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廻る

異世界転生が流行っていたが、私もできたらなぁと、現実逃避をしたくなる時がある。
何もかもを一旦リセットしてクリアな気持ちで生きたい。
できたなら、私はお嬢様になりたい。そして、大きなアトリエで好き勝手いっぱいいろいろ作りたい。場所を気にせず、大きさを気にせずなんでも作りたい。
結局やりたいことは変わらない。

数年前、平行宇宙というタイトルで個展を開いた。その時、横に細長いドローイング作品も展示していた。 
始まりがあり、続いていく線が多数存在する。ふわふわいろんな方向へ向けて流れていくが、いつか重なる部分がある。そしてまた広がっては重なってを繰り返す。
その時その時の選択によって、似てるようでも微妙に少しずつ離れて時間は流れていく。でもどんな選択をしようと、同じ方向へ進み、結局いつか同じようなところへ行き着くのではないかと私は思っている。

母は5人兄弟の1番上。長女だ。
叔母2人はもう癌で亡くなってしまった。
叔母と姪の関係では1番長く一緒の時間を過ごしている叔母もステージ4だ。最近は母のいる実家より距離も近いので母よりも会っている。
母はあまり子どもの頃のことは話さない。その分叔母からはいろいろな話をしてくれる。
戦争がなければお嬢様だったらしい。
確かに、祖父のことはお父様、祖母のことはお母様と母も叔母たちも呼んでいた。そして長女の母は妹たちからお姉様と呼ばれていた。
戦争さえなければ私もお嬢様になれていたのだろうか。味わってみたかった。かつては洋館にも住んでいたらしい。なんてまるでラノベのような夢のような生活。憧れる。

去年、半分死にかけてたのだなとわかった時、以前より死が怖くなくなった。でもその代わり、死後がすごく気になるようになった。死ぬとぷっつり、もうその場で何もなくなってしまうのだろうか。
それともしばらくは魂だけは残り、透明人間のような感じでふらふらこの世を彷徨ったりできるのだろうか。

輪廻転生できるのだろうか。
死ぬまでわからないのがもどかしいが、いつか死ぬ時までのお楽しみ?としてとっておこう。
その時になればもう、この思考は忘れてしまっているのかもしれないが。
こんな考えてもどうしようもないことを考えることも、私にとっては大切な時間のような気がする。
頭で考えてどうにもならないことを絵に託すこと。そういう手段がある私は幸せなのかもしれない。

だから私は私のためにこれからも描き留めていく。自分と対峙するために。

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