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管理職の悩みの話

コロナの警戒態勢が緩和され、少しずつ飲み会も増えた。
普段お酒を飲むことはない私にとっては、オンライン飲み会などやるわけもなく、やはりテーブルを囲んでのあの独特の空気に酔いながら楽しくしゃべるのが好きなのだと改めて今感じている。飲み会をやってくれる旧友たちに感謝を。
そんな友人たちもこの歳になると、マネージャーやら管理職になっている。少し前までは仕事が大変だー、やりがいだーと言っていたのが、
今では部下が育たない、育成の仕方が分からない、仕事の進め方とは…と
それらしい悩みに変わっていた。分かる、分かるぞ。そんな中で、部長やらマネージャーやらを一応は務めているので、その見解を少し記しておこうと思った。数年後、変わってる可能性もあるので。

組織の作り方

自主的な行動が自分の可能性を高める

私が今のチームにおいて、重視していることは「自主性」(能動的な動き)である。評価の対象としても、ここを一つの指標にもしている。
部門が掲げる目標に対して、自分たちで企画の目標を作り、自分たちで売り方・宣伝方法を決め、実行する。そもそもが自主性がないと企画担当にはなれない。言われたものをただ熟している間は作業者でしかない。それはとても大事な作業ではあるけれども、将来的な着地としてはそれではいけないので、自主性を持って行動をするように伝えている。それが自分の仕事の仕方と、可能性を広げてくれるのだと思っている。

指示を待たない

トップダウン型の組織は作業者としてはとても楽な形です。何も考えず、来たもの、指示されたものをすること、こんなに簡単なことはありません。そのため、効率よく仕事を進行するには今もこの形で行われることが多いと思いますが、私は好きではありません。今や、組織形態もフラット型であると思っています。
それはSNSやネットの情報が簡単に取得できるようになった世の中とも関係があると思っています。昔はテレビやラジオといった媒体から視聴者に向けて一方的な情報の伝達が行われてきました。いわば、トップダウンです。しかし、今は自分で知りたい情報を取りに行く時代に変化しています。情報を得る機会はとても簡単になりました。そのため、情報が降りてくるのを待つのではなく、自分で調べたり、自分から取りにいかなければならない世の中になっています。(その情報が正しいかどうかを分析する力もまた必要)
自然とそのスキルが身についている人たちにとっては、トップダウンはただの「楽」でしかない。それで人が育つわけがないのです。自分から情報を取りに行き、指示を仰ぐくらいの能動的な動きをしないと、どんな企業にいたとしても、生き残れないでしょう。

成長を促す3つのポイント

先ほど、トップダウンは「楽」と言いました。楽ばかりしていると人間は成長しません。ではどうすればいいのか。簡単です。楽させないことです。

1:プレッシャーをかける
プレッシャーと言っても、精神的なプレッシャーではありません。例えば、「筋肉をつけたいなー」と思ったら筋トレをしますよね。あれは筋細胞を破壊し、再生させることで筋力をつける、負荷(プレッシャー)です。マラソンランナーが高地でトレーニングするのも同じ、酸素が薄い場所でトレーニングをする負荷(プレッシャー)です。
「いくら売り上げろー!」「●●件アポイント取れ!」というようなちょっと昭和チックな指示、実は人の成長を図る指標としては実は正しいのだと思います。
そんな私も、コレとコレの企画、ちょっと考えてみて、と企画を振ることがあります。企画の数でプレッシャーをかけ、それの中身とどうスケジューリングするかを見ています。
当然、すべてがうまく行くわけではないので、実はすべての企画において私の企画を用意しています。おかげ様でほとんどがボツになってくれているので嬉しいです。でも、コケたとき代替案をすぐ差し込めるように、いつでも準備しておかなければならないのです。絶対にフォローする。フォローできないのであれば、それはただの押し付けです。責任を取るのが管理職の仕事です。

ちなみに、やりすぎるとパワハラになります。私自身が受けた、昔のことを思い出すと、これパワハラだったな…と思うことがあります。同時に内容は同じようなことでも、パワハラと感じなかったこともあります。具体的な例としては、部屋の誰からも見られないところに連れていかれ、頭を叩かれたことがありました。(傍から見たら大変ですね)でも、その時私が悪いのは一目瞭然でしたし、何よりその時の先輩はミスを怒っているのではなかったのです。その姿勢を普段からリスペクトしていたので、まったくそう思っていませんでした。パワハラかそうでないかは、リスペクトされているかどうかで決まります。そういう関係値が必要になってきます。

