自粛解除の、その前に

これから生きていこうとする世界は
自粛前の世界と180度変えなきゃだめなんだ。
そう気づいたのはGWが明けてまもなく。
40日近くに及ぶ自粛生活、まったくご依頼が
なく、事業が倒れる恐怖に怯え。
身体は動かなくなりかけ、そんなとき
同じくフランスでロックダウン中の辻仁成さんの
日常の維持を辞めてはいけない、の言葉に
勇気をもらい。
わたしなりに日常を保つことを頑張ってきた。
そしてついに、38都道府県の自粛解除前が発表
され、京都は16日から経済活動再開が報じられた。
嬉しいと同時に不安になった、なぜならこの
40日の間に見てきた世界は、わたしにもう
前のような生き方はできない、と決意させて
しまったから。

コロナ自粛が始まってまもなく、ブログに
こう書いた。

この自粛中に何をするか。
それが自粛解除後の世界を決める。

言葉は違うけど、わたしが伝えたかったのは
ただ、それだけ。
非日常に在ればあるほど、人は悲しいほど
真実を見ることになる。
この自粛中、わたしは嫌というほどそれを見た。
この期間にご依頼をくださった方のことを
わたしは生涯忘れないだろう。
毎週オンラインでお会いしてきた方、
連絡やnoteにサポートをくれた方。
講座を受講くださった方、わたしをプロの
椅子にまだ座らせてくださることが、ほんまに
ありがたかった。
対面は無理ですか?と、会いに来て下さった
方も、うれしかった。

神奈川に丸一月帰らないのは、この2年で
一度しかない。
でも、この先帰る予定が決まってないのは、
初めてのこと。
どうすんだろう、これから、と思いつつ
京都秘密基地に緑が増えていくさまは
楽しかった。
この暮らしをずっと続けたいと願う
自分を見つけ、そして気づいた。

もう、わたしが生きる場所は、ここなんや。

神奈川のお客様を放り出せない。
その一念で通い詰めた神奈川、でも
そこにいかなくても仕事する道が
あったことがわかった。
クオリティ落ちるから来て、と
言われたくなくて、精度をあげる努力を
して、完成もさせた。
「目の前にいるみたいに楽しかった」と
言われたときは、ほんとに嬉しかったし  
報われた思いがした。
いまから30年以上前、まだ学生だったころ
よく読んでいたSFの世界はいまみたいな社会をすでに描いていた。
テレビ電話、人が作らないご飯、自動で走る車。
そんな世界は、読むたびいつもザワザワしたし、
1ミリの高揚感もなかった。
そんな(一部の人の)理想が実現しただけなのにどうしてみんなパニックなんだろう。
そんなことさえ、考えたりした。
誰かが考え、誰かが望んだ、ならば
きっと実行している誰かもいるんじゃない?

ねぇ?

2019年の秋くらいから
#一億総命の大切さ知る化計画  を、世に投げかけてきた。
それは意外にもコロナが実現してしまった。
もう、あれは終わりやな、そう思った。
この自粛期間中に世に投げかけたタグは
次の二つ。
#楽しいが必要だ  
#できっこないをやってみる
これからは、これに従い生きてみる。
生粋の神奈川っ子のわたしが、京都の人に
なれるわけない。
あなた、なる気もないでしょ?と、移住後に
土地の人から言われたくらい。
なりたくない、ではなく、なれる気がしない。
自分の無知、無作法ぶりに落ち込むことが
山ほどにあった2年だった。
でも、コロナ禍が起きて命について考えたとき、 
死場所に選んだのは京都。
もし死ぬならここがいい、でもそれは
いまじゃない。
まだやり切ってないから、死ぬわけに
いかない。
やり切ってない、理想郷は見ていない。
見れない理由はなんだろう。

街を、長いこと離れたりするからや。

それが。
わたしの答えでした。

自粛解除になっても、もう前みたいには
神奈川に戻れないと思う。
あの街のわたしは旅人、神奈川での物件探しの
際に、骨の髄までそれを味わったはずだった。
そろそろ気づこうか、そう言われていたんやな。
いま改めてそう思う。

神奈川に戻らないで、やっていけるの?
「あなた、できないことばっかりだよね」
自粛中にそんな風に一見さんに言われた。
その度に「もっと力のある先生に行かれて
ください」と応えてきた。
京都にあなたのニーズはないですよ。
なんなら、全国にもないよ。
そんな言葉が聴こえてこない世界を作る。
今度こそ、この街に。
大好きな街、京都に、そんな世界を。
それまでは、死ぬわけにいかない。
納得できないから。
#できっこないをやってみる
#楽しいが必要だ
神様が味方してくれりゃあ、きっと
悪いようには、なりますまい。

わたしはそう、信じている。

日本に数えるほどしかいない故人の通訳。イタコでも口寄せでもなく三者面談風にお筆書きという自動書記を使い故人と遺された人をつなぎ明日を照らす活動をしています。サポートくださると嬉しいです。よろしくお願いいたします。