの今回の作品は、陸前高田に住むノブ子おばあちゃんの生き様や暮らしを表現した写真たちの展覧会。
展覧会の概要を引用しておく。

陸前高田で出会った、のぶこばあちゃんにカメラを向ける日々は、繰り返す物事の隙間にやってくるなにかの報せを待つようなものだった。その報せとは、船乗りだったじいちゃんから送られた電報にも似ていた。水平線の向こうに広がる未知の海からたった一つ記号を授かるような。


HAGISOに入ると見慣れたカフェスペースの横に、いいづかさんの青を基調とした写真が並んでいた。

写真展「報せ」

写真は心が動いた体験のお裾分け


はじめ「おばあちゃんの暮らしを作品にしたい」と聞いたとき、どんな作品になるんだ???と私も頭の中にハテナがいっぱいだった。

でも写真をみて納得した。
いいづかさんの作品は、ノブ子おばあちゃんからどんな話を聞いたのか、陸前高田で感じた自然の美しさをお裾分けしてもらっているような気分になる写真たちだった。
「船に乗りたい」と話ていた彼女が、船乗りの妻だったノブ子おばあちゃんの話や生活がすごく面白かったんだろうな、と想像が容易かった。

「暮らし」は良くも悪くもありふれている。
誰しもにあって、誰もが営まないといけないものだと思う。
その“普通”の暮らしも、誰かには“普通”ではなくて、
よそものだから気付ける、その人の持っている“面白さ”や“美しさ”を教えてもらったような写真だった。

まるでドキュメンタリー。
自分が現地に引っ越して、1人の人をとことん追うなんてこと簡単にはできない。
行動につながるまで心が動く美しさをいいづかさんは体験したのであろう。
そして、それを私たちに共有してくれてありがとうと言いたい。

余談だけど、いつも飄々としている彼女の口から、できないとか無理ですといったことを聞いたことがない。
やったことない事でも「やってみます」と何なくこなしてくるのは、驚きと同時に頼もしさを感じていた。

作品は発表した瞬間、作品になるのだなと今回強く感じた。
逆に言えば、発表しなかったら、作品ではない。

今回のシリーズで、本製作・展覧会など、彼女も未経験のものがたくさんあったと思う。
やったことなくても、発表して伝えたいという情熱をもって発表することの大切さを彼女から教わったような気がする。

写真を見るだけでも楽しいのですが、展示期間中の土日はいいづかさんが展示会場にいるそうなので、本人から写真の裏側の話聞いてみると面白いと思いますよ。

楽しい展示でした!

展覧会の情報


https://hagiso.jp/art/2022_01_iizukaasami/

HAGI ART|「報せ」飯塚麻美
1月12日[水]ー 2月6日[日]

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?