2:パッションがベースにあること
作業は効率。仕事はパッション。どの会社にも、最近はミッションやカルチャーといったものが設定されているように思います。会社単位で方向性を示すには重要なことだと思います。「パッション」とは情熱と言いますが、もう少しライトに、「想い」くらいの位置づけにあります。

少し前、パッションはいずれ薄れていくもの、と同僚に言われたことを
実は根に持っています(笑)。ただ、事実であるとも思っているので、否定はしませんが、そこに抗う必要はあると思うので、根に持っています。
私たち企画の部署は、代表がはじめたこの事業を継承している部署になります。少なからず、当時の代表の想いはすべてでなくても、一緒に継承するべきだと思っています。その中でも、特に感銘を受けたものが1つあるので紹介します。

「私たちはハンコを売っているんじゃない、価値を売っているんだ」

一体何を言ってるんだこの人は。実際に売ってるのはハンコじゃないか。
なーんて思ったこともありました。でもこれを紐解いていくと、
痛印そのものを売っているのではなく、痛印使って、友人たちから「なにそれー!」と話題にしてもらう嬉しい体験、お手紙に捺して送った相手に喜んでもらう体験、宅配便で捺して配達員にすごいですね!と言ってもらう体験、褒めてもらう体験、自分が好きなものを共有する体験。
これら喜びの体験・価値を提供している
のだと、少し経ってから気づくことになります。
最初から順番に説明してくれれば分かるんだけどな…と思ったこともありましたが、これこそ自分なりに答えを見出さなければならないことでもあると思い、今に至っています。
作業に関しては淡々と熟せばよい、操作すればよいので手順さえ分かれば良いです。しかし、私たちのような企画担当は、相手にしているのはお客様、人間相手ですのでそうはいきません。お客様の気持ちを汲み取り、作品を知り、企画として宣伝方法、販売方法、そしてグッズ・デザインに落とし込みます。
これはパッションがなければできません。なぜなら、すべてが同じ方法ではないからです。毎回何かしらが新しい要素を含んでいたり、前回の反省点などが反映されていたりして作られているのです。
モノづくり系に限ってしまうかもしれませんが、自分の目の前にある仕事の先の出来事が見えてくると、なんだか楽しくなってくると思いませんか。

3:成功体験が一番
これは私自身の昔の経験も踏まえてになります。私が昔、エディターとして自覚を持ったのは、アシスタントではなくメインエディターとして、1本の完パケ(完成品)を作った時からでした。監督やプロデューサーから評価され、作品のファンからも評価されたことがきっかけです。そして次の指名に繋がっていくことがモチベーションアップにつながり、自分のスキルアップへとなっていきました。
自分の企画・デザイン・商品について、お客様から「いいですね!」「買ってよかった!」と声を聞くことが我々にとっては一番のパワーになっていると言っても過言ではありません。もちろん、売上も良く、社内的な評価も高いとより良いです。
こういった成功体験の積み重ねが、プランナーを真のプランナーに育てると思っています。

私が育てよう、なんて思うな

トップダウン型ではなく、フラット型が今の組織体制の形だと言いました。形式上「上司」と「部下」の関係にはなるものの、私はその「部下」にあたる人たちを「部下」と思ったことはありません。チームの仲間、同じ目標を達成するために力を合わせる仲間と思っています。その仲間を「育てる」なんておこがましい。
 子どもをお持ちのご家庭なら分かると思いますが、確かに手間はかかる(笑)が、子どもは割と勝手に育つものです。色々な経験・体験をできる機会を作ってあげることと、道を外さないようにするのが親の役目。それと一緒と言ったら今度は仲間から怒られそうですが、上の3つのポイントさえ押さえれば、成果を出してくれるものです。ただし、時間はかかります。即効性はありません。じっくり、数年後を見据えて計画を立てるのです。

まとめ

今回は私が現在担当をしている部署を中心に、その組織の作り方、ポイントを書かせてもらいました。細かいところを見れば、実は課題や問題はいくらでもあります。しかし、それを潰していったところで、また別の課題が出るだけなので、敢えて多少のことは目をつぶる形にしています。なので、そんんなので仕事ができるか!とか、言うのは簡単!とか、それができない人間がいるから困ってるんだ、などきっとそれぞれ悩みがあることだと思います。
1つ補足をするとすれば、仕事に対する「適性」というものはあります。すごい簡単に言えば、得意不得意です。
成功体験を与えよう!としても、不得意なことをやらせていたら絶対にうまくはいきません。まずは仲間が何が得意なのか、どんな性格なのか、仲間をを知ることから始めてみてください。適性を見出し、チャンスを与える。それが管理職の一番の仕事です。

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