「美少女戦士セーラームーン」21~30話レポート
ゴールデンウィークもとっくに明けたというのに、相変わらず永遠の夏休みのような日々が続いている。
そんな毎日の中で、私が今最も楽しみにしているもの、それは毎週10話ずつ無料配信されているセーラームーン。
敵と戦っては倒し、戦っては倒し、日常と非日常を繰り返すセーラームーンの世界を見ていると、この自粛生活もコロナという妖魔と戦う魔法少女アニメのように思えて来る。
ということで、今週も波乱万丈の「美少女戦士セーラームーン」21〜30話について、レポートを綴る。
「美少女戦士セーラームーン」21〜30話あらすじ
今週は、涙なしには観られない展開であった。
なんてったって、うさぎの親友なるちゃんと、ダークキングダム四天王の一員ネフライトの悲しい恋物語である。
大阪なる、ただのうさぎの友達だと思って油断していたが、何話にも渡ってその恋模様が放映されるほどの人物だったとは…。
この禁断の恋については、詳しく後述する。
そして、第25話からは４人目のセーラー戦士、セーラージュピター（木野まこと）が登場する。
男勝りの体格と力を持つ一方で、繊細な乙女心を持ち、「まこちゃん」の愛称で親しまれる。
「あたしが失恋した先輩とそっくりだ…」
と、気になる男性をすぐ失恋した先輩に重ねてしまう。
そんなまこちゃんはうさぎと同じ区立十番中学に転校してきたばかりで、前の学校の制服をずっと着ているのだが、それがめちゃくちゃかわいい！
セーラームーンには今の所、うさぎと亜美の制服、レイの制服、まことの制服が出てきているが、その中でも個人的にダントツのかわいさだ。
また、セーラー戦士たちの使命やダークキングダムの狙いもより鮮明になってきた。
「むかーしむかしの話だけど…ダークキングダムに妖魔七人衆っていう悪い連中がいたの。ところが、誰かが幻の銀水晶の７つのカケラに妖魔七人衆を封じ込めたらしいのよ。虹水晶を宿した妖魔たちは、正しき心の持ち主になってこの地球に降りてきたの。そして、人間となった彼らは、平穏に暮らしていたのよ。でもゾイサイトはその７人から虹水晶を抜き取ろうとしている。７つの虹水晶を抜き出せば、幻の銀水晶が手に入るのよ。しかも極悪な妖魔が蘇って、敵は一石二鳥というわけなの。」
（第26話「なるちゃんに笑顔を！うさぎの友情」）
さすがルナ、いつも全てを説明してくれる。
つまり、銀水晶という良くも悪くも強大なパワーを持つ秘宝があり、そのカケラである７つの虹水晶が妖魔を眠らせた状態で地球上の人間に宿っている。
敵はその７つを集めて悪を復活させ、全宇宙をダークキングダムのものにしようとしている。
セーラー戦士たちはそれを阻止するために、敵より先に７つの虹水晶を集めなければいけない。
そしてやっかいなことに、タキシード仮面も自らの謎を解くために、銀水晶を必要としている…。
セーラー戦士、タキシード仮面、ダークキングダムの３者が地球上の７つの虹水晶を集めて銀水晶を手に入れようとしている、ドラゴンボールのような展開になってきた。
また、新たなアイテムも登場した。
ダークキングダム四天王の一員であるゾイサイトにより、虹水晶を抜き取られた人間が妖魔と化した際、それを元に戻すための道具「ムーンスティック」だ。
「ムーンヒーリングエスカレーション！」
と叫びスティックで大きく円を描くと、妖魔を元の人間の姿に戻すことができる。
このスティックで虹水晶を宿した人間を探すこともできる。
ムーンスティックを持つことは、セーラー戦士のリーダーの証でもある。
こうしてセーラー戦士のリーダーとなったうさぎは、時にしくじり呆れられながらも、少しずつその使命を果たしていくのだった。
セーラームーンとお決まり演出
「あ〜！ちこくちこく！」
と大手を振って走るうさぎ。
うさぎの朝の風景は大抵これだ。
時に弁当箱を忘れ、時に曲がり角で誰かにぶつかり、遅刻した日に限って何かしら事件が起きる。
少女アニメで定番中の定番の演出であるが、こんなにも遅刻の演出が多用されているアニメが他にあるだろうか。
また、セーラームーンは終わり方の演出も、お決まりの「ズッコケ終わり」が多い。
今週はしんみりした話も多かったので第25話のみであったが、懲りずに恋をするまことの姿を見て、うさぎが「もぉ〜まこちゃんったら〜！」とコケる。
