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ゲーセンのプリクラ界隈の話


先日、セガが20年ぶりにプリクラを発売するという記事がニュースサイト
などで取り上げられました。
「fiz」という機種なんですが、実は7月の段階で先行リリース
されており、プリクラ有名店などでは既に稼働していたんですね。
それが10月より通常のお店でも導入されるようになる、という話です。

「プリクラ」という言葉は今ではセガの登録商標となっているので、
現在は色々ひっくるめて「プリ機」という呼び方が主流となっています。

セガがプリ機を出したのが約20年ぶりという事なので、
今回はこのゲーセンのプリクラ界隈の話をしていきたいと思います。

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ビデオゲーム、プライズ、音ゲーなどで頻繁にゲーセンに訪れる
ゲーセンヘビーユーザーでも、ことプリ機に関しては完全に守備範囲外で
未知の領域という方も多いかと思います。
まぁ、プリ機のメインの客層は10~20代の女性で、オタクのゲーマーとは
真逆の人種なので無理もありません。
しかしプリ機はゲーセンにとっても非常に重要な収入源で、下手なゲーム
なんかよりも遥かに高い売り上げを出してくれる機種なのです。

人気機種になると待ちで行列ができるほどで、1プレイ400円の機械が
何時間も稼働しっぱなしになり、1日の売り上げが10~20万になる、
なんて事もあります。ただその分ランニングコストも高いんですが・・・
この件はまた機会があれば話したいと思います。

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「プリント倶楽部(プリクラ)」は、1995年にアトラスとセガの共同開発で
ゲーセンに登場したプリントシール機で、テレビで取り上げられた事などを
きっかけに翌1996年頃からブームとなりました。
しかしこのブームは長続きはせず、2年程で急速に減少していきました。

この減少傾向の1997~1998年頃にプリントシール事業に参入したのが
「オムロンエンタテインメント株式会社」で、今やプリントシール業界の雄
と言える「フリュー株式会社」の前身となる企業です。
ブームの沈静化により停滞していたプリントシール業界で、細々と開発を
続けた結果2000年代に開花。若い女性を中心にブームではなくプリ機を
スタンダードとして定着させる事に成功し、2007年に「フリュー株式会社」
として独立、オムロンエンタテインメント時代から現在までの約20年
プリントシール業界を牽引してきました。
「プリクラは復活するか?」というような話がよく囁かれますがそれは
間違いで、TikTokやInstagramの普及とスマホで簡単に画像加工できて
しまう現在では、最盛期のような盛り上がりこそ失ってしまいましたが、
それでも既に一定の水準で若い女性のスタンダードになっているのです。
昨今のゲームセンター減少の影響に伴い、機械の出荷台数大幅削減など
厳しい煽りを受けたのにも関わらず、これだけの期間最前線でプリント
シール業界を進んで来たのは素直にすごい事だと思います。


プリントシール機としての火付け役はアトラスとセガの開発した
「プリクラ」でしたが、セガは2000年代に入ってからは自社で新製品を
開発する事はなく、実質「フリュー」がプリントシール業界の舵取りを
してきたと言っても過言ではありません。
そして新たにこの業界に参入してきたのが「辰巳電子工業株式会社(TATSUMI)」と「株式会社メイクソフトウェア」で、2000年代中盤から2010年代後半までは「フリュー」「TATSUMI」「メイクソフトウェア」の
3メーカーのプリントシール機が主流となっていました。
プリントシール機を開発したメーカーは他に数社ありますが、軌道に乗った
メーカーはこの3社でした。
しかし「TATSUMI」と「メイクソフトウェア」は「フリュー」の牙城を
崩す事ができず、特に「メイクソフトウェア」に関してはこのプリント
シール機の開発が足かせとなり2018年に破産、プリントシール事業を
「加賀デバイス株式会社」へ譲渡して、2020年8月に法人としては消滅して
しまいました。メイクは「日本アミューズメント産業協会JAIA
(旧JAMMA)」に加入していなかった背景もあり、アミューズメント
マシンショーやジャパンアミューズメントエキスポにも単独で出展できず、
末期は相当に厳しかった事が伺えます。
一方TATSUMIは、メインのプリントシール機に関してはフリューに後れを
とる形になっていますが、ファミリー向けのプリントシール機を開発する
など独自路線を開拓し、堅実に生き残っています。


現在はフリューとTATSUMIの2社の機械がプリ機の主流となっていた
ところに、満を持してセガが復活参入してきた形になっています。
プリ機の品質としては、フリューの機械がかなりのクオリティを持って
いますので、セガが今後もプリントシール業界で新たな機械を開発し、
初代プリクラを開発した老舗としての意地を見せて欲しいと思います。


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