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末期がんの親父とデプレッションな俺

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預金通帳と印鑑という神経衰弱よ

預金通帳と印鑑という神経衰弱よ

かたづけられない人の特徴の一つに銀行の通帳と印鑑の組み合わせがわからなくなる症状がある。

これはまったくの私調べで統計をとっているわけではないがそんな気がする。ふだんはキャッシュカードしか使用しないし、通帳に印鑑が表示されなくなった。またインターネットバンキングなる便利なサービスもあり通帳はほとんど使わない。

私は生命保険の解約を余儀なくされた。受取人が末期がんの父であるというのもおかしな話で

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それは鶴岡八幡宮の大銀杏のような再会
『35年ぶりだねえ』

それは鶴岡八幡宮の大銀杏のような再会 『35年ぶりだねえ』

薬局内は、夕方5時を過ぎていたこともあり、それほど混ではいなかった。

子供連れのおかあさんの顔をちょっと確認しつつ、カウンターへと進む。「あの、先ほど、◎◎病院よりFAXしたオギノと申しますが。新規なんです。」薬はすでに用意されていた。男性スタッフがオギノの声を聞いてこちらを向いている。

私は30代の土屋かおりと沢口靖子を足して2で割ったようなようするに顔立ちは端正であるが女の色気をも持ち合わ

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かれんな同級生に35年ぶりに再会を果たしにいく

親父が末期のがんであることがわかってもうじき1ヶ月になる。

なにかおかしいと思いつつ、よくわからずに本人も私もスルーしてきたはっきりしない自覚症状。病気に対して鈍感な性格は父の人生にとってよかったのであろうか。

うつ症状でぼんやりした私と、栄養不足、おそらく軽度の脱水でせん妄ぎみな父はそろって処方箋をもらうことを忘れ、会計だけ済ませて帰宅してしまった。薬といっても降圧剤と眠剤であるが。翌日、再

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