妖魔との激しい戦い等を経ても、最後は「アチャ〜」「ズコーッ」と軽いトーンで明るく締める定番の演出が頻繁に見られる。
また、第21話「子供の夢守れ！アニメに結ぶ友情」では、テレビで流れるアニメ「セーラーV」に釘付けなうさぎが
「いいな〜、セーラーVちゃんアニメになって。誰かあたしもアニメにしてくんないかな〜」
と呟く。
アニメの主人公がアニメを夢見るというメタ的な演出も、度々映画や漫画、アニメ等に見られる演出だ。
変身シーンや呪文のシーン等も含めて、セーラームーンにはアニメあるあるのようなお決まりの演出がとても多い。
中にはセーラームーンが元祖となって、その後のアニメで多々見られるようになったものもあるのかもしれないが、とにかく「見たことある」「知ってる」演出が多いことで、セーラームーンは何だかとても安心して見られる気がする。
「そんなに走ったら絶対曲がり角で誰かとぶつかるよ！」と思って見ていると、ちゃんとぶつかってくれる。
それだけでこちらとあちらのテンポがマッチして、楽しんで見られるのだ。
お決まりの演出を堂々と多様していることも、セーラームーンを面白くしている一要素なのかもしれない。
元基お兄さんに要注意
うさぎの父が経営するゲームセンターでアルバイトをする優しい青年、元基お兄さん。
今週ついにそのとんでもない素性が明らかに…。
いつもにこやかで優しい言葉をかけてくれる元基お兄さんには、うさぎやまことも想いを寄せ、心をときめかせていた。
しかしそんな元基お兄さん…実は……彼女持ちだったのである。
それも、聡明で落ち着きがあって、とてもうさぎやまことのようなお子ちゃまでは敵わないような。
それにもかかわらず、
「もう仕事終わるんだ。うさぎちゃんどう？お茶でも。」
とうさぎをお茶に誘ったり、
「まこちゃんって料理が上手なんだって？いいなぁ、今度ご馳走してよ」
とまこちゃんに手料理をねだったりと、良い歳した大学生が純真な女子中学生を相手に思わせぶりな態度をとる。
挙げ句の果てに彼女がいるのに女子中学生を部屋にあげ、汚い部屋を掃除させたり料理をさせたりしておいて、自分は何も手伝わない。
その上せっかく作ってくれた手料理を食べずに突然家を出てしまい、留守番まで…。
このとんでもなさを見かねた衛に、うさぎたちのことをどう思っているのか尋ねられると、
「妹がいたらあんな感じかなって思うんだ。」
とにこやかに答える。
そんな妹がいたら可哀想だぞ！
本人に悪気がないところが、余計にたちが悪い。
留学を迷っている彼女に「応援したいけど離れるのが寂しい気持ちもある」と本音をはっきり言えないし、敵に襲われた彼女を守ろうとしてもあっけなくやられてしまう。
元基お兄さんは優しいけれど、いつでも誰にでも優しいから、ここぞという時に弱いのだ。
これならば、少々嫌味でも物事をはっきりと言い、自分をしっかりと持ち、未成年との付き合い方もわきまえている衛のほうがよっぽどましである。
それに衛は基本的に嫌味なやつだが、度々とてもいいことを言う。
第28話「恋のイラスト、うさぎと衛が接近？」では、交友関係を犠牲にして画家を続けるユメミに対して
「自分を幸せにできない人間が、他人の幸せもないだろう。」
と言い放つ。
思わずハッとさせられてしまう。
そんなわけで、なぜか相対的に衛の株が上がった今週であった。
ネフライト 〜禁断の恋〜
つい先日はジェダイトのいなくなった喪失感に浸っていたというのに…。
私は、また好いてはいけない人に想いを寄せてしまったようだ。
その名も、ネフライト。
ダークキングダム四天王のひとりで、星座の力で妖魔を操る。
今は亡きジェダイトに代わって登場した敵キャラだったので、初めは彼を見てもジェダイトを思い出しため息をつくばかりだった。
それなのに…。
赤茶色の長髪で大人の色気を放つネフライトは、人間界では三条院正人と名乗りフェラーリを乗り回す。
そんなネフライトと出会ってしまったうさぎの親友なるは、
「わからない…三条院さまはいったい私をどう思ってるの？」
「これが…恋なのね…」
とすっかり恋煩いに陥る。
それを知ったうさぎがあわててなるを止めようとしても、恋は盲目、とどまるところを知らない。
