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好きな食べ物の話

好きな食べ物は?と聞かれるとちょっと困る。

好き嫌いなく健康に育ってきたため、口に入れるのはおろか見るのも嫌だ、というほど嫌いな食べ物はほとんどない。例えば雑巾とか虫とかは嫌いだが、食用であれば口に入れるくらいはできると思う。食用雑巾があるかは分からないが。

かといって好きなものは?と聞かれると、はて何が好きなんだろうかと悩んでしまうのも事実だ。

好きというのは難しい。
それが好きであるが理由というのは、なかなか言語化しづらいものである。音楽にしろ映画にしろ、なんか好き、で片付けるものは多い気がする。

それを好きといってしまった後の値踏み感も嫌だ。あ、あなたこれ好きなんだ、みたいな雰囲気になる。あろうことか、じゃあこれも好きだよね、あれも好きだよね、と言ったアキネーターすら生まれる。なんだか自分の本棚を覗かれるようで、ちょっととした覚悟がいるのだ。

逆に嫌いなものを答えるのは簡単だ。
生理的に合わない、こういう部分が嫌いと言える。嫌いとは言い換えれば拒絶、すなわち受け入れ難しを言語化することで嫌いに触れる範囲を狭めることができるのだ。

産まれた時は、好きも嫌いもない状態で産まれるのではないだろうか。その後成長に伴い、人は拒絶を得ていく。つまり、その他どうでもいいものと明確化されるのは嫌いなものであって、好きなものではないはずだ。

例を挙げてみよう。
音楽で言えば、「故郷」なんかはどうであろうか。「故郷」を好きで好きでたまらない、CDやらレコードやらが擦り切れるほど聞いたという人はあまりいないと思う。

では嫌いはどうか。これまたあまり嫌いな人は聞いたことがないが、嫌いという人がいたら多分明確な理由があると思う。
曲が単調すぎる、とか
兎を追うとか意味わからない、とか
産まれた時からビルに囲まれていたから、とか

いずれにしろ嫌いは言語化され好きは言語化されづらいのだ。
しかしこれでは会話に困る。
人間、コミュ力こそが大事である。
そこで好きな食べ物を聞かれた場合の回答を考えた。

まずは嫌いな食べ物を答えるケース。
これはかなりいい逃げ方だ。
今後の食事へのお誘いの牽制にもなる。あ、あの人これが嫌いだから避けようなど。
回答例としては、
「好きな食べ物ですかー、実は嫌いな食べ物も結構あって、例えばー」
と言えばいい。

ここで問題なのは嫌いな食べ物がないケースだ。
この場合、好きな食べ物というよりもよく食べる食べ物を言えばいいと思う。私の場合例えばカレーとか。あちらこちらの店に行ってカレーを食べる。変わったメニューも好きで、ウツボとかカンガルーとかも食べたことある。

そう、好きなものよりも食べ物で得た経験を話すのだ。こうすることである程度会話も広がるだろう。

と、ここまで論じたことを話せばいいのではないだろうか。

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