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ゴールデンカムイ ソフィア前歯の隙間 原作とアニメの描写の違いから生じる人物造形の違い

唐突ですがソフィア・ゴールデンハンドの前歯の隙間が気になってます。

原作から入って単行本を何周も読んで、はじめてアニメで彼女を見たとき思わず「はぁ?!」と声が出てしまいました。歯だけに。(インディーズ時代の尾形ギャグ)

ちなみに岩息舞治の「はあッ☆」ではありませんし、尾形百之助の「ははあッ」でもありません。(しつこい)どっちかというと宇佐美時重君が言いそうです。(追記:教会での月島の「はぁ?」が近いのではというご指摘をいただきました。Exactly yes!それでございます。ただし怒りはこもっておりません。)

なぜ「はぁ?!」なのかというと、原作では亜港のソフィアは前歯の真ん中に隙間があったのに、アニメだと左側に隙間があったからです。場所違うってことに気づいてしまったわけですね。

本当にどうでも良いことなんですが、細かいことが気になる性格なのでアニメのその部分を繰り返し繰り返し見ました。明らかに真ん中ではありません。はっきりとは決められませんが、真ん中の歯の左側、もしくはその左隣の歯が失われているようです。

原作はこういう感じ

アニメはこういう感じ

まとめると


原作は真ん中のAに若干の隙間がある感じで描かれています。煙草をその辺でかみながら吸っていますが煙草がすっぽり入るほどの隙間ではなさそうです。

それに対してアニメではBまたはC(場面によって微妙に見え方が違うのでどっちとは決められません)に歯1本分の隙間が描かれています。


原作の真ん中の隙間は専門用語では正中離開というらしく、歌手のマドンナさん、アーノルド・シュワルツェネッガーさん、フランスのマクロン大統領などもここに隙間がありますよね。何となく可愛くて好きです。

海外では特に治す必要は無いとされているらしく、いわゆる上流階級の人も芸能人やファッションモデルもそのままでビッグスマイルを見せています。歯並びにうるさい欧米で治療されないのは、これが自然に空いたものであり、顔がのびのびとしっかり成長した証だからとのことです。


原作ソフィアの人物造形

原作のソフィアは、若い頃からがっちりした顎の骨格ときれいに揃った歯並びの持ち主です。北方だと日照不足でビタミンDが作られず骨の発育不足が起こりがちですが、裕福で栄養が足りていたか、活発で外遊びが十分だったかで、不足しなかったようです。長谷川写真館の時の若い頃の口元はきれいな歯並びで、まだ隙間はありません。亜港監獄ではちょうど真ん中にわずかな隙間があります。

この隙間は外国映画では体格の良い屈強な肉体派キャラクターに良く見られます。発育の良さの象徴なんですね。ソフィアは若い頃からしっかりした骨格であり、年月が経つにつれて前歯の間に自然と隙間が生じたわけです。そんな事があるのか調べてみたところ、大人になってから、隙間が開いてきたり、逆に歯が重なってきたり、自然に歯並びが変わる事は時々あることのようです。

アニカムソフィアの人物造形

アニメのソフィアは左側の前歯が1本抜けっぱなしになっています。恐らくこれは食生活や手入れが悪くて歯を失ったか、または戦闘時や拷問時に暴力で折られたものでしょう。荒んだ生活や暴力にさらされた人生を象徴する描写です。

実に些細なことですが、人物造形がこんな風に違ってくるんです。

キャラクターの歯は生活や人生を象徴する

因みに海外の映画やドラマで歯の矯正治療をしている描写が良く見られますが、やっているのが子供なら親が子供に手とお金を掛けている事を意味したり、大人になってやっている場合は親が子供の頃に手をかけてくれず(もしくは経済的余裕のない生活)、大人になってから自分でその穴埋めをしているという意味になったりします。

またコメディアンが歯を黒く塗って歯抜けを装い、自分をかえりみない生活を送っている人に扮する事も多いですね。

歯抜けといえば、麦酒工場で尾形百之助が小銭を渡し自分の外套を着せてヴァシリに撃たせた身代わりおじさんも歯が抜け抜けで「この人は浮浪者なのだろうな」と理解させる描写になっています。(全く別のキャラの話をしていても必ず尾形百之助をぶっこむスタイル)

アニメ ゴールデンカムイの制作者さんが、(原作における)十分な成長の証で屈強さの象徴である歯の隙間を、敢えて歯が抜けっぱなしになっている描写に変更した意図を考えるのもなかなか楽しいものです。彼女の歩んできた人生の険しい道のりを暗示したかったのかもしれませんね。

(余談)
これを書くために久しぶりにアニメ ゴールデンカムイ3期のエピソード9「革命家」を見返しましたが「あなたは誰なの?」「○○○○○」の場面でゾワッと血の気が引いて、これ描いたり作ったりした人たち、どんな天才なの!とぶっ倒れました。(何回もみてるのに)

こんな凄い作品に出会えて幸せです。

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