そんななるの純真を利用して、銀水晶を探しセーラームーンの正体を探ろうとするネフライト。
その様子を見かねてネフライトを倒そうとするセーラー戦士たち。
すると、なるはネフライトの前に立ちはだかり、こう叫ぶ。
「三条院さまは、私が守る！」
殺されてもどかないと言い張るなるに、どうしてそこまでしてネフライトをかばうのかとセーラー戦士が尋ねると、
「好きだから…大好きだから…たとえ命と引き換えにしても、この人を守るわ！」
と涙ながらに正義の戦士に訴える。
誰かにとっての正義は、誰かにとっての悪であるとでも言うように。
「自らを伏せても他のものをかばう…こ、これが人間どもの愛なのか」
思わず圧倒されるネフライト。
それが愛だと気付いた時にはすでに、ネフライトもなるに想いを寄せてしまっていたのだろう。
妖魔がなるに襲いかかろうとすると、思わずなるを助ける。
この出来事を通して一層ネフライトへの思いが増したなるは、
「ダメなの。どんなに悪い人でも好きなんだもん。困っちゃうなぁ…」
と呟く。
わかる。
気づけば私もすっかりネフライトに夢中になっていた。
それでもなお自分の気持ちに気がついていないネフライトは、引き続きなるを悪のために利用しようとするのだが、なるが妖魔にとらわれると
「馬鹿め、あんな小娘どうなろうと知ったことか！」
と言いつつ、やはりまた助けに行ってしまう。
こんなのもう、なるのこと大好きじゃないか。
なるに礼を言われ、
「礼など無用だ。なぜ君を助けたのか、私自身もよくわからない。」
と呟くネフライト。
それは好きだからだよ、ネフライト。
２人はチョコレートパフェを食べにいく約束を交わし、あははうふふと笑い合う。
急に甘すぎる。
ネフライトがこんなに優しく笑えるなんて…。
しかし、２人の運命は険しいものだった。
結局妖魔に襲われ、なるをかばいトドメの一撃を食らってしまうネフライト。
ついに息絶えようという時、絞り出すようにこう呟く。
「チョコレート…パフェ…食べられそうにない…」
それも、今までで一番優しい笑みを浮かべて。
愛を知った途端に最期を迎えてしまう、これも悪の宿命なのだろうか。
星屑となって天に昇っていくネフライト。
号泣するなる。
号泣する私。
一緒にチョコレートパフェを食べたかった、ただそれだけのことがどうして叶わないのだろう。
愛を知ってもなお、悪は滅ぼされなければならないのか。
悲しい結末を迎えた、なるとネフライトの禁断の恋。
しかし天に昇ったネフライトは、きっと大きな大きな夜空で、甘い甘いチョコレートパフェ座を結んでいることだろう。
タキシード仮面
今週も、このお騒がせ仮面について考えなければいけない。
21〜30話における、タキシード仮面にまつわる重要な新事実は５つ。
①遠い昔、誰かに「銀水晶を探して」と頼まれた。
②自分自身のことを知るために、銀水晶の謎を解かねばならない。
③セーラームーンとは遠い昔に何らかのつながりがあるっぽい。
④銀水晶のために虹水晶を集めているという点においては、セーラー戦士たちの敵である。
⑤衛がタキシード仮面であることを自覚した。
だいぶクリアにはなってきたが、まだまだ謎は尽きない。
銀水晶を探すよう頼んだのはプリンセスなのか？
セーラームーンとどんなつながりがあるのか？
なぜ今まで衛はタキシード仮面であることを自覚できなかったのか？
また、第22話「月下のロマンス！うさぎの初キッス」では、いつの間にか仮面舞踏会を抜け出したうさぎとタキシード仮面が、月光に照らされたバルコニーでキスを交わす。
タキシード「遠い昔、同じように、こうしたことがあるような…私の記憶が蘇りそうだ。」
うさぎ「優しいこの温もり、前もどこかで…なんだか、懐かしい思いがする。」
もうそんな関係…？
それでも２人は、時に互いを助け合い、時に虹水晶を奪い合うというじれったい間柄。
タキシード仮面よ、お前はうさぎの何なんだ。
ということで、彼に関しては引き続き慎重に考察していく。
HOW TO 「 月にかわっておしおきよ！」
世の中には、月にかわっておしおきしたいことが溢れている。
特に今のような状況下では、家で、学校で、会社で、ネットで、様々なおしおき案件が多発していることだろう。
そこで、セーラームーンの決め台詞
「愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン！月にかわっておしおきよ！」
のやり方を紹介する。
アニメで見ると意外と早くて複雑なので、初めはゆっくり練習して、少しずつ身体に染み込ませていこう。
①「愛と正義の」
右手はグー、左手はパー。
愛と正義を掴み取るイメージ。
②「セーラー服美少女」
左手グーを曲げて、右手グーを伸ばす。
優しさとガッツを込めて。
③「戦士」
うさぎの手でクロス。
右腕が上。
月面のうさぎをイメージして。
④「セーラー」
右手グーを曲げて、左手パーを伸ばす。
セーラー服がふわっと広がるような気持ち。
⑤「ムーン！」
はいここ大事！
今度はうさぎの手じゃなくてアイラブユーの手（写真見にくいけど）で、右手を伸ばして左手を添える。
腰をグッと入れるとよりGOOD。
愛する者を想う気持ちを忘れずに。
⑥「月に」
アイラブユーの形のまま右手を前に、左手を後ろに伸ばす。
愛する気持ちを月まで届ける感じで。
⑦「かわって」
三日月を描くように、⑥の手を下からぐるっと回して右側に持って来る。
月のパワーをぐるっとかっさらっていくように。
⑧「おしおきよ！」
決まった…。
最後はおなじみの決めポーズ。
アイラブユーの左手で抱きかかえるように、右手のピストルで狙い撃ち。
敵をやっつけるのは愛の銃弾だ。
これらはあくまでも私の解釈だが、決めポーズのひとつひとつにも、強いメッセージがこめられていることが実際にやってみて分かった。
アニメの中では、シチュエーションに合わせてその都度様々なセリフが加えられている。
以下にその用例を紹介する。
「若貴人気に嫉妬するおじさん達よりも、もっともっと悪いのは、人の心をなんとも思わないやつ！愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン！月にかわっておしおきよ！」
（第2話「おしおきよ！占いハウスは妖魔の館」）
「スリムになりたい乙女の夢を、悪の心で踏みにじる、女の敵を許せない！ご存知、愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン！月にかわっておしおきよ！」
（第4話「うさぎが教えます！スリムになる法」）
「シンデレラを夢見る乙女心に偽物のガラスの靴を履かせたやつ！愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン！月にかわっておしおきよ！」
（第7話「うさぎ反省！スターの道はきびしい」）
「天才は、世界の平和に役立ってこそ、価値がある！悪の手には渡さないわ！愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン！月にかわっておしおきよ！」
（第8話「天才少女は妖魔なの？恐怖の洗脳塾」）
「妖魔にエースは狙えない！テニスを悪用するなんて、ナブラチロワも泣いてるわ！愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン！月にかわっておしおきよ！」
（第14話「新たなる強敵、ネフライト魔の紋章」）
「女の子の本当の美しさは外見じゃないわ！優しい心と、正義を愛するガッツよ！愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン！月にかわっておしおきよ！」
（第17話「モデルはうさぎ？妖魔カメラの熱写」）
「乙女の愛を利用するなんて、恋愛詐欺罪で逮捕しちゃうわよ！愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン！月にかわっておしおきよ！」
（第23話「流れ星に願いを！なるちゃんの純愛」）
このように、「月にかわっておしおきよ！」は世の中のありとあらゆる理不尽に対応できる魔法の呪文だ。
ぜひとも決めポーズをばっちり覚えて、いつ襲ってくるか分からないこの世の悪に備えてみてほしい。
次週もセーラームーンは月にかわって、私を励まし前向きにしてくれるだろう。
今夜も月は高く昇り、変わらず街を照らしている。
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